恋心

第1話

こんなにも

あの人の事が好きで

こんなにも

あの人の近くにいるのに

どうしていつも

涙が出てくるんだろう

「夏を過ぎて

あなたは少し

背が伸びたみたいね」

変わっていく親友をみて

微笑む私がいる

まわりが羨む私とあの人の関係は

男と女の友情で結ばれた

仲の良いトモダチ

でも

それは嘘・・・　

あの人の事が大好きなくせに

友達という立場を選んでしまった私

私はそんな自分を

壊してしまいたいくらいに

大嫌い・・・

でも

あの人と離れる事が怖くて

いつも、あの人の隣で笑っている

たとえ私の心が壊れてしまっても

あの人の隣にいられるなら

もう、それだけでいい

いつも、そう自分に言い聞かせている

こんなにも

あの人の事が好きで

こんなにも

あの人の近くにいるのに

どうしていつも

涙が出てくるんだろう

ある日

あの人の口から

好きな子の名前を聞かされた

それでも微笑んで

あの人の背中を押している

私の事を見て欲しい

私はここにいるのよ

そんな言葉に出来ない感情を

必死に押し殺している私がいる

振られてしまったと

落ち込むあの人を

優しい言葉で励ます私・・・

でも

どこかで、ホッと胸をなでおろしている

私がいた

そして

そんな私を悲しく見つめる

私がいた

悲しいのはどうして？

あの人の好きになった相手が、

私ではなかったから？

それとも

いつまでも勇気の持てない

私が嫌だから？

それとも

大切な人を騙して、

あの人の

綺麗な気持ちを裏切っているから？

そのどれもが本当

だから悲しい

こんなにも、

あの人の事が好きで

こんなにも

あの人の近くにいるのに

どうしていつも

涙が出てくるんだろう

いっそ、このまま

世界が終わってしまったら

全てを

無かった事にできるなら

どんなにか私は楽になれるだろう

あの人とは綺麗な関係のまま

全ての人が

私の気持ちを知らないまま

この世界を終わらせる事が

出来るのなら・・・

でも

もしも、

このまま世界を終わらせてしまっても

この気持ちはきっと

永遠に続くのだろう

私は

自分の気持ちから

永遠に逃れる事はできないのだろう

だって

それくらい

あの人の事が好きだから

こんなにも

あの人の事が好きで

こんなにも

あの人の近くにいるのに

どうしていつも

涙が出てくるんだろう

もう

こんな自分を見ているのが嫌だから

もう

大切な人を裏切り続けたくないから

ようやく

あの人の友達を

やめられる心が持てました

あの人に

自分の本当の気持ちを

伝える心が持てました

あの人に

私の気持ちを打ち明ければ

きっと

もう

あの人とは

一緒に居られないでしょう

でも

たとえ、あの人と

離れる事になったとしても

笑いながら

あなたの事が好きだと

言える心が持てました

沢山の涙を流して

沢山の涙を流して

ようやく

自分の恋心と

向き合う勇気を持てました

こんにちは

私の恋心

今まで見ないふりをして

ごめんなさい

すぐ涙になってしまうけど

もう少しだけ

私と一緒に居てください