第4話 消える記憶
数日後
私が登校すると皆、暗い顔をしていた。突然死が一般の生徒にも及んでいるのだ。
そう呪いのネットワークに徐々に犯されていく様子だ。美紀以外友達の居ない私はいたって元気。しかし、クラスの上位カーストの面子など、ふさぎ込んでいる。
美紀を見ると何時もの通り疲れた様子である。
……。
バイトが忙しいのか?
ここは少しそっとしておこう。
ショートホームルームが始まると担任は何時も以上に元気であった。この担任も友達が少ないのか?
ま、私には、そんな事は関係ないな。
それから、昼休みになっても、美紀は疲れた表情だ。私は太太に呪いのネットワークについて聞く。
「この学校のサーバーが怪しいですねん」
サーバーか……。
パソコン実習室のパソコンのどれかが、この学校のサーバーだと聞いた事がある。
無論、普段は鍵がかかっている。
仕方がない、今日のところは諦めよう。
私は自分の分と美紀に頼まれたお弁当を買いにコンビニまで行くことにした。
お弁当を買ってくると、中庭のベンチで美紀と食べる。
「ねえ、私が死んだら悲しんでくれる?」
美紀は突然、重い話を始める。
「えぇ、勿論、親友ですもの」
最近、美紀は細い体が更に痩せていた。一度寝たら眠り姫の様に永遠の眠りにつくかもしれないと思うほどだ。
すると、美紀は倒れ込む。
今、ふきつな話をしたばかりだ。私は保健室に駆け込み、助けを求めると、美紀は保健室のベッドの上に寝かされる。
意識はないが何とか生きている。
私はスマホの中の太太を見ると、太太と目が合い頷くと、パソコン実習室にある呪いのネットワークのサーバーを探す事にした。私は用務員室にある鍵を持ち出すことにした。
そして、鍵を使いパソコン実習室に入ると呪いのサーバーを探す。無許可でパソコン実習室に入るのだ、これは停学モノの事をしている。
ふ、親友か……。
しかし、何台もあるパソコンからサーバーを探すのは何かヒントが必要だ。
うん?
太太がスマホの中から出てくる。
「呪いは太陽光に弱い、カーテンを開けて反応したパソコンが怪しいですねん」
私はその言葉を受けて早速、カーテンを開ける。
『クイーン』
四番のパソコンが立ち上がる。
ビンゴだ!
私は椅子に座ると四番のパソコンを操作する。
『ジジジジ』
画面にノイズが走り。少年の姿が現れる。
「誰だ?我、呪いに触れるのは?」
「私の事などどうでもいい、きさまこそ誰だ!」
「我名はつばめ、退屈な人生を自ら断ち呪いを生み出すだけの存在だ」
「呪いなど意味がないはず。何故、呪う?」
「我は飽き飽きしていたのだ、親の指示で進学校に入りただ勉強の日々、やがて呪いを覚えそれを実行する為に自ら命を絶ち呪いのネットワークを作ったのだ」
「太太、こいつを消す方法はあるか?」
「この手の呪いは『愛』の言霊に弱いですねん」
「そうか……では、言おう『私はつばめ、きさまを愛している』これでどうだ!」
「我を肯定するのか?否定ではなく肯定するのか……」
つばめなる少年は消えていく。
これで呪いのネットワークは消える。
「太太、あんな心のこもっていない言霊でも効くのか?」
「さあな、君は美紀を親友として接していた、その心が効いたのであろうですねん」
とにかく、保健室に戻ろう。
保健室に着くと美紀は深い眠りの中にいた。
「太太、どうして……?」
「呪いが体の奥までむしばんでいるですねん」
ふと、美紀のスマホを見ると送信と受信を繰り返している。
「消すしかないですねん」
それは、スマホのアドレス帳を消して呪いから隔離する方法である。
アドレス帳が呪いの溜まり場になっているらしい。
私は美紀のスマホを初期化する。
―――……。
すると、美紀が目覚める。
「貴方は誰?」
美紀が私を見て言う。記憶が消えている!!!
美紀との親友になれたはずの関係は終わっていた。
『ニンゲンのトモダチ』がまた居なくなった。
数日後、美紀が登校してきた。
しかし、私の事は忘れている。私は一つの賭けをすることにした。
更に数日後。
あの日、美紀が万引きをしようとした小説を買ったのだ。
「あ、ぁ、あのーこの本を貸してあげたいの」
「え?何で私の読みたかった本を知っているの?」
「まあ、親友になりたくて……」
「おかしな人、でも、お友達に成りたいのね」
「は、はい」
「なら、お友達になりましょう、歓迎するわ」
それは何処にでもある、親友の関係であった。
JKな私とショタ物語 霜花 桔梗 @myosotis2
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