第34話

 私はアテナの町に戻る。

 そして、アスモデウス、マモンにも同じように魔王討伐の指示を出した。マモンとアスモデウスもわかったといって飛んでいく。

 忠実な部下をもって私は幸せですよ。


 私は玉座に座る。

 さてと。私はこの国の防衛をしなくちゃね。魔王軍がもし悪魔教と関わっているとしたら感染症でパニックになっている今、叩くチャンスといえるだろう。

 すると、エルフが急いで入ってきて町に侵入者がやってきたという報告を受けた。


「おい、ルシファー! 侵入者だぜ」

「わかっている。魔王軍もなかなか急いで攻めに来ている。フレズベルグ王国を落とすのだったら感染症でパニックになっている今だろうからな。いつ来るかと思っていたがもう来たか」


 私は町の家をバリアで守り、侵入者を迎撃することにした。

 多数の魔物の軍勢が進軍している。私はその中心部に魔法を放った。


「このルシファーの町を通り抜けようとはいい度胸しているな。死ぬ覚悟はすんだか?」

「ルシファー……。やっぱ出しゃばってくるよな」


 と、指揮官であろう人狼が戦闘態勢をとっていた。

 私は魔法を放つ。太陽のような業火が魔王軍を襲う。


「ここをわざわざ選んだのが運の尽きだな。いや……お前の目的はなんとなくわかってはいる。お前は単なる時間稼ぎなのだろう」

「…………」

「魔王の命を推測するとするならば……ルシファーの注意をひきつけ別のところから進軍する手はずだろうな。私が手持無沙汰だとソッチガ困るものな」

「…………」


 だからわざわざここに来たんだろう。

 そうでないと実力が分かっているのにここを通らせる理由がない。私を手持無沙汰にするとすぐに守りに来てしまうことを危惧したんだろう。

 

「まぁ、気にするな。貴様の処理はすぐ終わる」

「それはどうかな?」


 私の背後に吸血鬼のような魔物が立っていた。

 私の心臓部分が貫かれる。血があふれ出す。


「不意打ち、か」

「さすがのルシファーも心臓を貫かれちゃ……!」

「甘いな」


 私は自分に回復魔法をかけて回復させる。

 というか、このルシファーという体、心臓がなくても実は生きていける。たしかに心臓部分はクリティカルだが、それで即死するかといわれたらそうではない。

 だってゲームでそういうシステムなんだもん。心臓を取られたキャラが心臓を胸に入れられると蘇生される世界線だよ?


「胸に穴が開いてしまったではないか」


 私は吸血鬼の頭をつかみ、地面に叩き落して隕石をぶつけた。

 吸血鬼の体が粉々になる。


「馬鹿な!? 急所だぞ!? 心臓がなくても生きていける生物なんているはずがない!」

「私は天使であり悪魔なのだぞ。人間を相手にしているつもりか」

「クソ……! 心臓を狙えばいいと思っていたが……!」

「だが、私に不意打ちを成功させたのは褒めてやる。貴様、名前は?」

「……ガルグ」

「ガルグ。お前、私の部下にならないか? 人狼なのだろう? このまま魔王軍におめおめ帰れるはずがない。戦果も得られず帰るみじめな気持ちになりたいか?」

「戦果なら得られるさ。お前を殺せばな!」


 と、ガルグは狼に変身した。

 体が肥大化し、巨大な大神になる。私の身長よりデカい。まるでドラゴン一頭を相手するかのようなデカさだ。

 だが、デカいだけではだめなのだ。


「ガルゥ!」


 巨大な大神の爪がバリアに当たる。

 バリアはその攻撃をはじいた。


「光属性魔法”天の光”」


 私は手のひらに光を集め、解き放つ。

 光がレーザーとなり、ガルグの体を貫いた。


「もっと穴をあけよう。ハチの巣になりたいようだな」

「ガルゥ!」


 風穴があいても攻撃をやめないガルグ。

 周りの魔物たちも、リーダーが諦めていないからあきらめるな!と周りを鼓舞し、私めがけて襲い掛かってきた。

 めんどくさいな。


「究極火属性魔法”エクスプロージョン”!」


 私はエクスプロージョンを放った。

 ものすごい大きな爆発が周囲一帯を飲み込む。


「やべ、この威力はバリアわれるな」


 私はすぐに町の確認に向かうと。


「ルシファー! お前バリアを破るような爆発を起こすなよ。俺が貼ってやったからいいものの」

「勇者! よくやった」

「んで? 敵さんはいくらだ。千か? 二千か?」

「大体今の爆発で消し飛んだだろう。あの司令官である人狼は虫の息だが耐えている」

「おー、すげえな。ルシファーの攻撃を耐えるなんて」

「お前も耐えれるだろう」

「俺は勇者の力とかパーティーの魔法使いのエリスの魔法のおかげとか諸々だよ。伊達に勇者じゃないって」

「そうだな。勇者はもしものときのためにこの町の防衛だ。悪魔が出払っている以上、砦は貴様だ」

「了解! 魔王軍の好きにはさせねえよ! 勇者の名において、フレズベルグ王国を守る!」


 私はガルグのもとに向かう。


「がる……ガルルガァ!」

「部下も死んだ。お前ももう虫の息だ。これ以上頑張る理由がないだろう?」

「ガルルル……」

「私は情けをかけてやっているんだ。死にたくないのならどうだ? 私はなるべく人の形をしたものに手をかけたくはないのだ。部下になれ」

「…………」

「嫌か? 嫌ならばここで死ね。生か死か。今の問題はそれだけだ」


 ガルグは変身を解く。


「……俺の、妹も、助けて、くれ」

「妹?」


 ガルグはそのまま意識を手放したようだ。

 私はガルグを抱え、城に戻る。手当してやるか。








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堕天使転生~ダメダメな私の異世界生活~ 鳩胸ぽっぽ @mimikkyu_mimi

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