VSヴェノムスパイダークイーン

コラボ配信を始めて1・2時間後、私と紅蓮くんは、順調に進んでいた。


いたんだけど..........


紅葉「流石に蜘蛛が多すぎる!!」


どういうわけか、進んでも進んでも、蜘蛛系のモンスターしか出てこなかった。


:それ思った

:虫嫌いの視聴者にはヤバめな絵面だよな


紅葉「ねぇ紅蓮くん。このダンジョンって蜘蛛しか出ないの?」

紅蓮「いや..........普通にゴブリンやスライムが出るはずなんだけどな.......」

紅葉「そうなの?」


そんな会話をしながら、ヴェノムスパイダーを倒していく私達。


:やべぇw蜘蛛がどんどんバーベキューになっていくw

:上手に焼けましたぁ!!

:こんなに蜘蛛がファイアされる配信ってあったか?

:それ思った

:汚物は消毒だぁぁぁぁぁ!!

:そんでもって断末魔が気持ち悪いんだよな


.................何でコメ欄が盛り上がっているんだろ?


そう思いつつ、私達は、中ボスのいる部屋の前にたどり着くのだった。


紅葉「..........結局、蜘蛛しか出なかったね」

紅蓮「.....だな」


何かがおかしい、そんな疑問を抱えながら、私と紅蓮くんは、ボス部屋の中に入ったんだけど..........


ヴェノムスパイダークイーン「キシャアアア!!」


何故か、ボス部屋にいないはずの大きな蜘蛛がいた。


ちなみに、本来のボスであるレッドオーガは、白骨死体になっていた。


紅蓮「クソッ!!そういうことか!!」

紅葉「え?どゆこと?」

紅蓮「あのモンスターはヴェノムスパイダークイーン!!さっきのヴェノムスパイダー達の支えている主人にして、奴らを産んだ母親だ!!」


はぃぃぃぃぃ!?


紅葉「それじゃあ、ヴェノムスパイダーがたくさん居たのって.......」

紅蓮「ヴェノムスパイダークイーンが中ボスになっていたから...........か」


:何で下層にいるはずのモンスターが中ボスになってんだよ!?

:何これヤヴァイ

:レッドオーガが白骨死体になってるぅ!?

:どうりで蜘蛛が多いはずだよ

:てかデカっ!?


紅蓮「紅葉お姉ちゃん!!」

紅葉「分かってる!!」


紅蓮くんの掛け声と共に、ヴェノムスパイダークイーンの元に向かう私。


ヴェノムスパイダークイーン「シャアアアア!!」


そんな私達に向け、大きな脚を振り下ろすヴェノムスパイダークイーン。


しかし、私と紅蓮くんはその攻撃を躱すと、ヴェノムスパイダーの脚に向けて炎を放った。


ヴェノムスパイダークイーン「キシャアアア!?」


自身の脚が炎で焼かれることが嫌だったのか、ヴェノムスパイダークイーンは大暴れするのだった。


紅葉「やっぱり、この女王蜘蛛は炎が苦手みたい」

紅蓮「みたいだな!!」


まぁ、飛んで火に入る何とやら...........って言うしね。


ヴェノムスパイダークイーン「シャアアアアア!!」


ひとしきり暴れた、ヴェノムスパイダークイーンは、今度は私達に向けて、毒液を放った。


私達は、その攻撃を咄嗟に避けたものの


紅葉「!?」


その毒液が掛かった地面は、ものの見事に溶けるのだった。


:ギャアアアア!?

:アレ、確実に当たったら死ぬやつやん!!

:それな!!


紅葉「なるほど、クイーンの名は伊達じゃないね」


クイーンなら、その毒の威力も半端ない..........ってことなのね。


面白いじゃない!!


紅葉「紅蓮くん!!とりあえず女王蜘蛛の気を逸らしてくれる?」

紅蓮「い、いいけど...........何をするつもりなんだ?」

紅葉「何って、女王蜘蛛の脚を切るだけだけど」

紅蓮「え?」


私の言葉に対し、思わず、言葉を漏らす紅蓮くん。


それは、コメント欄でも同じだったようで..........


:ファッ!?

:今なんて言った!?

:あの固い脚を..........斬るだとぉ!?


紅葉「え?ヴェノムスパイダークイーンの脚って固いの?」

紅蓮「当たり前だろ!!」


そうなのかな?


ヴェノムスパイダークイーン「キシャアアア!!」

紅葉「とりあえず!!作戦開始ね」

紅蓮「ちょっ!?」


そう言うと、ヴェノムスパイダークイーンに向けて、走り出す私。


脚さえ斬れば、こっちのもんだからね!!


紅蓮「全く..........紅葉お姉ちゃんは相変わらずだな!!」

ヴェノムスパイダークイーン「シャアアアアア!!」

紅蓮「ファイア!!」


ヴェノムスパイダークイーンに向け、大きな火を放つ紅蓮くん。


一方、その火をもろに食らったヴェノムスパイダークイーンはというと


ヴェノムスパイダークイーン「シャアアア!?」


悲鳴を上げ、攻撃の対象を紅蓮くんに変えたようだ。


紅蓮「これでいいんだよね?紅葉お姉ちゃん!!」

紅葉「えぇ!!十分よ!!」


そう言った後、私はヴェノムスパイダークイーンの足元に潜り込み、左側の脚を薙刀で斬るのだった。


紅蓮「嘘..........だろ?」


:あのヴェノムスパイダークイーンの脚を斬った!?

:クイーンの名が付く、蜘蛛系のモンスターの固さはダイアモンド以上なのに...........何であんなに簡単に斬ってるんだ!?

:恐るべし、ヒヒイロカネの実力

:そっか!!あの薙刀はヒヒイロカネ製なんだった!!

:この光景って、レアなのか?

:当たり前だろ!!

:フツーにヤバい絵面で草


私の攻撃に対し、何故か呆然となる紅蓮くんとコメント欄。


...........そんなに驚くことかな?


ヴェノムスパイダークイーン「キシャアアア!!」


一方、左側の脚を全て失ったヴェノムスパイダークイーンは、右側の脚を使って、毒液を吐きながら、グルグルと回り始めた。


紅葉「わぁ、ゲームみたい」

紅蓮「言ってる場合か!!」


そう言う私に対し、ツッコミを入れる、紅蓮くん。


紅蓮「けど..........今のヴェノムスパイダークイーンには、近づけないな」

紅葉「いや、そうでもないよ」

紅蓮「へ?」


私はそう言った後、意識を集中し...........炎で作った化身を生み出した。


その化身は、ヴェノムスパイダークイーンよりも大きく、鬼によく似た見た目をしていた。


:何アレ!?凄っ!!

:もしかして、これもエナジーを使ったのか?

:それはあり得るな

:エナジーすげぇぇぇぇぇ!!


化身が出現した途端、ヴェノムスパイダークイーンは攻撃対象をそっちに変えたのか..........毒液攻撃をやめ、化身に飛びかかったその瞬間!!炎の化身は爆発し、ヴェノムスパイダークイーンは火だるまになり、悲鳴を悲鳴を上げた。


ヴェノムスパイダークイーン「キシャアアアアアア!?」


紅葉「ね?そうでもないでしょ?」

紅蓮「ア、ウン、ソウダネ」


:えげつない戦法で草

:これがいわゆる爆殺か..........

:陽動からの爆殺オチかい!

:あの化身だけでも怖いのに、何で爆殺!?

:これぞまさしく芸術は爆発

:誰が上手いことを言えと?


紅葉「あ〜。コメント欄のみんな、盛り上がってるところ悪いんだけど.................あの女王蜘蛛はまだ生きてるよ」


そう言いながら、私が指差す先にいたのは...........黒焦げになりながらも、何とか生き延びていた、ヴェノムスパイダークイーンがいた。


:嘘だろ!?

:生命力が強すぎて草

:流石はクイーン!!その肩書きは伊達じゃないぜ!!

:あの爆発で生きてられるなんて..........逆に凄くね?

:それな


紅蓮「あの爆発を食らっても、生きていられるなんて...........どんだけ生命力が強いんだ!?」

紅葉「へぇ、少しは根性があるんだね」


だけど..........ここまでだよ。


紅葉「女王様には..........たっぷりサービスしないとね」


私は、再びヴェノムスパイダークイーンに近づくと...........炎で自身の分身を作り出し、ヴェノムスパイダークイーンに対して、攻撃を始めた。


紅葉「行くよ!!紅蓮くん!!」

紅蓮「あぁ!!」

ヴェノムスパイダークイーン「シャアアアア!?」


私+分身の連続攻撃に加え、紅蓮くんの魔法攻撃によって、徐々に押されていくヴェノムスパイダークイーン。


そして、とうとう右側の脚も切断されてしまい、歩けない状態となってしまったヴェノムスパイダークイーンは、最後の抵抗とばかりに、毒液を吐くが..........その毒液に当たったのは、私や紅蓮くんではなく、私の分身体だったので、無駄な攻撃として終わってしまい、そのまま動かなくなり、マナ化したのだった。


紅葉「ふぅ..........これで中ボス戦は終わりだね!!」


:ヴェノムスパイダークイーン撃破!!

:やっぱりボス戦は燃えるな.....

:物理的にも燃えてたけどな

:やはり、虫系のモンスターには火を使うべきってことか

:これから毎日虫を焼こうぜ?

:↑やると思ったよ


紅蓮「だけど..........何でまた、こんな場所にヴェノムスパイダークイーンが?」

紅葉「さぁ?」


何故、ヴェノムスパイダークイーンがここにいたのか。


そんな疑問を抱えつつ、私達は先に進むのだった。

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