ヒトグチ

無駄職人間

ヒトグチ

 私というのは、矮小な奴であると思っている。

 好きなモノはあれど、それら全て意味あるモノに芽吹くことはなかった。

 やってみても到達することなく手放してしまう。

 周囲を流れる息吹に折れてしまうのだ。

 肉片を飛ばし、乾いた骨がいともたやすく皮膚を突き破る。

 そこに恐怖心だけが残る。

 何者にもなれなかった。

 何もかも出来なかった。

 ただ、諦めと不快だけが残った。

 夢という言葉は、つまりは私には毒であったのだ。

 憧れを持つから、現実に苦しむ。

 希望があるから、他人を蹴落とす。

 それのどこが幸せであるか。

 屈辱だ。

 頑張っている。

 やっている。

 だけど、できるのは納得できない普遍以下の物ばかりだ。

 周りを見渡せば玉虫色に輝く光ばかりではないか!

 故に己から出たモノを見つめると駆られるように恨みつらみが口から溢れ出す。

 足りぬ。まだ、足りぬ。

 芸に身を尽くそうにも、欲と雑念が耳から入り蠢いている。

 そこから蛆が涌かのように屍を貪り尽くす。

 ああ、私は真剣ではない。

 違う、そうじゃない。

 たとえ真摯に向かっても、無理なのだ。

 怒りが込み上げる。

 何故なのだ、どうしてなのだ。

 何故うまくいかぬ。

 何故、私だけなのだ!

 何が駄目なのだ!

 何を失えば良い!

 何が私を邪魔をする!

 憎い憎い憎い憎い憎い。

 あぁ、全てが憎い。



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