天使の選んだクリスマス4

小林飛翔(Al)

冬の車道はあの世に通ず。小道もだけど。

この世とあの世にかかる荘厳で大きな黒い橋。

仲のいい3人。とあるどこにでもいる家族は、この世から旅立つ途中だ。


梨璃は目を輝かせた。


「すごくきれいな橋。

ここも雪が降るの?」


母親の美香は、涙などみせない。


「きれいね、梨璃。」


父親は、自分の非なのに巻き込んだ2人の家族が嘘のように元気なこと、それが当然のことのようだ。

それでも涙は隠せない。


「すまない、梨璃とママ、巻き込んでしまって。」


耳人形が、どこからともなく歩いてきた。


「お父さん、娘さん喜んでいるよ。」


それだけ言うと、耳人形の体はすっと消えた。


そして、雪が降ってきた。


梨璃は両目が見えるし、美香たちは立ちつくす。


3人にとって、この世で最後の雪。

たったそれだけ。


りららは、今もお昼寝中。

ただし、頬をなぜか涙が流れる。


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天使の選んだクリスマス4 小林飛翔(Al) @alpacahisho

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