僕は名前も知らない君たちに救われた

笠村さんの言葉

僕に温かさを教えてくれたのは笠村さんだ。

僕に優しさを教えてくれたのは笠村さんだ。

僕の人生にほんの少しだけ意味を与えてくれたのは笠村さんだ。

だからこそ僕は笠村さんに、この曲に、メッセージを送りたいと思った。

僕も自分の思いをコメントする。

笠村さんには届かないとしても、ただ書きたいと思った。

僕は自分の思いを余すことなく吐露した。

ただ、僕という証を残したかった。

届かなくてもいいから、僕が救われたということを伝えたかった。

結構な時間をかけて書いたコメントを投稿した。

Kenta　たった今

僕は学校の授業についていけず、クラスメイトからはいじめられ、暴力を振るう父親と夜遊びする母親からは愛情を注いでもらえず、生きることに絶望していました。実際今でも死にたいと思うときがあります。自分が死んでも誰もなんとも思わないからって。そんなときでした。笠村さんに出会いました。初めて聴いた『生きてさえ』という曲。僕は涙が溢れてしかたがありませんでした。笠村さんが作る曲はすべて優しくて、直接そばにいるわけじゃないのに、寄り添ってくれて温もりを与えてくれるようなものです。毎日は辛いですが、笠村さんの曲を聴いているときだけは生きていてよかったと思える時間でした。僕はついこの前まで、こんな辛い思いをしているのは僕だけだ。みんな楽しくて輝いている毎日を送っている、と思っていました。しかし、このコメント欄を読んで、僕だけじゃないことを知りました。僕よりもっともっと苦しい思いをしている人もいました。確かに僕の毎日は苦しいです。それでも、もう少し頑張って生きようと思えました。笠村さん。僕はあなたに救われたと思っています。これからもどうか僕の、それから僕と同じような思いをしている人たちにのヒーローでいてください。笠村さんに出会えて本当に良かったです。長文失礼しました。少しでも届いていたら嬉しいです。ありがとうございました。

僕の心を支えてくれた笠村さんにありがとう。

そして、今まで耐えてきた自分にありがとう、そして無理なく頑張ろう。

次の日、同じように笠村さんの曲を聴いていた。

今日もこれを聴いて終えよう。

『生きてさえ』

そのとき僕は気がついた。

昨日送ったコメントに返信が来ていた。

それも、笠村さんから。

僕は逸る気持ちを抑えつつ、恐る恐る返信を開いた。

笠村コータ　3時間前

コメントありがとうございます。いつも私の曲を聴いていただき感謝でいっぱいです。辛い毎日だと思いますが、どうかあなたの幸せを願っています。ここで少しだけメッセージを置かせていただきます。

今から言うことはあんまり響かないかもだし、欲しい言葉じゃないかもしれない。でも言わせて、これだけは。生きて。これだけでいい。私が願うのは、これだけ。どうしても死にたいなら止めないよ、てか止めれない。でもまだすこしでも生きたいと言う気持ちがあるなら生きてみて。それで生きてさ、嬉しいこととかあったらここにきて私に教えてよ。どんなにちっちゃいことでもいい。それが嬉しいと感じるなら。てか生きてるだけで偉いよ。そして死んだら神にでも言ってやれ。

「私は生きた、精一杯生きた、誰がなんと言おうとな」 って。

そう言ったらさ、神でなくとも誰かが言ってくれるよ。よく頑張ったねって。

少なくとも私はね。

ああ、そうだ。

やっぱりあなたは『救世主』だ。

僕の、みんなの、ボカロのね。