給湯室にて1
Danzig
第1話
とあるオフィス
先輩と後輩の会話
美和子:ちょっと、斎藤さん
斎藤:はい、なんでしょう美和子先輩
美和子:ちょっと給湯室まで来てくれる?
斎藤:どうしてですか?
美和子:来ればわかるわ
斎藤:は、はぁ
給湯室
斎藤:で、なんですか? 美和子先輩
美和子:斎藤さん、あなた何かここに呼ばれる心当たりってない?
斎藤:え? 心当たりですか?・・・特にないですけど
美和子:あっそ・・
美和子:まわいいわ
美和子:あなた、営業部の土田さん、知ってるわよね?
斎藤:ええ、知ってますよ
美和子:じゃぁ、土田さんと私の関係も知ってるわよね?
斎藤:確か・・・同期入社でしたっけ?
美和子:そうじゃないわよ!
斎藤:え?
美和子:もう、知らばっくれないでちょうだい
美和子:あなた、土田さんが私の彼氏だって事、知ってるでしょ!
斎藤:はぁ・・・まぁ・・
美和子:まぁ・・・じゃないわよ。
美和子:それを知ってて、あなた、あの人と寝たでしょ
斎藤:え?
美和子:隠したってダメよ
美和子:先週、あなたとあの人が楽しそうに歩いてたのを見たっていう人がいるのよ。
美和子:それで昨日、あの人を問い詰めてみたら白状したわ。
美和子:あなたと寝たって
斎藤:そうですか・・
斎藤:あの人、意外と口が軽いんですね。
斎藤:でも、誘ってきたのは向こうですよ
美和子:そ・・・そんな事ないわよ。
美和子:あの人は、あなたの方から誘ってきたって言ってたわよ
斎藤:そりゃ、そう言うでしょ・・
美和子:と、とにかく、どっちが誘ったって事が問題なんじゃないのよ
斎藤:そうなんですか?
美和子:も、勿論それも問題よ。
美和子:でも、もっと大きな問題は、あなたが私の彼氏と知って、あの人と寝た事が問題なのよ
斎藤:はぁ
美和子:折角、あなたが新人の頃からいろいろ教えてあげて
美和子:いい関係でいられてると思ってたのに
美和子:とんだ裏切り行為だわ
斎藤:そうですね・・
美和子:どうして、そういう事をしたのよ
斎藤:そんな事いわれても・・
美和子:ちゃんと答えなさい!
斎藤:それは・・
美和子:ハッキリいいなさいよ
斎藤:ふう・・
斎藤:それは、先輩が私の彼と寝たからです
美和子:な・・・
斎藤:私、知ってますよ、ちゃんと
美和子:斎藤さん、あなた何を言うの
斎藤:先輩、経理部の桜井さんが私の彼だって知ってますよね?
美和子:し、知ってるわよ
斎藤:じゃ、どうして桜井さんの部屋になんて行ったんですか?
美和子:そんなとこ行ってないわよ
斎藤:まぁ、知らばっくれちゃって・・・
美和子:桜井さんがそう言ったの?
斎藤:別に、言ってませんよ
美和子:じ、じゃぁ、どうしてそんな事が分かるのよ、それに部屋に行っただけかもしれないじゃない。
美和子:寝ただなんて、何か証拠でもあるの?
斎藤:まぁ、それなりに
美和子:な、何よ、言ってごらんなさい
斎藤:先輩の香水って『ピンクパール』ですよね?
美和子:そ・・そうよ
斎藤:臭いがしたんですよね~ あいつの部屋の枕から
美和子:そ・・
斎藤:男って鈍感だから、残り香とかに気付かないんですよ
斎藤:だから、平気で他の女を部屋に連れ込むんですよねぇ
斎藤:それに・・・グラスが2つシンクに出しっぱなしとか・・・もうバレバレ
美和子:ピ、ピンクパールくらい、私じゃなくてもつけてる人はいるでしょ
斎藤:先輩って、その香水の事、パリの土産だとか、私くらいしかつけてないとか言ってましたよね?
美和子:言ったけど・・・
斎藤:じゃ、先輩しかいないじゃないですかぁ
斎藤:それに、誰もそんなオバン臭い香水なんてつけないわよ(ボソ)
美和子:オ、オバ・・・
斎藤:あら、聞こえちゃいましたぁ?
美和子:ったく。ホント、失礼ね
斎藤:失礼なのはお互い様です
美和子:な・・・
斎藤:だいたい、人の彼氏を寝取っておいて、『自分は寝取られる覚悟がありませんでした』
斎藤:なんて、無しですよね?
美和子:それは・・・
斎藤:別に土田さんには、大して興味はなかったんですけどね
斎藤:先輩がそんな事するから・・
美和子:あなたね!
斎藤:あ、向こうから誘ってきたってのは本当ですよ
美和子:そういう事じゃないわよ
斎藤:結局、得をしたのが男連中ってのは、あんまりいい気分じゃありませんけどね
美和子:あなた・・・
斎藤:他に話しがないのでしたら、私は仕事がありますので、これで失礼します
美和子:ちょ・・・
斎藤:これからは、お互い気をつけましょうね、先輩
斎藤:では、失礼します
美和子:ちょっと待ちなさい!
美和子:ったく・・・
給湯室にて1 Danzig @Danzig999
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