第2話 死んでも逃れられない前世の呪縛

「オギャァー、、、(ハッ!ここはどこだ?)」

天井が凄く高い。拉致られたか?いや、俺は死んだはずでは?そんな事を考えていると、大きな手が降ってくる。

「オギャ(巨人!?)」

逃げる為に起き上がろうとするが中々上手くいかない。そうしてじたばたしているうちに、体を持ち上げられた。

「縺ゅ>縺�∴縺翫°縺阪¥縺代%」

「縺�縺ォ縺ッ縺��縺ー縺溘■縺、縺ヲ縺�」

何か会話をしているが、知らない言語なので情報が得られなかった。逃げ道を探すために辺りを見回す。

(はぁ?)

窓に、ポカ~ンと口を開けた赤子が写っている。取り敢えず頬を抓ってみる。しっかり痛いし、窓の赤子も頬を抓っていた。

(転生したか)

でも、赤子の状態で出来る事も無いし、あったとしても、お世話してくれる人の手を煩わせないことぐらいだな。


そんなこんなで食っちゃね生活をして4年近く経った。今では新しい言語にも適応し、一通りの会話はもちろん小難しい書物も読めるようになっていた。そのおかげで様々な情報を知ることができた。まず、ここは地球とは違う星であること。俗に言う異世界というやつだろうか?因みに、文明は近代日本と同等のレベルである。更に言えば、魔法が大部分を占める世界である。弊害として科学的な遠距離攻撃の手段(拳銃の類)は発達していなかった。魔法が便利すぎるのだろう。

 次に、自分がアレルワーグ王国という大国の第一王子であること。名前は、エルフィルド・アレルワーグらしい。 第一王子であるはずだが、幼少期からの英才教育があるわけでもなく、のびのびと暮らせている。つい数か月前に生まれた弟がいるので、国も弟に任せて隠居生活人生を楽しむとしよう。もう人の目に狂わされるのは懲り懲りだ。

 最後はこの国の貴族が厄介だという事だ。貴族家が出版した本は表現こそオブラートだが、性格の悪さが滲み出ている。それだけならまだよかったが、そこに既得権益が絡みあっているのだからもう最悪だ。王家調査のレポートによると、ここ20年間市場に売られている商品は全くと言っていいほど代わり映えしないらしい。歴史の深い国はそれ相応の腐敗臭がするようだ。まあ、弟に任せるから関係ないが、いずれにせよ貴族連中には関わりたくないものである。


色々な書物に浸かる半こもり人生活をしているうちに5歳の誕生日になった。そんな誕生日である今日に国王であるお父様から呼び出しを受けた。正直悪い予感しかしないが断る事は出来ない。悪い予感が当たらない事を願いつつお父様のもとに向かう。


「王家としての振る舞い等の礼儀作法から魔法や武術に至るまでの幅広い教養を身に着ける為の教育を明日から受けてもらう。」

簡単な挨拶を済ませた瞬間衝撃的な言葉を浴びせられた。

「そんなに急な事を言われましても、、、、」

「勿論準備は抜かりないぞ。」

「そうですか。」

「国王としても、一人の父親としても、”期待しているぞ’’。」

特に深い意味で言った訳ではないだろう。お父様との関係も普通に良好だ。だが、前世に感じた、冷めた視線と惨めな人生の記憶が掘り起こされる。転生してから逃げ続けてきた、異常に人の目を気にする性格に自分自身が蝕まれていく気がした。

「、、ご期待に副えるように精進致します。」


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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。




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異世界第一王子転生 感佩 @Kushi1321

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