第9話 マリア大統領
その頃の大統領であったスプリング大統領は、シンジュウに帰依して何でもターミ主義の信奉者で、何でもぶっ潰すと人気を博していました。キャンディ帝国のアラク生命などからの圧力により、キャンディ帝国はウセイ事業のターミ化を機械帝国に要求してきていました。スプリング大統領はウセイのターミ化のために、議会まで解散して、G ターミ党は分裂しました。総選挙に圧勝したスプリング大統領は、ウセイ事業のターミ化に成功しました。
帝国政府はシンジュウのなか官営事業をターミ化していきました。ターミ化された事業団地は帝国の外郭団体とセットになっていました。外郭団体に官僚を天下りさせて、そこを官僚の受け皿にしました。ターミ化のなか外郭団体はタケノコのように作られて、官僚たちは外郭団体を渡り歩き、その都度、多額の報酬と退職金を受け取りました。なかには、ターミ化された事業団地と外郭団体の間を、何回もいったり来たりするものも出ました。それはあまりにもあからさまなので、帝国議会において名指しで指摘されました。しかし、官僚もさるもので、極めて巧妙に就任と退任を繰り返し、帝国の臣民から集めたエーンをくすねました。ターミ化された事業団地も外郭団体も、助成金や補助金の受け皿になっていたからです。
スプリング大統領の後を引き継いだマリア大統領もシンジュウの信者で機械帝国は強いものはより強く弱いものはより弱くなって格差は拡大しました。マリア大統領は長い間権力を維持した結果、長期政権によって政治は腐敗しました。マリア大統領はお友達にあれやこれや便宜を与え、長らく認められなかった機械修理学校の開校をお友達に認めたり、帝国の資金で高級オイル三昧のラクサの会を催したりしました。タクシー機械のリモート学園に帝国財産を安値で払い下げた問題にも疑惑を持たれました。 タクシー機械が経営するリモート学園は、開設予定の小学校の名誉校長にオータム大統領夫人がなって、リモート学園ヨウチ部では、小さな子供部品たちに、マリア様~、マリア様~、と合唱させていました。リモート学園には帝国旗が掲揚され、帝国歌の斉唱が義務づけられていました。ヨウチ部の子供部品たちは、チョクゴの暗唱もすぐ覚えました。元機械帝国会議の活動家であるタクシーは、小学校を設立するために、帝国財産を取得しようと画策しました。機械帝国会議は、帝国データの改ざんが問題になって、帝国財産取得にかかる帝国データのなかに機械帝国会議の記載があって、その記述を改ざんにより削除されていることに対して、タクシーはすでに退会していると、関係性を否定しました。では何故に、機械帝国会議の記載を削除しなければならなかったのか不思議です。 財布省は、該当の帝国財産の価格9億5600萬エーンであったものを、地下ゴミの撤去費用として、約8億萬エーンを差し引いて、1億3400萬エーンで売却しました。後で、調査された地下ゴミの撤去についても、運び出す重機の数と合わないことや地下ゴミ量の算定自体に疑問符がつけられました。お金に細かい財布省が、臣民の財産である帝国財産を安値で売却したのは、何故なのかという疑問が帝国議会で取り上げられました。上級役人のリバーが、帝国議会でタクシーとの交渉記録は残っていないと答弁しました。また、別に破棄したと答弁しています。のちに、財布省の役人は、帝国議会でリバーの答弁は虚偽であったことを認めました。堂々と帝国議会において虚偽の答弁をして、臣民を愚弄しています。証人喚問において、リバーは指示や圧力はなかったと証言しました。嘘つきに、いくら答弁させても同じことです。リバーは何の処罰も受けていません。 マリア大統領は学園と関係があったら大統領も議員も辞めますと帝国議会で大見得を切って、その結果、リバーという官僚の命令によって帝国データの改ざんが起きて、レッドという役人が自らの線を切断しました。その当時の財布省の関係部署の役人たちは昇格しました。リバーはその後油取り庁長官に就任して、リバーは何の処罰も受けることなく停職処分と退職金の減額がなされただけです。
レッドという役人は帝国データの改ざんを命じられて、良心の呵責に苛まれてました。レッドの妻はだんだん疲弊していくレッドを見て、とても辛かった。痩せていく姿を見て、身を切り裂かれる思いがしました。レッドが自らの線を切断した後、レッドの妻は真相究明のために帝国オシラスに帝国とリバーに対して訴えを起こしました。帝国は認諾をして真相解明はなされませんでした。帝国オシラスはレッドの妻が求めたリバーに証人尋問を認めず、リバーに損害賠償を認めませんでした。リバーに帝国データの改ざんという大罪を犯させた張本人は誰なのか、機械政府も財布省もこの問題に蓋をして闇のなかに葬り去ろうとしました。
リモート学園のタクシーは帝国資産の安値払い下げが帝国議会で問題になって、小学校の開設が頓挫して、皆オータム夫人の名誉校長の件も立ち消えになってしまいました。 あれだけ尽くした機械帝国会議もマリア大統領も手のひらを返しました。 タクシーは帝国会議でのマリア大統領の発言にとても驚きました。大統領はリモート学園の安値払い下げ問題に関わっていたら大統領も議員も辞めると発言しました。タクシーは保守として機械帝国会議で活動し、今までもリモート学園で開設予定だった小学校でも 子供たちに保守教育をしようとしてきました。しかし、今となってはすべて敵に回りました。タクシーは俺の生涯は何だったのだろうかと思いました。タクシーはいままで関わりあったものすべてに強い怨みを抱きました。
その頃に起きた事件がありました。大財布のホープと言われた長官が、自らの著書のなかで絶賛していた財布団地が、ナンキンタクという不動産団地と結託して詐欺的投資をユーザーに働きかけて、提出資料の改ざんなどした事件でした。そのような財布団地を新たなビジネスモデルとして絶賛していました。通常、財布団地の残高の確認は当該財布団地の発行する残高証明書により確認されるものですが、残高の確認を通帳のコピーにより確認するというとても安易な方法でなされました。そのことにより残高の改ざんの発生する余地が生まれました。残高を水増しし、50萬エーンの残高は5000萬エーンにされました。投資物件の価値も、その物件からあがる賃料収入も都合よく水増しされました。投資するユーザーの収入も改ざんされて、何を根拠に審査されたといえば、その嘘八百の資料をもとに判断されました。それが財布団地から働きかけられたものなのか、ナンキンタクから働きかけられたものかはわかりません。そのような詐欺的行為がお互いの利害と一致したのです。新たなビジネスモデルとされたものは詐欺的手法により築かれたものでした。普通に考えてそんなに収益性の高い与信行為があると考える方が無理があります。そんなうまい話はあるはずがなかったのです。高い収益性は嘘の上に築かれたものでした。騙されたユーザーには投資価値のない物件と多額の借金だけが残りました。騙されたユーザーが、その財布団地の前でシュプレヒコールをあげて、その様子はTV で放映されました。
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