神を倒して帰ろう

 魔王を倒した。これで任務完了だ。これで帰ることが出来る……。


『貴様か、魔王を倒したのは』


 頭に声が響き、一瞬で景色が魔王城から白い空間に移動した。

 ……やっぱり来たか。

 僕に気づかれることなく転移させる。そんなことが出来る存在は一つ、神だ。


「ライ、レフ、いったん異空間に戻れ」


 聖剣ライと魔剣レフを異空間に収納する。

 神が相手になると聖剣も魔剣も通用しなくなる。特に聖剣は魔を滅する物、魔と逆の存在である神に対してはものすごく弱くなる。


「さて、これで準備は良いな」


『落ち着いているな』


「頭の中で喋るのをやめろ。それと、姿見せろよ」


『口を慎め人間。生意気だぞ』


 神は怒りの声を発しながら姿を見せる。その姿は若い男。


「魔王は倒した。やるべきことは終わった。さっさと帰らせてくれ。ちゃんと転移した奴ら全員をな」


『ほう、帰して欲しいのか。……断る!』


 知ってた、どうせ断られるだろうと。


「理由は?」


『そもそも転移させたのは我ではない。我は魔王側に賭けていたのだからな』


 ここでポイント!

 異世界転移が行われる理由は色々とある。その中でも多いのは神の道楽。

 つまり世界を盤上に、人を駒にして神は賭け事を行っている、そのゲームに異世界人という駒を入れることでゲームを面白くする。

 全ての神が悪いわけでは無いが、クズのような神は大量にいる。


「じゃあここから出せよ。帰してくれないならお前に用はない」


『それは出来ない相談だ。貴様はここで死ぬのだからな。……【いかずち】』


 神の言葉と共に雷が降ってくる。それも魔王の雷が可愛いほどの巨大な雷だ。


「【魔雷まらい】」


 こちらは雷魔法をぶつける。

 だが、【魔雷】は負け【神雷】が落ちてくる。だが威力は落ちたので普通に避ける。


『少しはやるようだな。よかろう、神の力を見せてやる【神雷しんらい】』


 またも雷が落ちてくる。だがさっきの雷とは違い、神のみが扱える力、【神力しんりょく】が込められた雷。普通の人間であれば一瞬で死ぬ。


 ここでポイント!

 人間では神を倒すことは出来ません。【神力】に対抗することもできません。

 ではどうするか、答えは一つ、神は神に任せましょう。神に対抗できるのは神だけです。

 普通であれば悪い神を制止する神がいます。ここまでやられると普通はその神が出てきます。


 ただ僕は普通じゃないので出てきません。なぜなら僕は自分で【神力】が使えるから。


「【神力障壁ゴッドバリア】」


『何だと!?』


【神力】で張った障壁で【神雷】を防ぐ。


『それは、神の力。何故人間が持っている?』


「教えるわけないだろ。お前はこれから死ぬのだから。こい、『神刀』」


 異空間から刀を取り出す。この刀は神の力が宿る特別な刀だ。ここに僕の【神力】を流す。


『なめるなよ、人間ごときが!【神雷】』


 神の怒りの籠った【神雷】が襲ってくる。

 そんな雷を前に、刀を腰に構え、地面を蹴り、一瞬で神の目の前まで移動する。


「【神刀・神殺し】」


『ぐはっ!?』


 神とのすれ違いざまに抜刀。

【神力】によって強化した『神刀』で神を斬った。


「低級の神ならこの程度か」


『神刀』を鞘に納める。それと共に神は消滅する。


「さて、そろそろかな」


『神刀』を異空間に戻していると、目当ての人物がこの空間にやってきた。


『勇魔さんお疲れ様です』


 その人物、もとい女神は金髪の美女。彼女こそ先ほど言った神を制止する神だ。


「迎え遅くないか?」


『申し訳ありません。すでに他の方々は帰らせています』


「それはご苦労様。じゃあ僕も帰るよ」


『はい。あ、あの方は元気ですか?』


「元気だよ。元気すぎて部屋から出てこない」


『本当に申し訳ございません。何かあればすぐに駆け付けますので』


「それならさっき駆けつけてほしかったけど?」


『それは……ごめんなさい!』


 この女神、面倒だから僕にあの神を殺させたな。


『すみません。謝罪代わりに私が帰りの門を出しますので』


 女神はすぐに帰りの門を作る。


「じゃあ帰るよ。たまには遊びにきなよ」


『はーい。それではまたお願いしますね勇魔さん』


「できれば二度とごめんだ」


 女神に手を振り、帰りの門をくぐった。



 _________


 これで今回の異世界は終わり。帰るのに少し急いだので雑になってしまった。

 何度も言うがこれは一つの方法に過ぎない。それぞれ自分に合った異世界ライフを送ってほしい。
















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遊佐勇魔の異世界攻略法~集団転移編~ 影束ライト @rait0

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