第35話 時空の狭間まで

-side アクシア-



「それじゃ!投げるよ〜!」

「「「「「「はーい」」」」」」



  家族でボール遊びをしていたところ、白虎さんが遊びにきたので、白虎さんと一緒にフリスビーで遊ぶことになった俺たち。

  背後に控えているエリックにフリスビーを貰う。

  でもなんか、エリックの様子が変……何というか、ゾクゾクしているような表情をしてる。

  あ!もしかして、白虎さんと戦いたくなったとかじゃないよね?

  そんなまっさか〜!

  気づかないふりしよーっと。うん。

 


「えーい!」



 --ヒュン!

 子供の腕力では飛距離はたかが知れていると思ってはいるけれど、一生懸命なげる。


 

「そーれ!」



 ーーヒュン!

 


 うん、分かってはいたけど白虎さんはとてつもない速さでフリスビーを取ってるね。

 家族のみんなはポカーンと棒立ちだ。

 青龍様はやる気がないのか、白虎さんと勝負したくないのか欠伸をしている。



「むー。今度は青龍様が投げて」

「うむ」



 暇そうにしていたので、青龍様に投げる役を任せることにした。

 白虎さんがやる気に満ちた表情でニヤリと笑った。ちょっとこの2人の勝負は楽しみかも。



「私も参戦しますね」



 エリックも参加するようだ。

 楽しそうである。



「それじゃーいくよー!」

 

 

 ーービュオン



 青龍様が投げると、謎の空間ができてフリスビーが中に吸い込まれていく。



 ーーポカーン


 何が起こったんだろうと家族の方を見る。

 相変わらず家族はポカーンと棒立ち。

 白虎さんは呆れた表情をしている。

 


「……どこまで投げたの〜?」

「ちょっと時空の狭間まで」



 むむむむ……!汗ダラダラ。



「……正座!!!!」

「うむう」

 


 流石にまずいと思ったのか、青龍様が正座する。



「どー言うことが説明してくれるー?」



 大事件すぎて戸惑いを隠せないけど、なるべく冷静に問い詰める。



「うむう。フリスビーを投げる際一緒に魔力を込めて投げたんだがな、加減を間違えてしまったがために時空を切り裂いて狭間に入ってしまったのだ」

「うーーむ?時空の狭間って何?」

「うむう、時空の狭間とはつまり、天界へとつながる道のことでもあるな」

「あー!あそこかー!」



 この世界にくるときに通ってきたのをうろ覚えだけれど、覚えている。

 悪意のある人を通さないためにケロベロスさんが守ってくれている怖ーくて迫力のある場所だ。

 ケロベロスさんに乗ったから一瞬であの場所を潜り抜けられたけれど、フリスビーを探すとなると普通に行きたくないし嫌だなあ。そもそも、こちらから行けるかわからないのは置いておいて。



「時空の狭間って行けるのー?」

「可能ではあるぞ?人間にはおすすめはしないが」

「デスヨネー」


 

 まあ、フリスビーは他にもあるからいっか。

 このあとは気をつけてもらおう。

 どうせ戻ってこないフリスビーを考えても仕方がないからね!



「じゃあ、今度は気をつけてフリスビー投げてねー」

「うむう」



 再開しようと思って、家族の方を見るとハッとした表情をしてこちらを見てくる。



「アクシア!今のはーー?」



 はっ!あっ!そっかー!パパとママは俺が転生者ってこと知らないのかー、忘れてた!

 

 

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転生キッズの魔物研究所〜ほのぼのスローライフ家族に溢れる愛情を受けてたら規格外に育ってました!〜 西園寺若葉 @book_hobby

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