羨ましかったんだよ。
私は、キラキラ輝く人たちとは、本当に無縁だった。……いや、無縁だったというより、無縁になりたかった、という方が適切かもしれない。
私は、飛び抜けて勉強ができるわけではない。寧ろ成績は悪い方で、みんなが正解しているのに、一人だけ不正解の問題もあった。運動だって、球技と器械体操とその他の陸上競技が苦手……つまり、殆ど苦手で、中学校の授業でやるまで、1キロすら走ったことがなかった。
手先も不器用だし、芸術的センスもない。おまけに、可愛いなんて言っていられない、これから生きていけるか分からないくらいのドジで、物忘れも酷い。空気も読めず、人との正しい距離感も掴めず、喋る内容はいつも、自虐ネタしか用意ができない。そんな人間。
しかし、なぜだか私の友人は、生徒会長だの、学校のアイドルだの、成績優秀な優等生だのと、キラキラしている人間が多い。
だからこそ、周りの人間の、見栄の張り合いや、不必要で過剰な程の謙遜、他の人をわざとらしく褒め称える無言の礼儀……。それらが溢れ返っていて、それらに、疲れてしまっていた。
輝く彼らの『サイアク』ラインは、私にとって「まあ、いいか」と思えるラインにある。つまり、私のレベルは、彼らの『到達してはいけない程に酷いレベル』にあるのだ。
周りで行われる、見栄という名の装飾品のお披露目会は、私にとって本当に痛くて、自分が誰より駄目な人間なのだと、改めて思い知らされるいい機会であった。
だから、私は、周りと比べる、輝く彼らに、消されてしまった。
彼らと同様に、いや、それ以上に、人と自分を比べるようになってしまった。
テストの点数、ランニングのタイム、公共の場での態度。優等生たちと自分を勝手に比べて、自分が上だったら勝手に喜び、下だったらさらなる下を探そうとする。
今の私は、きっと承認欲求の化け物。そして、今日も私は、『自分より下』を探して、キラキラに消し潰されていく。
そんな自分に、今日も嫌悪感を積んでいく。
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