湖の精

Danzig

第1話

湖の精



木こりが歌いながら、湖の畔へ歩いてくる


(歌はアドリブ)

木こり:(例)ハイホー、ハイホー、ララララララ ハイホハイホハイホハイホハイホハイホー

木こり:ハイホー、ハイホー、ララララララ ハイホハイホハイホハイホハイホハイホー


木こり:さって、今日はここら辺で木を切るかなぁ


歌いながら木を切り始めるキコリ


(歌アドリブ 木を切っている雰囲気が出れば歌でなくていいです)

木こり:(例)ハイホー、ハイホー、キコリさん♪ キコリさんキコリさんハイホーハイホー

木こり:ハイホー、ハイホー、ラララララ 禁煙で使うのはパイポー、パイポー   ※まぁあどりぶでって事で

木こり:パイポーパイポー、辞められない、路上での喫煙は 逮捕ー逮捕ー


ツルッと手が滑って斧が飛んでいく


木こり:あ!

木こり:しまった・・・手が滑って斧が・・


ピュ―― チャポン

斧が湖に落ちてしまう。


木こり:あーーー

木こり:斧が池に落ちちゃったよ・・・・どうしよう・・・・


一方、湖の中


湖の精が退屈な毎日を過ごしている


湖の精:あぁーあ、暇ねー ほんと暇っ!

湖の精:こんな辺ぴな湖の精なんて、なるもんじゃないわねぇ

湖の精:(アドリブ ※お煎餅食べてるなど)

湖の精:あぁーあ、何か面白い事ないかなぁ


ブクブクブクと斧が沈んでくる


湖の精:あら、何?

湖の精:何か沈んでくるわね


湖の精:斧?

湖の精:結構年季の入った斧ね・・・誰か落としたのかしら?

湖の精:落とした人、きっと困ってるわよね・・・

湖の精:うーん、暇だし届けてあげようかな


湖の精が水面まで上がってくる

水面から少し顔を出し辺りを探す


湖の精:あ、いたいた。 あの人が落としたのね

湖の精:あら、貧乏そうだけど意外とイケメンじゃない

湖の精:どうしようかなぁ・・・・・

湖の精:普通に返しても面白くないしなぁ・・・

湖の精:なんか、こう・・インパクトがありながら、私の満足を満たしてくれるような・・・


湖の精:あ、そうだ!

湖の精:確か昔、おばあさまが・・・


ワクワクしながら湖の底に戻っていく


再び地上


木こり:あぁーあ、どうしよう・・・

木こり:新しい斧を買うお金なんてないし・・・・

木こり:明日からどうやって生活すればいいんだ・・・


木こり:ん? なんか水面からブクブクと・・・


湖の精が現れる


(※思いっきりの女神さま声で)

湖の精:汝(なんじ)、何をそんなに困っているのですか?


木こり:斧を落しちゃったんです


湖の精:そうですか、それは困りましたね。


木こり:はい、斧がないと生活が出来ないんです


湖の精:それは大変ですね

湖の精:私が湖の底から、斧を拾ってきましたよ


木こり:本当ですか! ありがとうございます


湖の精が金の斧と銀の斧を見せる

湖の精:あなたの落した斧は、この金の斧ですか、それとも、こちらの銀の斧ですか?


木こり:は? 何言ってんの?

木こり:ってか、おばさんって誰?


湖の精:おば・・・おば・・・おば・・・

湖の精:落ち着いて、落ち着いて・・・

湖の精:彼はまだ状況を理解出来ていないだけなのよ、

湖の精:落ち着いて・・・


湖の精:私はこの湖の精です。

湖の精:斧を湖の底から拾ってきました


木こり:はぁ・・


湖の精:さぁ、あなたの落した斧は、この金の斧ですが、それともこちらの銀の斧ですか?


木こり:それって、新手の詐欺か何か?


湖の精:さ、詐欺って・・・

湖の精:違うわよ! 失礼ね!

湖の精:あんたが困ってるから助けてあげようとしてるんでしょ


木こり:とか何とか言って、その金の斧のローンを組ませようとか


湖の精:しないわよ! 

湖の精:あんたが正直に答えたら、どっちもあんたにあげようと思ってるんだから

湖の精:真面目に答えなさいよ


木こり:なんで、見ず知らずの俺にそんな事すんのさ


湖の精:あんた知らないの?

湖の精:木こりが湖に斧を落としたら、湖の精が現れるのよ


木こり:だってここ池だろ


湖の精:湖よ! ホント失礼ね

湖の精:まぁ、いいわ、 で、どっちなのよ金の斧? 銀の斧?


木こり:どっちもいらねぇーよ


湖の精:何でよ


木こり:貰ったってどうしようもないじゃん


湖の精:あんたバカねぇ、売ればいいじゃない


木こり:あのねぇ、おばさん

木こり:知らないだろうから教えてやるけど、

木こり:俺は自給900円でキコリをしている貧乏人なの


湖の精:自給900円って安っ!

湖の精:あんたそれブラックよ、絶対


木こり:今はそんな事はどうでもいいんだよ


湖の精:あら、そう・・・


木こり:つまり、俺は財産も稼ぎもない貧乏人なの


湖の精:あら、イケメンなのに可哀想ね


木こり:ほっとけ

木こり:・・・で、

木こり:そんな俺が、金の斧なんて売りに行ったらどうなると思う?


湖の精:どうなるのよ・・・


木こり:どこから盗んできたんだって話になるでしょ


湖の精:あら、そうなの?


木こり:そうなの!


湖の精:人徳の問題?


木こり:違う! 俺が貧乏ってみんな知ってるから


湖の精:あら、そう・・・


木こり:それに、だれがこんな池の・・


湖の精:池じゃなくて、湖!


木こり:あぁ・・

木こり:だれが湖の精から貰ったって話を信じるのさ


湖の精:信じないの?


木こり:信じねぇよ!

木こり:どうせ怪しまれて買い取ってもらえないか、警察に没収されて終わりだよ。

木こり:だから持ってても仕方がないの、ってか持ってると困るの


湖の精:ふーん


少し拗ね始める湖の精


木こり:分かったら、鉄の斧返して


湖の精:イヤッ


木こり:なんでだよ


すねる湖の精


湖の精:私退屈だったんだもん・・・

湖の精:あなたが困っているから助けてあげようと思ったんだもん・・・

湖の精:湖の精の話とかも、やってみたかったんだもん


木こり:あ・・・いや・・だから・・・あの・・


湖の精:だいたいさ、あなたが斧を落すからいけないんじゃない


木こり:そりゃ、そうだけど・・・でも・・


開き直る湖の精


湖の精:だから、この話を最後までやってくんなきゃ、斧は返してあげない!


木こり:え!!

木こり:いや・・・あの・・・


湖の精:ふん!


暫く考え込む木こり


木こり:・・・わかったよ、やるよ、やればいいんだろ


湖の精:ホント?

湖の精:ちゃんと最後までやってくれる?


木こり:あぁ、最後までやるから


湖の精:やった!

湖の精:じゃ、私が出てくるところからね。

湖の精:あなたはそこで、さっきみたいに困ってて

湖の精:じゃぁ行ってくる!


チャポンと水の中に消える湖の精


木こり:いっちゃったよ・・・

木こり:なんで俺がこんな・・・

木こり:でも斧の為だ・・


木こり:(棒読み)斧を池に落としちゃた・・・・どうしよう・・・・

木こり:あぁーあ、どうしよう・・・ 新しい斧を買うお金なんてないし・・・・


湖の精が現れる


湖の精:汝(なんじ)、何をそんなに困っているのですか?


木こり:斧を湖に落としてしまいました


湖の精:そうですか、それは困りましたね。


湖の精が金の斧と銀の斧を見せる


湖の精:私が湖の底から、斧を拾ってきましたよ

湖の精:あなたの落した斧は、この金の斧ですか、それともこちらの銀の斧ですか?


木こり:いえ、私が落してのは、そのような豪華な斧ではありません、みすぼらしい鉄の斧です


湖の精:まぁ、あなたはなんと正直な人なのでしょう

湖の精:正直な者へのご褒美として、この金の斧と銀の斧を両方を差し上げましょう。

湖の精:さぁ、受け取ってください


木こり:だから!


木こり:それ貰っても困るんだって。

木こり:鉄の斧だけでいいから返してくれよ


湖の精:何よ!、

湖の精:最後までちゃんとやってくれたら、鉄の斧も返してあげるつもりだったわよ


湖の精:それに、なにさ

湖の精:金の斧だって、何とかして売っちゃう方法を考えればいいんじゃない

湖の精:そんなんだから、いつまで経っても貧乏なのよ!

湖の精:もう正直者なんて大っきらい!

湖の精:ふん!


湖の精が水の中に消えて行く・・・

事の重大さに気付く木こり


木こり:ちょ、ちょっと 

木こり:ちょっと、まってよ、もう一回やるから

木こり:せめて鉄の斧だけでも返してくださいよぉ~

木こり:(アドリブ)


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