第10話




連絡を絶とうと思った次の日。




ラインの通知音が何度もなったけど、

スマホを見ないようにした。






心がざわざわして、

一人でいるとつぶれてしまうと思った。







友人や家族のところへ行こうか迷ったけど、

自分の今の状態を周りに知らせて良いのか

分からなかった。






自治体に頼ってみようかなと思い、

市が運営している女性の相談室に電話してみた。








自分の体調


彼から聞いてきた言葉


きっかけとなった出来事


今の自分が感じていること




ほかにもたくさん、話をしてみた。











何度も何度も涙が出てきて

上手く話せないこともあったし

言葉が詰まってしまうこともあった。






予定時間より長くなってしまったんだけど、

途中で終わらせることなく全て聞いてくれた。















「あなたは、そんなこと

言われていいわけない」




「傷ついていい人なんて、

いない」






「自分を責めないでください。

まずは自分を大切にして、

自分のお手当をしようね。」








言葉一つ一つが温かくて

涙が出てきた。










電話相談をしている中で、

DVサイクルの話を聞いた。






電話を切ってから

DVサイクルについて調べてみたら、

サイクルの図が出てきた。






今の状況にも、彼にも

当てはまることが多すぎて驚いた。










何もせずにいたら

色んなことを考えてしまうと思い、

出かけることにした。






本屋に行って、

デートDVの本や

モラルハラスメントの本を買った。







家に帰ると、

彼と一緒に過ごしていた場所にいると、

また辛くなってしまう気がして

近くのカフェで時間を過ごしていた。








モラハラについての本を読んでいたら、

りょうの自己紹介?って思うくらい

彼に当てはまることが

たくさん書いて当って…



言葉に表せない気持ちになった。









そうか


DVって直接的な暴力以外にも

精神的暴力ってあるもんね。





私って

恋人からのDVを受けていたんだ。








モラハラを受けていたんだ。









気づくことができて良かったのかな。









その日の夜、仕事の同期と電話した。





今は県外にいるから

直接会うことはできなかったんだけど、

彼とのやりとりについて話した。






電話をしたときには

自分の気持ちも少し落ち着いていたから

ちょっと愚痴もまじえながら

泣かずに話すことができた。







同期も


「ひなみは、おかしくないよ」


って言ってくれた。








学生時代に心理学を学んでいた人だったから、

納得できること、安心できることを

たくさん言ってくれた。









同期も、DVサイクルの話してたんだよね。









色んな人が同じベクトルの話するから、

それはそれで安心だった。












あんなに優しかった彼が

変わってしまったのは、

自分のせいなのかな?




「お前がだめ」だとか言われると

私のせい…

だから変わっちゃったんだ…

みたいに思ってしまう。




私が頑張ったら、

私が我慢したら、

楽しい生活がまたやってくる?






そんなことを考えていたから、


自分はダメじゃない。

自分はおかしくない。

ってみんなが言ってくれたことで

安心だった。









自分の周りに、頼れる人、味方が

たくさんいると思えて安心した。









安心できたかなって思ったけど、

食事はまだ無理だった。









この日だけで

彼から何回電話がかかってきただろう。




ラインも何回もなってる。



開かないようにしてるんだけど

通知のときにちょっとだけ見えちゃった。




[またラインしてこんし。

もう障害者すぎるね、おまえ]







開くと既読がついてしまうので、そのまま。

このままスルーし続けて、

「別れよう」って相手から言ってほしい。



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優しい彼氏は、モラ男くん。 しらたま @mochimochi_zunda

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