大人達の思惑に翻弄された公主に寄り添った歌声は桃のような花嫁を守る

今死んではいけない人達が命を奪われていく気鬱になりそな物語(特に三話目)。
だいたい最高権力者のくせして溺愛する末の皇子の身ひとつ護れない耄碌じ、皇帝なんて老害以外の何者でもないではありませんか。
それをなんだ反逆って。兄弟間の殺し合いとかやめさせろよ、皇帝って偉いんじゃないの?
桂霄公主に共感してぷんぷん怒っているうちに、最初は有象無象のひとりに過ぎなくていい、とか消極的だった彼女に変化が。
誰かの思惑通りになんて生きてはやらない、と唇を噛み締める桂霄の姿に奮えました。
最後の一行に、桂霄公主と彼女の夫の笑顔と、陽春皇子の歌声が重なるようです。

願わくば陽春皇子が無事に凶刃を逃れてどこかで歌い舞って暮らせていますように。

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桃夭