第7話 再戦

カイは過去に戻る。


カイの目の前には、再びヴォルグレンに挑むことになるミナがいた。

しかしこのミナはまだ初戦の結果を知らない。


「ミナ」

「なに?」


戦闘前のミナは闘志に燃えている。


「未来のミナから伝言を預かってきた。」

「そう。それでどんなこと?」


「まず、奇襲をかける。そして、下段からの構えから戦闘を始める・・・」


カイは次に、ヴォルグレンの攻撃パターン、その動きの細部に至るまでを詳細に説明した。

攻撃の瞬間、その杖の振り方、さらには足元の位置調整についても。

一方、ミナは耳を傾け、それぞれの言葉をしっかりと記憶に刻み込んだ。


「ありがとう」


カイの説明が終わると、ミナはしっかりと目を閉じた。

ミナは語られた情報を元に、目の前に広がる戦いのシーンを想像し始めた。


ミナの心の中は、闘いの舞台に変わり、杖を振るう魔術師の姿、その杖から放たれる「暗黒の矢」、魔術師の足元の微妙な位置調整。

全てがミナの頭の中で鮮やかに再生され、それらがミナの新たな戦略となる。


深呼吸をして、ミナは対面するカイに告げた。


「それでは勝てない。長期戦になるだけだわ。」





ミナの視線は固い。

カイはミナの言葉に頷きながらも、答えた。


「未来のミナも、ヴォルグレンには勝てないと言っていた。

 でも、『もしかしたら』とも言っていたよ。」


「未来の私と今の私。

 結論は同じってことか・・・。

 未来の私を信じるしかない!」


声には決意がこもっていた。




ミナは身を低くして静かに進み、両手にしっかりと剣を握りしめる。

ミナは下段に構え、全力で突進し、ヴォルグレンを捉える。

ヴォルグレンはミナが近づくのを感じ取り、黒いローブをはためかせて対峙した。


「邪魔をするな。」


ミナは答えない。

ミナは「横斬り」を放つが、ヴォルグレンは杖で剣を受け止め、それを避ける。

ヴォルグレンが「黒炎」を放つと、ミナは「斬魔剣」でその攻撃を無効化した。

炎と剣の衝突から生じた閃光は戦場を照らし、二人の影を揺らめかせた。


次にヴォルグレンは「影の手」を放ち、ミナを捉えようとした。

ミナは素早く「斬魔剣」を繰り出し、その影を切り裂く。

「暗黒の矢」がミナに向かって飛んでくる。

ミナは「斬魔剣」でそれを切り裂き、無効化する。


一進一退の戦いが続く。

時間が過ぎ、二人の間の緊張は絶えない。

続く長い戦いの中でミナとヴォルグレンの力は互角だ。


「!」


ヴォルグレンが「暗黒の矢」を放とういう瞬間、ミナはすぐに反応した。


(そういうことか)


ミナはヴォルグレンの動きに一定のパターンを見つけ出すことができた。

ミナは瞬時に剣を振り、矢を切り裂く。

ヴォルグレンは、一瞬身を固める。

ミナはその機を逃さず、速攻で「横斬り」を放つ。

ヴォルグレンは急いで杖を上げるが、その防御は完全ではなく、ミナの剣はヴォルグレンの防御を押し分け、小さな傷をつける。


この瞬間から、徐々にミナの優勢へと移り変わる。

ミナの攻撃はヴォルグレンを追い詰め、魔法の反撃はミナの剣技と閃きによって防がれる。ミナの剣は闘志を燃やし、動きはますます速くなる。


カイは、目を見開いてミナの戦いを見守っていた。

「まるで踊り舞っているようだ。これがミナの妄想の世界・・・か・・・」


ミナは剣を振り続け、ヴォルグレンを追い詰めた。

ヴォルグレンの防御は弱まり、疲れが表情に現れる。

一方、ミナはまだ更なる闘志を燃やす。

ミナは全ての力を込めて「横斬り」を放つ。

剣は光を放ち、ヴォルグレンは反応する余裕もなく、ミナの剣は、ヴォルグレンの腹部に深く叩きつける。


ヴォルグレンは衝撃で後ろに吹き飛ばされ、石柱に激しく衝突する。


ミナは素早く石柱に手を付け、石柱を変化させる。


ヴォルグレンは、石柱から伸びる石の縄に縛りあげられていた。


戦いはミナの勝利で終わった。


「子供にやられるとはな・・・お前が勇者か・・・、われを殺さぬのか?」

「私の勝ちよ。あなたは私に勝てない。あなたに興味はないわ。」


カイが満面の笑みで、ミナの元へ駆け寄ってくる。


「おめでとう。ヴォルグレンに勝てたじゃないか!」


「ありがとう。でも違うわ。

 勝てたのは、もう一人の私によ。」


ミナは、笑顔で微笑んだ。




ミナとカイの冒険は、まだまだ続くのでした。



おわり


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鏡の世界と時の剣舞 エリナ @erina_clater

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