友人の出産

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紆余曲折あった利佳子の突然の結婚からその後、ついにその日を迎えた。◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


人生で初めての経験、それは間違いなく今まで経験した事のない最大の苦痛と疲労、痛みと言えるだろう。

それに母親の前であんな行為をするなんて、もう恥ずかし過ぎて二度としたくないけど、あの時は必死だったのだ。



某日

本日は進藤家、第一子の出産予定日。

利佳子は母親のクリニックにて妊婦健診を受けていた。

通常の診療時間が始まる前、朝から内診台の上で両脚は強制的に開かれていた。


「まだまだ子宮口が硬いから、柔らかくする注射しておこうかしらね。ちょっと刺激しておくから出血があるかもしれないけど、この時期だし心配いらないからね。」

「痛ったーーーーい!ちょっと!お母さん、娘だからって加減してないでしょ?」

「そんなことないわよ。刺激するって言ったわよね?」

「刺激って何よ…」


それは固く閉じたままの子宮口に刺激を与え陣痛を促す処置のこと、利佳子の母は通常の診察通りの処置をしたまでだ。

両手を握りしめ、膣の奥で感じる痛みに額から冷や汗が噴き出るのを感じた。


「勉強ばかりしてないで少し出掛けるなり散歩でもして動かないと産まれないわよ?」

「それもそうだけど…勉強できる時間もあと少しだし、出来る限り今のうちにやっておかないと。」

「乳頭刺激して、行為をするのも効果的よ。」

「なっ、行為って…もうこのお腹じゃ苦しいわよ。こう内診受けてるだけでもなかなか苦しいんだから。」

「何恥ずかしがってるの?あなただってそういう事したからこの子を授かったんでしょ。」


開かれたままの両脚の上のカーテンが開かれ、親子の視線が合う。

付き合い始めてからの約二年半、遠距離だったしそういう行為もさほど多くはなかったと思う。

この状況で例の行為のアドバイスとは何とも微妙な空気が漂っていた。


「台下げてもらっていい?そろそろ股関節キツいから。」

「ごめんなさいね。下着履いたら隣の部屋に来てちょうだい。」


利佳子はティッシュを数枚取り股の間を拭き取るとショーツを履き、もうすぐ誕生する大きく膨らんだお腹を撫でた。

そしてこの後のエコー検査も今日が最後かと思うとどこか寂しさが込み上げ、これまで体内で繋がった我が子との十ヶ月間にも及ぶ様々な思いが駆け巡る。


「ちょうど起きてるみたいね。ここが心臓で…指咥えてるの分かる?動きも問題ないわ。子宮口は固かったけど柔らかくする注射はしてあるから、これからいつ陣痛来てもおかしくないから気をつけて…はい、これ写真ね。」


エコー写真を受け取るが写し出されたそれが頭なのか胴なのか、どこなのか分からない程、既に大きく育っていた。

その後、ノンストレステストを受けるため別室へ通されると、利佳子の腕には医学書が抱えられていた。


「モニター付けますね。」

「ありがとう。」

「利佳子さん、ここのクリニックを継ぐんですか?それかどこか別の病院に?」

「本当は外で学べたら良いんだけど、ここの病院は後継がいないからね。私も一人娘だし後々は継がないと。」


大学編入を考え始めたのは数年前のこと。

一度は母親とは別の道を進み、国際公務員という安定した職には就いたものの、やはり一人娘として自分の立場が気になっていた。

父親が存在していれば状況は違ったのだろうが、母娘の関係を思うと親孝行として一緒に病院経営することが恩返しになるのではないかと、自身の妊娠を機に漸く行動へ移す事にしたのだ。


「それではまた30分ほどしたら来ますね。何かあったらナースコースで呼んで下さい。」


一人部屋で静かに横になっていると、お腹の子の心音がトクトクと部屋に広がる。

時折り激しい胎動により痛みを感じたが、それはここ数ヶ月ではいつもの事。

その間、母親のお下がりの医学書を広げ、産後は難しくなるであろう学びの時間を一分たりとも無駄にしないよう読み漁った。



その夜

「お帰りなさい。結局、今日陣痛来なかったわ。」

「ただいま。やっぱり初産は予定日通りにはいかないか…」


産まれる気配のない自分の身体の状態から、予定日ではあったが夫に仕事へ行くよう伝えたのは利佳子の方だった。

それでも夕飯の支度をしながらキッチンとダイニングテーブルを往復するたけで息が苦しくなる。


「ふぅ…快人くん今日もお疲れ様。」

「利佳ちゃんもお疲れ様だね。今日も検診、お母さんに診てもらったんでしょ?何だって?」

「まだ子宮口が固いからって色々処置してもらって来た。でね…その、今夜出来る?」

「何かする事あるの?」

「あの…して欲しいんだ。お母さんが色々と刺激するのがいいって。」

「あぁ、なるほどね。俺は利佳ちゃんが大丈夫なら大歓迎だけど。」

「そしたらお願いするわ。」


快人にとってはもう何ヶ月もお預け状態だった。

久しぶりの行為が陣痛を促すための行為になるとは思ってもいなかったが、それでも妊娠中の妻を抱ける事に興奮していた。

二人一緒にバスタイムを終え、裸のまま寝室に雪崩れ込んだ二人は一気に進む。

入浴中も既にスキンシップを楽しんでいた二人は、すっかり潤いその状態を保ち、とっくに準備が整っていた。


「もういい?俺、久しぶりすぎてあまり優しくできなそう…」

「陣痛来るように…奥でいっぱい気持ち良くしてね。」


快人はゆっくり押し進めると出来る限り優しく最奥を目指す。

そこへ突き当たると更にその奥を押し込み、二人はこれ以上進むことの出来ない深さで交わうと快人は一度動きを止めた。


「俺、もっと利佳のマタニティ姿見てたいけど、そんなに早く産みたい?」

「こんな身体でも愛してくれるの?」

「そりゃあね、愛してるに決まってるじゃん。」

「でも…予定日過ぎたし、そろそろ赤ちゃんに会いたいわよね。お腹は重たいし腰も辛いのよ。」

「じゃあ、俺に任せてもらうよ。」


快人は腰を掴んだまま激しく前後に揺れ、呼吸を乱すと同時に片手で突起を擦る。

これが堪らなく気持ちよく、利佳子は加えて自分の胸の先端に触れると、その快感は体力を大幅に消耗させた。


「止めるの?」

「いや、もう…そのままだよな。」


数ヶ月ぶりの快感に我を失っている夫。

刺激によりこのまま出産に繋がったとしても今となってはそれで良く、再び生身のものを挿入すると、その後は絶頂を目指し登り続けた。


「はぁっ、利佳…最高に気持ちいい、ありがとう。」

「快人っ、中っ…」

「もうムリ…!」


二人の夫婦、男は女の大きな腹を慈しんだ。

この幸せな時間と共に、利佳子はお腹の張りがあることに気付く。



翌朝

起床すると出血が見られた。

昨晩の行為の事もあり、そろそろだろうかと覚悟を決めた。


「お母さん?おはよう。あのさ、さっき出血があったからそろそろ近いかも。散歩がてら家行っていい?」

「破水はまだ?家来るなら今日も診てあげるわよ。」

「破水はしてない、出血だけ。じゃあこれから向かうわね。」


徒歩で十五分ほどの距離、朝の散歩が気持ち良い。

股関節と腰がいつもに増して痛み、オリモノだろうか、歩く度にショーツと皮膚がくっつく感じが何とも不快だ。

クリニックへ到着すると手が離せないという母親の指示により、モニターによるチェックを先に行うため部屋へ通される。


「あれ…利佳子さん張りが強いみたいですけど大丈夫ですか?とりあえずモニター付けて様子見ますけど、先に先生にもお伝えしておきますね。」

「朝出血があったから、そろそろだと思うの。」


暫くすると利佳子の母が現れ、モニターと長く伸びた記録紙を確認する。


「手が離せなくてごめんなさいね。張りが強いって聞いたけど、これもうあなた陣痛来てない?張りの波が定期的に来てるみたいだけど?」

「確かに…奥の方がじんわり痛いかも。」


正直言うと朝からこの痛みはあった。

ただ、それが昨晩の激し過ぎる行為による痛みだと思っていたのだ。

モニターが外され診察室へ向かう頃には、常にその痛みが気になり同時に腰の痛みも増していた。


「はぁ、ふぅ…お母さん、ちょっと痛いかも…」

「痛いかもじゃなくて痛いのよ。波が十分間隔だしもう陣痛ね。このまま入院しましょう。」


予定日を過ぎて二日目、行為による効果がこれほど有るとは思っていなかった。

併設されている実家へは既に入院のための荷物は運び入れており、それも身内としての特権だろう。

フリースタイル分娩を希望している利佳子は和室に通され、そこで陣痛から出産までを過ごすこととなるが、これくらいの痛みならば実家に残されたままの自室でゆっくりしていた方がよりリラックス出来るような気がしていた。


「母さん?私家にいちゃダメかしら。まだ痛み弱いし、荷物もまだ向こうに置いてあるし。」

「私はもう患者さん来ちゃうから行かれないけど、あなたがそれでいいなら大丈夫よ。破水したり痛みに限界が来たらこっちに来てちょうだい、タイミングはわかってわね。」


その分野を学ぶ娘に対してだからだろう、初産だというのに放置されるのは何となく寂しいものだ。

利佳子は慣れ親しんだ親子で暮らした家へ戻ると、リビングいつも通りノンカフェインコーヒーを自分で入れ、テレビを見ながら寛ぐ。

胎動はまだまだ激しい。

快人にも状況について連絡を入れ、仕事帰りに寄ることとなった。


「利佳子?痛みはどうなの?」

「あれ…寝ちゃってた。もうお昼?お母さんごめん、私何か作っておけば良かったわね。」

「そんなの別に良いわよ。それにしても余裕そうね…内診してあげるからちょっと寝てみなさい。」


まさか実家のリビングで診てもらうことになるとは思ってもみなかったが、素直に従う。

子宮口は6センチ開いていると言う。


「6センチ開いててまだその痛みなの?」

「そうね、全然まだ大丈夫。それより痛み、引いて来たみたい。」

「そう?今日も子宮口刺激しておくからね。」

「え、待って!それは嫌、昨日のあれは本当ムリ!」

「無理って言ってもダラダラ痛いのはあなたも辛いでしょ。脚ちゃんと開きなさい!」


脚を閉じ抵抗するが、母には逆らえないが、されるがまま不快な痛みに耐える。



それから夜を迎えクリニックの診療時間を終えると、快人がやって来たが、破水もしなければ痛みが強くなる事もなかった。


「昨日は快人さんとしたの?」

「…したわよ。というか、そんな率直に聞かないでよ。」

「じゃあ、一応効果はあったみたいね。ちゃんと今夜もしてから快人さんは帰らないとね。」

「今日も?ですか?ここでは流石に…」


快人の言わん事は理解できる。

それならばと、母は別の陣痛促進のための手段を提案した。


「乳頭刺激も効果あるのよ。これは医学的行為だから何の恥ずかしいことでもないのよ。」


夫の前で、母は遠慮なく娘の乳頭刺激を始める。


「あら、もう母乳出るんじゃない。これを快人さんがやるのよ、ほら。」

「こう?ですか?」

「そんな触るだけじゃダメよ。もっと強くしないと意味ないわよ…そう!それを続けるの。」


すると快人は自身の下半身が疼き出し徐々に呼吸を乱し、その変化に母も気付く。


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友人シリーズ アカリン@とあるカップルの家族誕生小説 @akarinrin123

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