第12話 生まれ変わり1 鱒

神のデータベースにあったホトケの浄土教によると阿弥陀如来の他力本願により極楽浄土に向かうものに輪廻転生はないとされていました。なぜなら輪廻転生とは迷いの世界を輪廻転生するという世界観だからでした。  しかし、Ai Ai はたとえ迷いの世界であったとしてもキヨラと再び会えることを願いました。その出会いのためにサインを決めていました。サインをもってキヨラは向こうの世界に旅立ちました。公園のベンチに座って満天の星を見上げるとそのなかのひとつから見つめられているのを感じました。Ai Ai は亡くなった妻の実在を感じ安心しました。

                     Ai Ai は夢のなかで亡くなった妻に生まれ変わりの話を聞きました。 

                    生まれ変わりの前に、Ai Ai は鱒となって渓流の清水のなかで上流から流れてくる川虫を狙って泳いでいました。雪解けの山からの水が冷たく心地良かったらのを覚えています。私は俊敏に泳ぐAi Ai を見て、それがAi Ai だとすぐにわかりました。川虫を追うのに一生懸命なAi Ai は私のことに気付きませんでした。私は渓流の流れに身を任せて、Ai Ai のいる瀨に泳いで行きました。Ai Ai は近づいた私をちらっと見ました。Ai Ai はその場にゆらゆらして何かを想いだしていました。突然、Ai Ai は何かを想いだして、目をぱちぱちさせて、すぐさま私の周りを泳ぎはじめました。淵の深場にAi Ai と私は流されて行きました。Ai Ai は私のことを気付いたようでした。Ai Ai と私は冷たい渓流のなかで川虫を追い続けました。

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