第4話 とある日のマッサージ

 後日、理沙がまた俺の家に来た。今日はマッサージをしてくれるらしい。本気のようだ。

「じゃあ早速マッサージ始めるね。まず腰からにしようかな。うつ伏せになってくれる?よいしょっと。失礼します」

 理沙が上に乗って腰のマッサージをしてくれる。


「重い? 大丈夫? まあ私軽いから大丈夫だと思うけど。さて、では始めますか。むー。凝ってますね。これは時間がかかりそう。腕がなりますなー。ってかやっぱり男の人の体でゴツゴツしてるね。特に腰のあたりは筋肉を感じるよ。結構トレーニングとかしてるの?」

 いや、特に何もしていないが……


「そうなんだ。じゃあ男の人ってみんなこんな感じなのかな?女の人とは全然違うから面白いね。とりあえずちょっと強く押すね。痛かったら言ってね」


「そういえばさ、決めたんだ、お兄ちゃんのことは一旦忘れようって。家族だし、自分の中で大事な存在であるけど、このまま引きずっても仕方ないって思うんだ。家族であることは変わらないけど、私の知ってるお兄ちゃんはもういないって感じかな。私が育てたお兄ちゃんを絵里さんに引き渡したという感じ。これからはお兄ちゃんのことは忘れて彼氏を作ろうと思います! 彼氏が出来たらやりたいことが沢山あるんだよね」


「季節ごとにやりたいことがあって。まずは春だけど、桜を一緒に見に行きたいな。桜が満開の公園でボートに乗るとかロマンティックだよね。後は、いちご狩りもいいな。車に乗っていちご大好きだからいっぱい食べるんだ」


「梅雨の季節は紫陽花と蛍だね。紫陽花は夜のライトアップとか、お寺の紫陽花とか、写真見たことあるけど綺麗だったなあ。まあメインは蛍だよね。チカチカと光っている蛍を彼氏と二人で眺める…… いやー幻想的な景色ですな。ドキドキしちゃいそう」


「夏は海とプールかな。プールは流れるプールで浮き輪に乗りながらぷかぷか浮きたいなあ。海は沖縄とか、綺麗な海で泳ぎたい! ダイビングなんかもいいな。綺麗なお魚やウミガメと一緒に泳ぐとか気持ちよさそう」


「後、キャンプもいいな。二人で共同作業としてテントを張ったり、炭に火をつけてBBQをしたりするの。で、夜は満天の星空を眺めながらお酒を飲んで将来について語り合う、なんてどうかな? 後、朝早起きしてカブトムシ探ししたいなあ。カブトムシって可愛いよね。いっぱい捕まえて近所の子供に配るんだ。で、神様扱いされるの」


「秋はやっぱ紅葉だよね。ネットで見たんだけど、ロープウェイに乗って紅葉の森を下に眺めながら移動する場所があるんだけどね。映像で見たんだけど本当に綺麗だったんだよ。後はご飯かなあ。栗ご飯とか秋刀魚とか、秋の具材を使って料理を作って彼氏に振る舞うの」


「冬はスキーだね。雪山デートですよ。私はスキーしたことがないから彼氏に教えてもらいながら一緒のコースを滑るんだ。で、疲れたら雪だるまを作ったり雪合戦をしたりとかね。そういうのも憧れるなあ」


「え? 今まで彼氏いなかったのか? そうです、生まれてこの方20年、彼氏がいたことはありません! 今まではお兄ちゃんがいたからいらなかったのよ。多分作ろうと思ったらすぐ作れたと思うんだけどね、もちろん」


「さて、そろそろ腰はほぐれてきたかな。次は肩に移りますね。おお、こっちも凝っていますね。マッサージ機とか持ってる? あれ気持ちよくていいよ。あ、変な意味じゃないからね。肩がほぐれて気持ちいいという意味だからね」


「そういえばこの家、エッチな本が見当たらないね。どっかに隠しているのかなあ? 後で探してみようっと。男の子なら誰しも一冊はそういう本を持っているものだと思ってるからね。お兄ちゃんも隠し持ってたし。持ってる?」

 話が変な流れになってきた。俺は聞こえないふりをする。


「おーい、無視ですか。これは怪しいですなあ。ねえ、どういうジャンルが好きなの? 私理解力あるからどんな趣味でも大丈夫だよ。あ、でも犯罪系は辞めてね。特に小さい子が好きとかは…… ちょっとコメントしづらいかも。まあ引いたりはしないけど友達に言いふらすことはあるかもね」

 そう言ってくすくす笑う理沙。怖い怖い。バレないことを祈るしかない。


「大丈夫、男の人はみんなエッチなのは理解しているからね。三大欲求だからね。誰だってあるものですよ。 だから何冊もエッチな本を持ってるのも自然だよ。あ、もしかして動画派だったりする? DVD?スマホ?」


 断固拒否である。理沙の前でスマホは開かないようにしよう。


「よし、肩のマッサージも終わったかな。どう? すっきりした?」

 おお、スッキリしている。俺は感謝を告げた。


「良かった。私マッサージの才能もあるのかもね。まあマッサージ屋さんで働こうとは思わないけどまたやってあげるよ。将棋で負けた時にね。勝った時は逆にやって欲しいな」


「そうだ! ねえ、私とデートしてみない? 今ならプールが気持ちいいんじゃないかな。沖縄まで行くのはちょっと遠いからねえ。プールなら電車で行けそう。水着は持ってないから買いに行く必要があるけど。どう? ちゃんと楽しませる自信あるよ?」

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【ASMR】結婚したお兄ちゃんが好きすぎて、お嫁さんのことが好きになれない女友達の話 だいのすけ @daicekk

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