第7話『E班救出作戦・闇と影その1』
─────ここは同じく東京都、
港区と品川区の間に出来た区であり、元々港区の割合の方が多かったために比較的金銭に余裕のある若者が集う。
その影響か、高級ホテルやブティックなどが増え続け、通称『
そんな
この公園の名は、『
時刻は夕方、オレンジ色に空が染まる頃である。
昼頃、
公園の目の前まで来ると、仲のいい訳では無い二人は相変わらず言い合いの
「ッチェ……なんでお前なんかと一緒にここまで来なきゃなんねぇンだよ……。」
「こっちのセリフですわ!! 貴方みたいな野蛮人、おととい来やがれですわ!! まだ初仕事をこなした、嘘つきの
「言うじゃねぇかデカチチ!!」
「それこのご時世じゃアウトですわよ馬鹿ボウズ!!!」
しばらくして二人は公園の門をくぐると、トランシーバーから連絡が入った。
ザザザッと砂嵐混じりの音声は紛れもなく
「聞こえてるか? どうせ二人は喧嘩してるんだろうけど、よく聞いてくれ。」
「公園内中央のモニュメント、緑色の時計台…通称『キングコングの時計台』に発信機の反応があった。E班は見当たらないけど、そこへ行けば何かわかるかもしれない。」
二人はその連絡通りに時計台を目指した。
ザッザッと砂利を踏み鳴らしながら歩く二人、静寂の公園内。
不気味な雰囲気と遊具の影が二人を
歩くこと約3分、目的の時計台へと到着した。
カーカーとカラスが鳴く中、
「着いたけどよ、一見何も無……あれ?」
振り返れば、
「どこへ行っちまったんだ?」と
この3分の間にどこへ消えたのか。その答えは、向こうの方から向かってきた。
辺りを見回す
当然その方へ顔を向ける
さらに背後から、
「お、おいギネス……冗談はよせよ。ふざけてる場合じゃねぇンだぜ?」
すると突然、夕焼けが照らす公園内、木々の間の暗い闇の中から声がした。
男の声、低く30代くらいだろうか。
「お嬢さんは、私の仲間と一緒だよ。あっちはあっちで、楽しく
静寂だった公園内は、突如として殺気立った雰囲気に変わった。
鳥たちの鳴き声は激しくなり、風も木々をたなびかせる。
その声の主は、なかなかこちらへ姿を表さない。
「ど、何処へやったんだあの女を! あんなんでも令嬢なんだぞ? さっさと出て来いよ弱虫!!」
少量の
フフフフッと馬鹿にしたように笑うとまた、声をかけた。
「出て来いと言われて出てくるバカも珍しいよ。これから君を痛ぶってやるよ。」
そう言われると、
カッコよくバッと出て相手をぶん殴りに行くか、このままジッとして助けを待つか。
話を聞く限り相手は二人組。その片割れがこちらと対峙しているのは理解している。
カッコ良さを優先するか、二人に対し分が悪いので助けを待つか。
考えに考えた末に出した答え、それは…。
バッと時計台の影から出ると、何やら両手で、綱引きのように『引っ張る動作』を行い始めた。
左手と右手を入れ替えながら、綱引きのように引っ張る。
(なんのジェスチャーだ?)と声の主は考えるが、この動作は意味の無い物ではない。
「……『
声の主は、木々闇の中で不思議な現象を味わった。
声の主は
引っ張られる、何かロープを絡められ、綱引きで引き寄せられている感覚……その感覚はだんだんエスカレートしていく。
「な、なんだこれはよ……引っ張られるよ…脚で踏ん張るのもやっとだよ…!」
その引っ張られる感覚、ついには、ありえない現象を引き起こした。
声の主は、引っ張られる感覚がまるで『横に落ちる』感覚へと変わった。
落ちる…落下は
「お、落ちるよ!! ダメだよ、横方向に落ちるよ!!!」
声の主は飛び出すように木々から姿を現した。夕焼けに照らされたその姿は、黒髪の長髪に、黒い『競泳用水着』と不思議な格好をしていた。
「この『
「そして俺の能力、『
能力により紫電を
「喰らえ!! 『
そのラリアットは、飛んでくる小石、木の枝、木の葉などを巻き込むと、それらを一瞬で『消滅』させた。
それが、
『
前へ落ち続ける男、彼はブラックホール化した
男は、
「あ、危ないギリギリだよ!! 『
ブラックホールに巻き込まれ消滅したのか。しかし、巻き込まれた箇所しか消滅しない能力、一瞬にして大人一人の全身を消滅させるとは考えにくい。
何か能力を使ったのか? 高速移動? 瞬間移動? そう考えている隙に、背中へ激痛が走った。
「痛ってぇ!!! 背中になにか刺さったのか!?!」
後ろに誰かが立った形跡も、気配もない。
ブラックホール化している右腕で背後を殴るが、腕は時計台を削り取り、腕と同じ太さの穴を開けただけだった。
兎に角、
「一体どこから攻撃してきたんだアンにゃろうめ……絶対消してやる!!」
───能力詳細不明の能力『
復讐の寄生虫 @asakiyumemisi_ehimosesun
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