木登り

これも職場での、というより仕事中に職場の付近で体験した話だ。


職場から歩いて数分の場所に某銀行がある。その銀行の駐車場の端にはベンチ等があって休憩できるようになっているスペースがあり、そこには高さが3メートル程度の木が植わっていた。

その木は幹の部分が太く、少し急な滑り台程度の角度で斜めになっており、登ろうと思えば簡単に登れるだろう、という形をしていた。


仕事中、諸事情あって職場の外、周辺で作業する機会が多かった時期があった。

その時も夕方16時頃だったと思うが、その木を遠くからふと見た時だった。

小学校低学年か中学年くらいの子どもが、その木の幹の斜めになっている部分を、四つん這いのような形で登っていた。器用にササッと上って、木の上の方の葉の中に消えて行った。

「ああ、やっぱりああいう木は登りたくなるよね」

かなり疲れていた事もあって、呑気にそう思った。


後でちゃんと木を確認した時にわかったが、その木の上の葉や枝がある部分は、それらが密集していて子どもだろうととても上に登っていく隙間が無かった。


最近、その休憩スペースが撤去されてしまい、木も切り倒されてしまっていた。

ふとあの子どものようなモノの事を思い出したので、ここに書いておく。

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