謎と疑問
ヴェノムスパイダークイーンを倒した後、下層に突入した私と紅蓮くんは、下層のモンスターを倒しつつ、攻略を進めていたんだけど.................
紅葉「............やっぱり、このダンジョンは何かおかしい」
進めば進むほどに、疑問は増していくばかりだった。
紅蓮「.........俺も、紅葉お姉ちゃんと同じことを思ってんだね」
私の顔を見つめながら、そう言う紅蓮くん。
私と紅蓮くんがそう思うのも、無理はなく.................何せ、私達が下層にいるにも関わらず、モンスターの数が極端に少ないのだ。
それに加えて、ダンジョンの床には、モンスターらしき骨がたくさん転がっていて.................まさに、異常と言っても過言ではない状態だった。
:確かに、下層にしてはモンスターの数が少ないよな
:てか、地面に転がってる白骨死体の中に人の骨があるんだが
:ヒェ!?
:ひょっとして.................下層に何かあったから、ヴェノムスパイダークイーンがあそこにいたのかな?
:それ思った
:その説はあり得るかもな
視聴者のみんなも、同じことを思っていたのか......................コメント欄には、そんなコメントで溢れかえっていた。
紅蓮「紅葉お姉ちゃん!!見て!!」
紅葉「これは............!?」
紅蓮くんの指差す先にあった物、それは............体をバラバラにされた、モンスターの死体だった。
紅葉「酷い............」
:う、うわぁ!?
:下手なグロ映画よりもグロい
:切断面が綺麗すぎるぅ!?
:ヤバい......吐きそう.................
モンスターのバラバラ死体に対し、阿鼻叫喚となるコメント欄。
しかも、そのモンスターの死体は、自分が死んでいることを理解していないのか.................ピクピクと動いていた。
紅蓮「まさか........自分が死んでいることを自覚していないのか!?」
紅葉「それほど、殺し方が丁寧だったってことだったんじゃない?」
全く............まさか、ここで退治屋の勘が働くとはね。
:確かに、これは仕事人の手口だよなぁ
:自分が死んでることを自覚してないっていうワードの恐ろしさよ............
:そんな超絶技巧を持つモンスターっていたか?
:さぁ?
紅蓮「まさかとは思うけど.................紅葉お姉ちゃんは、このモンスターを殺した犯人に心当たりがあるのか?」
紅蓮くんがそう言うと、私はコクリと頷いた後、こう言った。
紅葉「私が知る限り............こんな芸当が出来るのは、間違いなく妖怪の仕業だよ」
妖怪。
その言葉を聞き、驚くような表情になる紅蓮くん。
それは、コメント欄も同じだったようで
:はぁぁぁぁぁ!?
:ここに来て妖怪!?
:マジか!?
:というか、こんな芸当が出来る妖怪がいるのね............
:確実に仕事人系ですね分かります
紅蓮「............何で、このモンスターを殺したのが、妖怪だって分かったんだ?」
紅葉「妖怪はね.....縄張り意識が強いんだ。それこそ、ヤクザみたい感じで、自分の縄張りが荒らされたら、徹底的に排除する。それが妖怪の流儀なの。だから、このモンスターは生き地獄を味わっているのよ」
:妖怪=ヤクザ
:そりゃあ、自分の居場所に土足で入られたら誰でも激おこだよな
:それじゃあ............このモンスターは、妖怪のテリトリーに入ったから殺されたのか?
:理不尽!!
:それなぁ!!
紅葉「人外はいつだって理不尽なのさ..........」
:紅葉ちゃんが言うと、説得力が100倍になるなぁ
:説得力ありまくって草
紅葉「む〜!!それってどう言う意味なのさ〜」
てか、そんなに信用されてなかったの!?
そんなことを思っていたら............下層の奥から、黒い何かが飛び出してきた。
「「!?」」
その黒い何かの正体は、黒い髪の毛が束なったもので..........髪の毛の束は、切断されたモンスターの死体を掴むと.......そのまま、奥へと消えてしまった。
紅蓮「何だ............あれ」
紅葉「恐らく、アレは妖怪の一部分だろうね」
:アレが妖怪!?
:下手なホラー映画よりも怖い展開で草
:恐ろしや......恐ろしや............
:南無阿弥陀.......南無阿弥陀.....
:一部分だけでも、視聴者を恐怖に陥れる妖怪のヤバさよ.....
紅蓮「でも.....何でまた、こんな場所に妖怪が住み着いているんだ?」
紅葉「それは私にも分かんない。ただ.....」
紅蓮「ただ?」
紅葉「..........このまま放置していたら、厄介なことになる」
私がそう言うと、紅蓮くんも同じことを思ったのか
紅蓮「............そうだな」
と答えたあと、下層の奥にいる妖怪を倒すために、下層を攻略していく私達なのだった。
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