スマホの写真アルバム

ソコニ

第1話

「な、なんだこれは…?」

タカシは、ぎょっとしてスマホ画面を凝視した。


その晩、タカシは一人で家にいた。退屈しのぎに、タカシは過去の思い出を振り返るため、スマホの写真アルバムを開いた。


指先をスワイプしながら、タカシはふとした思いつきでひとりでいた時に撮った写真を探し始めた。その中には友人や家族の笑顔が輝いていた。


しかし、ふと目に留まった一枚の写真に、タカシは心が凍りつくような感覚を覚えた。


その写真はタカシが一人でいた時に撮ったものだったが、写っているはずのはずだったのはタカシ自身の姿ではなかった。

「そ、そんなはずはない…こんな写真撮った覚えはない…!」


恐怖に心臓が高鳴り、タカシはスマホの画面をもう一度見つめた。しかし、そこにはタカシの部屋の窓に映ったはずの風景ではなく、不気味で闇に包まれた場所が写っていた。


写真の窓には、明らかにタカシ自身ではない女性の姿が写っていた。


女は静かに立っており、その存在だけで周囲の空気が凍りつくような恐怖を振りまいているようだった。タカシは言葉を失い、身震いした。

「この女性は…誰だ…?なんでこんな不気味な姿で写っている?目が合ったような気がした…でもそんなはずは…ない…よね…?」


女は目を開け口を少し開けて何かを言おうとしているように見えた。しかし、その表情は穏やかな笑顔ではなく、不気味な微笑が浮かんでいるようにも見えた。手を前に出してコチラを指しているかのようにも感じられた。


「もう見ない…絶対に見ない…あの不気味な存在は、もう俺の心に影を落とさせない…!」

タカシは恐怖に打ち震える中で、写真を見ることができる限界に達していた。スマホを手にしたタカシは、写真アルバムを閉じる決断を下した。しかし、その不気味な女性の姿は、タカシの心に深く刻まれていることは間違いなかった。


窓辺に立つタカシは、スマホを振り切るようにして闇の中を見つめた。何もいなかった。ただ闇がそこに広がっているだけだった。タカシは悪夢を見ているのではないかと思ったが、写真がそれを証明している。

「誰もいない…闇だけが広がってる…夢だと思いたいけど、写真は本当の出来事を示してるようだ…」


不安に駆られたまま、タカシは家中を確認し、ドアや窓をしっかりと施錠した。それでも、タカシはその晩一睡もできなかった。




朝が訪れると、タカシは再び警察に相談することを決めた。タカシは証拠となる写真を持ち、自分の体験を詳しく説明した。


警察署では真剣な表情でタカシの証言を受け止めた。タカシらはタカシの話に驚きを隠せず、タカシの安全を確保するために必要な措置を講じることを約束した。


タカシは安堵の息をつき、少し心が落ち着いた。警察の存在がタカシに希望を与え、あの女性からの恐怖から逃れる手助けをしてくれるのだと信じた。


しかし、夜が訪れるたびに、タカシは窓の外を覗き込む度に恐怖に取り憑かれた。タカシは警察からの対策が効果的であることを祈りながら、この闘いに立ち向かう覚悟を持ったのである。


日が経ち、警察から連絡があった。女性は殺人事件でなくなり、その犯人はまだ捕まっていないということが分かった。


しかし、その知らせはタカシの心の不安を和らげることはできなかった。未だに写真の中の女性の存在はタカシを襲うのだった。



スマホを握りしめながら言った。

「消し去ればいい…消せば…忘れられるはずだ…!」

タカシは写真を消去する決断をしたが、恐怖の記憶から逃れるためにそれが唯一の方法だと思ったにもかかわらず、その行動に胸の内に不安を抱えていた。


タカシは削除した。


しかし、スマホの写真アルバムを開いた瞬間、タカシは息を呑んだ。不思議なことに、削除したはずの写真がまだそこに残っていたのだ。何かがタカシを脅かすように、それは再び現れたかのように感じられた。


「信じられないことが起きてるんだ。写真を消去したはずなのに、再び現れる!」

その晩、タカシは友人たちとの飲み会で思い切ってその出来事を告白した。


タカシらは驚きと同情の目でタカシを見つめ、それぞれが自分の経験や怪談話を披露したが、タカシの話はどうしても引き寄せられるようで、誰もが息をのむほどだった。


すると、友人の中の一人が興味津々の表情で話し出した。

「それって『幽霊写真』じゃないか?」

その言葉に、タカシの背筋に寒気が走った。


興味津々に友人の言葉を聞き入ったタカシは、幽霊写真という言葉を聞いたことはあったが、その真実性には疑問を抱いていた。

戸惑いながら言った。

「幽霊写真?でも、それって本当にあるんだろうか…」

しかし、今目の当たりにしている出来事は、まさにそれに当てはまっているように思えた。


友人は説明を始めた。

「幽霊写真とは、目には見えない存在が写真に写り込むという現象のことだ。それは人々に恐怖を与えるだけでなく、その存在自体が異次元のものであると言われている。」

その説明に、タカシの胸の鼓動はますます速まっていった。


友人の話を聞き続けたタカシは、自分が撮った写真に映っている女性は、本当に幽霊なのかもしれないと思った。



「未知の存在…それが本当に女性の幽霊なら…何者なのか、そしてなぜ消去できないのか…」

恐怖と不安が心を支配し、タカシの思考は怪しげな世界に引きずり込まれていくようだった。

タカシが撮った写真に写り込んだ女性は何者なのか、そしてなぜタカシのスマホから消去できないのか、その謎を解き明かすことができるのだろうか?




自宅に戻ったタカシは写真を見るのをやめることに決めた。


思い出したくもないあの異様な姿。窓越しの不気味な女性の姿が、タカシの心に不気味な影を落としていた。


その時、ベルが鳴り、宅配が届いた。タカシは、ドアを開けるために手を伸ばすが、不安が募り胸を締めつけるような感覚に襲われた。突然の恐怖にタカシは背筋が凍りついた。


何かがタカシに囁いているように感じられた。


不気味な予感に身を震わせながら、ドアを開けた時にすべてを悟った。そして、銀色の鋭いナイフが男の手に握られていた。タカシはただ身動きもできずに立ち尽くし、恐怖と戦慄に襲われていた。



その目は冷酷に輝き、タカシに向けられたその表情は極度の狂気を秘めているように見えた。


「やめて…やめてくれ…!」


銀色の鋭いナイフが素早く動き出した。ナイフの光が冷たく輝き、タカシの命を刈り取ろうとしているかのようだった。タカシの心臓は猛烈に鼓動し、タカシの意識はすでに混沌としていた。


女が言おうとしていたことが分かった。なぜ指をこちらに向けていたのか?

「次はあなたの番よ。」

女は、そう教えようとしてくれたのだ。


女が、徐々に近づいてくる。手を握りしめ、一緒に行こうとする。

指はあの世の方向を向いていた。

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