第3話 例え、誰もが欲しがる宝石を持ったとしても

            〜???・虚殺 蓮〜

川岸にいた。

向こうで誰かが俺に叫んでいる。

鼓動が聞こえる。

薄れゆく意識の中で...

だんだん鼓動が遅くなる。

闇に飲まれていく。


         〜魔法騎士団3番隊専用宿・虚殺 蓮〜

俺はベッドから飛び跳ねた。

真夜中の3時すぎ、俺は昨日のことを思い出した。

メイトに案内され、俺はこの宿に泊まっている。

同じベッドに凪が寝ている。

なんで?

(あれっ? 昨日別の部屋にいたよね?)

昨日のことを整理した。

宿屋に着いて、メイトの話を聞いて...


             〜昨晩の宿・虚殺 蓮〜

宿に着いた。あの時見えていた街は西の地区らしく、

他にも街がまだあるらしい。

宿屋の扉を開けると、喫茶店の鈴の音らしいおしゃれな音とともに、

騒がしい店内のざわめきが聞こえてきた。

「ここに座って」

メイトが空いている席に案内する。

どうやら1階は酒場のようだ。

「なにか飲む?奢るよ」

彼女は微笑みながら問いかける。

「いや、そんな...奢ってもらうなんて...」

「いや良いよ、話がしたいから」

「話?」

「とりあえず飲み物を」

あっ...この人飲み会とかで、奢るからって言って飲み物押し付けてくるタイプの人だ...

「じゃあ、バタフライピーソーダで...」

凪が謎の飲み物の注文をする。

なにそれ? ゲーム内の飲み物か?

てかあんのか?

「了解!君は?」

あるんだ

「じゃあ僕は水を...」

「まじかよ...」

それから、メイトが注文を頼み、話が始まった。

「君たちに協力してほしいことがある。

 今色々な人に頼んでいるんだけど、

 この世界の『バグ』と呼ばれるボスモンスターを倒してほしい。

 先程行ったバグの根源のことだ。

 こいつらを倒せばひとまず、死亡は回避できるようになる。

 やってくれるか?」

急展開だが、想像はついていた。

しかし、命を守るために、命を危険に晒すと考えると...

そんな中、凪はこちらをつぶらな瞳で見つめている...

かわいい... やるか。


は、喜んで引き受けた。


それから、メイトの雑談を聞いていた。

このゲームは、始めたときから強かったり、

現実世界でも満足していたが、この世界でも十分満足しているなど、

聞けば聞くほど、俺の中で何かが渦巻く...


           〜日を越した宿・虚殺 蓮〜

そうだ、俺はことがある...


部屋を出て、昨日隠し持ったパン切りナイフを持って....







         5月6日 メイト=アルフィッシモ 死亡








          〜朝5時 宿屋1階・水仙 凪〜

まだ早いのに...

下の階が騒がしい。

そういえば、夜中、子殺しくんを抱き枕にしてたっけ。

謝らないと。

目を開けると、誰もいない。

やることもなく、しっかり目覚めてしまったので、

下の階に行くことにした。

階段を降りてる途中に、声が聞こえてきた。

「隊長は何で殺されたんだ?」

「うちのパン切りナイフです」

「クソッ...どうして...」

メイトさんが死んだ?

僕たちの命の恩人が?

階段を駆け下りた。

「メイトさんは?」

力なく問いかけた。何かの聞き間違いではないかと。

「あぁ、旅のお方...昨晩、自殺をされましt...」

「隊長は、自殺なんかしていない!殺されたんだ!」

長い黒ひげの男が声を張り上げた。

「しかし、ナイフ持ちては、逆さを向いており、その向きで刺すのは隊長相手だと無理かと...」

いっときの沈黙。

「凪、行こう...」

子殺しくんが手を引いた。宿屋を出るその時の彼は...


人を殺した目をしていた。

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烈火の灯火 瑞浪 毬藻 @mizuna-marimo

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