第5話――再会


 目撃情報を探るため、近所周辺の聞き込みをしていると、高倉の携帯が鳴った。ディスプレイに表示された名前を見て、スマートフォンを耳に当てた。


「相川さん」


「ニュースを見た。八王子の葉室一家……」


 高倉は思わず、言葉に詰まってしまった。深夜当直の本部捜査員に報告は入れていたが、まさか、こんな事件になるとは想像もつくはずがなかった。


「メールを受け取って、たった数時間後に。あれは、やはり犯罪予告だったんだ」

 

 少しをおくと、高倉は言った。


「相川さん。詳しい話を聞きたいので、署に来てもらえますか?」



「お元気そうで何よりです」


 高倉が署にやって来た相川を迎え、嬉しそうな表情で言った。彼が引退した以来の再会だ。


「久しぶり。お前もな。こちらは?」


 彼は、高倉の隣にいる若い男性刑事に目を向けた。


「ああ……。後輩の米田です」


「お噂はかねがね伺ってます! いやぁ、あの幻のサイキック刑事デカが、まさか、自分の目の前にいるなんて!」


 高倉に紹介された米田は、抑え切れないように感嘆の声を上げた。


「幻って……? 俺はツチノコかよ……」


 相川は、遠慮のない米田に困惑したように思わず高倉の方を向いた。


「浮かれ過ぎ。別にこの人は、だけじゃないから。その前から、として優秀だったんだから」


「まともな刑事……」


 相変わらずストレートな高倉の物言いに半ば呆れながら、相川はカバンを開けた。


「これが、その相手と昨日やりとりしたノートパソコンだ」



 相川のPCは、署の情報分析課により細部にわたり調べられた。

 しかし、相手はかなりネットワークに精通しているのか、発信元は辿れなかった。

 近所への聞き込みをするも、現時点では何も手がかりは掴めていない。


 高倉は深く溜息をついた後、顔を上げた。


「今のところ、唯一の手掛かりは、たった一人の生存者。は、全てを見ているはず」

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