第一章閑話「暗闇に生きる者達」
京都、
その大広間では会議が執り行われていた。
「…あと「ピエロ」は落ちたわ。
…あの子の事だから情報の漏洩は心配しなくても良いと思うけど。」
そう付け足して報告を締めた。
それを聞くと眼鏡をかけた男が鼻で笑う。
「貴方の部下の練度も落ちましたね、満。
諜報員が敵の手に落ちるなど…
全く…笑えない冗談ですよ。」
眼鏡をかけた男…愚者参謀の
「ま、そういうなよ。
今回の話を聞く限りだと相手が悪かったみてぇだしよ。」
そういうと軍隊長である
「「相手が悪かった」
…そんなことでは済まされませんよ。
我らの目指す理想を達成するには慎重な作戦が必要不可欠です。」
景道は声のトーンを低くしつつそういう。
完璧主義の彼には
今回の件は納得できないらしい。
「「ピエロ」が落ちたのは痛手ではあるわ。
けれど彼のもたらした情報は大きいわ。」
「確かに興味深いですねぇ~。
「ピエロ」を落としたほどの人物とは。」
資料を読みながら
研究員の
「これだろ?
「ピエロ」を落したのは
学生である可能性が大きいってやつ。」
豪楽は資料の一文に指を差す。
「そうですね~。
彼は組織の人間である前にプロです。
そんな彼を落したんだ。
相当な実力者であるのは
間違いないでしょう。」
嘉崎は資料に目を通すと
「はて。」と短くつぶやく。
「資料にはその学生の候補が二名、
載っていますね。
捕獲対象だった赤崎はともかく
この
成谷は嘉崎の問いに煮え切らない態度をとる。
「この
執行部の
彼が「ピエロ」の正体に感づき
倒したのでは?と思ったんだけれど…
そんなに実力があるわけでも
なさそうなのよね。」
成谷は資料をめくりながら話す。
「潜在能力値はクラストップだけれど
憑依はほぼ意味なしで
召器もなまくらしか出せない。
能力も特になし。
控え目に言っても劣等生感は否めないわ。」
景道はため息をつく。
「そんな者がプロを倒せるとでも?
そんなことは天地がひっくり返ってもあり得ないでしょう。」
「でも、かなり機転はきくようね。
大型の怪異ロボ相手に
戦略で勝ったみたいだし。」
豪楽が「へぇ。やるじゃねぇか」と呟く。
「…どうせまぐれでしょう。」
そういうと景道は話は終わりと言わんばかりに資料を机に置く。
「実力はともかくこの潜在能力値は
目を疑うものがありますね~。
私、興味が湧いてますよ。」
「それじゃ霊井とかいう奴は嘉崎に任せるぜ。
俺は赤崎の力を見極めておきてぇ。」
「そういうことだが問題はないだろうか。」
成谷はずっと口を出さずに
静かに聞いていた人物に判断を仰ぐ。
「……許可する。
手段と数は問わない。」
その男は端的に答える。
「……だが油断はしないことだ。
危地に追いやられた
恐ろしいものは無い。」
男は不敵に笑った。
―あとがき
霊能戦記一章閑話いかがでしたか?
また新たな人物が登場しましたね。
第二章ではどうなってしまうのか…!
そして今回で第一章が完結しました!
第一章で出てきた用語の解説はこちら↓
https://kakuyomu.jp/users/-Hisuto-/news/16817330664642568453
第二章に備える意味でも読んでみてはいかがでしょう?
では次回「因縁?津中と霊井」でお会いしましょう。ノシ
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