言語化された感動があった

人が誠実に真っ当に生きようとしたら必ずぶつかる問いに対しての一種の回答を綺麗に言語化して物語に落とし込めている点が素晴らしかった。
主人公の理念を強さゆえの傲慢だと感じてしまう強くなることをやめた弱い自分がいる。しかし、だからこそそんな自分が恥ずかしくなるくらいに眩しく見えているのだと思う。
「なんとなく」考えていたことを言語化されることで目から鱗が落ちる思いを沢山の人に読んで味わって欲しいという思いと共に、ある種の真理を突くようなこの小説の唯一性が、広く知れ渡ることで誰でも言葉にできる陳腐な表現に貶められてしまう可能性に儚さを感じている。
今この時にこの小説に出会えたことに感謝したい。

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