第6話『E班救出作戦・城&湧座その2』
─────薄汚い廃映画館の一番大きなシアタールーム。
更にそのドットの解像度……立方体の数は少なくなり、段々と単純な姿へ変え、最後は『浮遊する一つの大きな立方体』……まさしく『キューブ』へと姿を変えた。
この能力の全貌、二人はどう対処するのだろうか。
大きく浮遊する立方体そのものと変身した
「私の能力…それは貴方達に地獄を見せることが目的ならば、充分過ぎる力……。」
「ただの立方体に何ができるとお思いでしょうが、それでは痛い目をみますよ……。」
大きな立方体へと姿を変え、元の面影が無くなった
ツヤツヤとした面を持ちフワフワと浮遊する、立方体化した
二人はそんな姿に驚かされたが、
「少し驚いたけど、まずは攻撃手段を見つけなければ。『
「愚かな…私を喰うだと?」
命令を下された
しかし、銃をも噛みちぎる『
まるで鋼鉄の箱、岩盤。恐ろしい硬度を誇っていた。
この硬さは、
噛むのに疲れた様子の『
「愚者め…私に噛み付いた罰ですよ……私の能力は『立方体になり硬質化&身体中から様々な罠を発動させることが出来る』能力……!! 『
大きな立方体
鉄が熱されると赤くなるように、
この光景を見た
「何か来るぞ!! 避けろ『
「無駄ですよ!! 光の速さを避ける生物なんて存在しませんからねぇ!!!」
高熱を持ち、コンクリートをも焼き切るその熱光線は、豆腐に包丁を入れるようにいとも
吐血し膝から崩れ落ちる『
しかしその睨みはなんの意味をなさない。
「愚かですよ。貴方。真っ向からレーザーに撃ち抜かれて膝からガクン……馬鹿じゃないですか?」
その言葉に
愚か、馬鹿、いかなる悪口も自分に向けられているのなら耐えることが出来る性格であるが、自分の仲間と同等に接している『自分の分身』を馬鹿にされ
堪忍袋の緒は、今ちぎれ飛んだのだ。
「貴様ァア!! 今、私の前で言ってはならない事を口走ったぞ!!」
「……何を口走ったと? ただの真実、貴方の分身は馬鹿で愚かだったと言ったまでですよ。」
「クッソォオ! 『
その分身は、立方体と化した
その光景はさながら『人間ミサイル』であり、激怒した
飛び蹴りをする分身、その軌道は真っ直ぐ立方体に向け進み、ドガンッと重い蹴りを入れた。
「うぉおおお!!! 『SE7ENミサイル』ゥウウウ!!」
「気が狂いましたか貴方!!! そんな攻撃は意味をなさない!!! 『
鮮血が飛びり、臓物が辺りにビチャビチャと撒き散らされた分身の死体は、壊れた人形のようにべチャリとその場に落下した。
突如奇行に走った
「あ、貴方……気は確かなのですか!? 怒りに任せ、分身を私へ飛ばし攻撃したのは、ただの奇行なのですか!!?」
「……ボソッ」
「……え?」
ボソボソと聞き取れない声量で話す
まだ聞こえない。もう少し近づこう。
まだまだ聞こえない……もう少しもう少し……。
充分に近づいたその時、
───
振りほどこうにも離れない。その正体は
能力『
しかし
いくら捕まろうとも、超高熱のレーザーで焼き切ってしまえば振りほどける、そう確信していたのだ。
「ぐっ、今更捕まえたところでなんになるのですか!!」
「馬鹿なのはお前だったようだな……
後ろからそう言い放つ
堪忍袋の緒が切れた彼は冷静ではなかった。しかし、任務の遂行だけは頭に残っていたのだ。
───
それは
その分身には『七つの大罪』からなる能力の一つ、『
分身『
この作戦はまるで、『俺の顔殴れたら合格ゲーム』にて
怒ったハチが、相手を探そうとブンブン飛び回るように。
「うぉあああああ!!! 私を馬鹿だと!? ずるいぞ!!! 内緒でそんなことぉを!!!」
「……お前はなんて愚かで馬鹿なんだ…皮肉にも、お前があの分身に言ったことが自分に返ってきていた様だな。」
この構えは、日本武道古くから伝わるあるものに似ている。
それは一目瞭然、『
グングン大きくなる破壊力、バレーボールか、バスケットボール程に大きくなった。
肥大化した破壊力のグローブを、
硬質なその立方体へ、自重と破壊力を落下させるように打ち付ける。まさに『瓦割り』である。
「…『
大量の破壊力、自重を乗せた重い拳。それらを一点集中で打ち付けられた
その光景はまるでスレッジハンマーで小石を叩き割った際の粉砕のようである。
世界一硬いと言われる『ダイアモンド』でさえ、一点集中の攻撃には耐えられないのだ。
運良くその下は椅子になっていたため、落下死を防いでいる。
すると
そしてよく喋る。
「ヒィ…! や、やめてくださいイイぃ……もう何もしませんからァ…!」
「私はカシラにやれと言われてやったんですぅう!! 何も知りませんんん!!」
「私の能力嘘ついてました……私自身の能力は『
「だからほら見て! 裸でしょ? あのスーツを破壊したから何も着てないの! ね??」
二人は
えーんえーんと泣きじゃくる目の前の男に、何をすればいいのか、何を言えばいいのか分からなかった。
───その後、
「こちら
「それと、今日私の分身はあと4人しか出せない。一日に7人までだからね。もちろん、今回も出した3人は跡形もなく溶けて消えしまったよ。」
「……午後3時だよ…腹、空いたよね。牛丼奢るよ。」
「それは嬉しいです。」
そして二人は廃映画館、『ツギハギ映画館』を後にした。
夕暮れが彩るオレンジが、街の白い壁を染め上げる。
長く伸びる黒い影は、そのオレンジの中を歩いて行く。
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