この世界での役割(自分の)が『実は勇者(主人公)裏切っていた大神官』なんですけど国王に異常に懐かれて勇者裏切ったけど大神官辞めれません。ヘルプ・ミー!(か弱い声で)

ちーずけーき

勇者(主人公?)裏切り編

第1話 その大神官は、悪魔




大陸には5つの覇国があった

東諸国、ルテンドラ帝国

南西諸国、テルトラ王国

南諸国、ガウシアン公国

西諸国、ファラビア王国

北諸国、シンシウラ聖国

その中でもシンシウラ聖国はシンシウラ女神を信仰しており本拠地でもあるシンシウラ大聖堂には一人、大神官がため息を付いていた



「あー、俺悪魔なのに何でニンゲンの国で大神官してんだ?」



淡い水色の髪、耳にはひし形の宝石のイヤリングを付け、瞳は不気味な赤、天才彫刻家に作られた完璧な彫刻のように顔は童顔で整っており見た目は10歳ほどの子供みたいだ

白と金を強調した神官の服を着ており口調以外はほぼ完璧

風が吹いても絡まない美しい長い淡い水色の髪を鬱陶しそうにわしわしとかくと少年――もといルゼが神殿の中を歩いていく

ルゼの正体は悪魔だった

だがしかし己に課された役割がこの世界の主人公でいずれ生まれてくる勇者を実は裏切る中ボスポジがルゼの役割なのだ

大神官になるという条件付きで



「大神官様、召喚の儀と鑑定の儀が始まりますのでご準備を」



ルゼに声をかけた神官が丁重に礼をしルゼを急かす

鑑定の儀をいうのは18になった子らの職業を鑑定するというルゼにとっては面倒極まりないものだ

召喚の儀も異世界から勇者を召喚するというこれまたルゼにはうざったい儀式の一つだ

鑑定の儀×召喚の儀というフルコンボを決められてルゼは胃がキリキリするのを抑えながら儀式の場へと重い足取りで進む

一歩間違えたらルゼの正体を知られるかもしれない

それだけではない

最悪の場合戦闘に入る可能性もある

課された目標をクリアできねばルゼは殺される確率があるのでこれだけは避けたかったのだ

召喚の儀は民の前で行うので、召喚の儀を成功すれば、あわよくば唯一魔王に抵抗できる勇者を召喚できるので5つの国の重鎮や王が集まった

この場で仕切るのはルゼのみ

ルゼは冷や汗を流しながら王の前で跪き最上位の礼をした



「ルテンドラ帝国の主、ラガス陛下、ラウレンツ宰相閣下。テルトラ王国の太陽、ヌール国王陛下、ルドンガス将軍閣下。ガウシアン公国、グレンツ公王陛下、ルーン総帥閣下。ファラビア王国、ファラ国王陛下、ヴァレンナ伯爵様。シンシウラ聖国、ザハク聖王陛下。此度は召喚の儀へようこそ集まって下さいました。これより召喚の儀を始めます」




淡々と、一音のミスなく挨拶を交わしルゼは女神像の前へ歩み召喚陣を自身の偽りの魔力で浮かばせ禁忌の呪文を唱える



『我が名、ルゼの要望に答えよ。水の女神、ハーレンディよ、大陸の全ての地域に水を潤い浸せ。大地の神、バディア。汝の権能で大地に祝福を。時の神ディスアクア。人類の唯一の希望、勇者をときはざまから掬い上げよ』




長く、一つ一つに感情が籠もった言葉を、ルゼは唱える

自分の目標を達成するために

この世界の課せから逃げるために

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