【たんじょうび】
空川陽樹
【たんじょうび】
これは、つい最近の出来事
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私は独りで
静かに自分の
誕生日を祝う
今日で遂に
節目を迎える
様々なことが
動き出す
私自身ではない
私の周りが
勝手に動き出すのだ
私には止めることなど
できやしない
ただただ
その変化の渦に
呑まれるのみである
今までの『自由』は
取り上げられるのだ
『十』代の特権は
私から剥奪された
これからは
プレッシャー
つまり「重」圧に
「耐」えなければならない
それが
『耐重』(にじゅう)代の
大人の役目
なのだろう
私は静かに
単独の誕生日会を
開いた
まさしく
『単静日』パーティーだ
するとまさかの
来客が
ピンポーンと
心のチャイムが
鳴り響いた
扉を開けると
期末試験が
笑顔で手を振っている
僕は豪華な食事も
することなく
ただただ
ペンを握っていた
それでもせめて
デザートだけでも
食べようと
冷蔵庫には
『ケーキ』
冷凍庫には
『アイス』
私はペンを走らせる
心にある希望を灯して
勉強が終わったら
『景気』づけに
それらを食べて、
私自身だけでも
新しい自分を
『愛す』のだ、と
気づけば
『淡情日』は
終わっていた
そう
終わったのだ
淡白で
情け容赦の無い
1日が
【たんじょうび】 空川陽樹 @haruki_sorakawa
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