VS髪鬼①

あの後、たまに現れるモンスターを倒しつつ、私達は下層を進んでいき............とうとう、最後の階層に辿り着いた。


そして、そこにいたのは......


紅葉「やはり............あなただったのね、


髪を操る妖怪、髪鬼だった。


髪鬼「ふふっ.........まさか、餌そのものがこっちに来るとはね」


辺り一面に広がる、白骨死体の上で、そう言った後、妖艶な笑みを浮かべる髪鬼。


:ラスボスキター!!

:発言が完全にラスボスで草

:これが妖怪......

:てか、地面に本来のボスの骨があるんだが!?

:やっぱり、最下層ボスもこいつに食われてたんだ.........


紅蓮「紅葉お姉ちゃん。コイツは............一体何者なんだ?」

紅葉「......彼女の名は髪鬼。人々の怨念や嫉妬心が髪に宿り、人々の血肉を喰らう妖怪と化した存在よ」

紅蓮「なっ............!?」


:髪が妖怪化した存在............だとぉ!?

:どうりでさっき髪の束が出てきたわけだ

:髪って妖怪化するんだ.........

:色っぽいけど.......なんか色っぽい

:それな


髪鬼に対し、驚きの声を上げる視聴者。


ま、確かに髪鬼は色っぽいよね。


髪鬼「それにしても............ここは良いところね。たくさんの餌が私に向かってくるんだもの。私としては、万々歳なんだけど.................」

紅葉「手応えが無いから、退屈してたって言いたいんでしょ?」

髪鬼「そゆこと♡」


:うーん、サイコパス

:こんだけモンスターを倒しておいて、まだ殺す気満々なのかよ!?

:やっぱ妖怪怖い!!


髪鬼「だからね.................あなたみたいな存在を待っていたのよ!!」


そう言った後、髪鬼は自身の背後から、髪の毛の束を出現させると.................それを使って、私達に向けて攻撃した。


紅葉「紅蓮くん!!」

紅蓮「あぁ!!」


私達は、髪鬼の攻撃を避けた後、二手に分かれて、髪鬼に向かって走って行った。


紅蓮「はぁっ!!」


髪鬼に対し、紅蓮くんは、手のひらから炎を放ったのだが.................


髪鬼「ふふっ。全然熱くないわよ」


髪鬼には、ダメージ一つ入らなかった。


:嘘ぉ!?

:【炎魔】の炎が.........効いていない!?


紅蓮くんの攻撃が効いていないことに対し、騒然となるコメント欄。


紅蓮「嘘.........だろ?」

髪鬼「こんな炎じゃ、私を焦がすことは出来ないわよ?」

紅葉「なら、こっちの炎はどう?」


私は、そう言った後、炎を纏った薙刀で、髪の束を切断し、炎で燃やした。


髪鬼「あなた............やるじゃない」

紅葉「ま、こっちが本業だからね」

髪鬼「あら!!そうなの?なら........死んでくれる?」


ニヤリと笑いながらそう言った後、何本かの髪の束を放つ髪鬼。


私はその髪の束に捕まり、その髪の束の内部を燃やした。


するとその瞬間、髪の束はキャンプファイヤー並みに燃え始め、私は髪の束から解放されるのだった。


紅葉「お〜お〜、よく燃えるなぁ」

髪鬼「人の髪を燃料代わりにしないで欲しいんだけど」

紅葉「あ、ダメ?」


:見たら分かる強者の会話やん

:そりゃ紅葉ちゃんの本業は妖怪退治だし.....


髪鬼「あの男の子はともかく.....あなたは相当厄介ね」


そう言った後、髪鬼は髪の束を召喚.....したかと思えば、その髪の束で紅蓮くんを拘束した。


紅蓮「!?」

紅葉「紅蓮くん!?」


:紅蓮くんが拘束されてるぅ!?

:ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!

:紅蓮くん逃げて超逃げて!!


紅蓮「ぐっ....」


紅蓮くんは何とかして拘束を解こうとするものの......その拘束は固く、紅蓮くんの炎でも焼き切ることが出来なかった。


髪鬼「さぁて.....これでじっくり戦えるわね」


ニチャアと笑いながら、そう言う髪鬼。


紅葉「なるほど、アンタにとって紅蓮くんは邪魔者だったのね」

髪鬼「えぇ、あんな雑魚に構っておくほどに暇じゃないの」


......紅蓮くんが?雑魚?


紅葉「それじゃあ.....あなたは何様なのさ」


そう言った後、髪鬼に一気に近づき....薙刀で片腕を切り落とす私。


一方、髪鬼はというと


髪鬼「......はぇ?」


この状況を把握できていないのか、ポカーンとしていた。


:腕ぇ!?

:今何が起きたの?

:てか、何気に攻撃できてる!?

:そっか、紅葉ちゃんは妖怪と人間のハーフだから髪鬼に攻撃できるのか!!


髪鬼「私の......腕が....」


ようやく状況を把握したのか、信じられないという顔になる髪鬼。


.....やれやれ


紅葉「あなた鬼なんでしょ?たかが片腕を失って時点で焦ってどうするの?」

髪鬼「!?」


髪鬼に向け、ギロリと睨みつけながらそう言う私。


:ヒェ

:も、紅葉ちゃん?


紅葉「それじゃあ.....今度はこっちの番だね」


そう言うと、私は薙刀を構えるのだった。

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妖怪退治だけでは稼げなくなったので、配信者を始めた件〜アレ?モンスターって妖怪よりも弱くない?〜 @marumarumarumori

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