第二章邂逅!愚者《フール》編!
第十七話「因縁?津中と霊井」
あの事件から数週間後、
霊専は中間試験に向け試験期間に入っていた。
今日は休日の為、
テストに向けて勉強をする者が多い。
…そんな中、教科書を睨みながら
頭を悩ませる人物が一人。
「…全くわからん。」
「
勉強教えてくれないか?」
隣で茶を立てていた由銀に助けを求める。
「…零士、吾輩は戦国の世の者ぞ?
この時代の勉学を教えれるわけがなかろう。」
由銀はそろばんを弾きながら
「算学ならば教えれるが…」と付け足す。
…だが残念ながら数学系の教科はない。
「
携帯に手を伸ばし千春の番号に掛けてみる。
『この時期に電話を掛けてくるってことは
「勉強がわからない」って助けを求めに来たんでしょ。』
千春はため息交じりにそう言った。
…開口一番で見破られると
心にくるものがあるな。
だが今は手段を選んでいる場合ではない。
「…その通りだ、千春。」
『なんで偉そうなのよ…。
あー、あと今回は諦めてね。』
へ?
「…今なんて」
『今回は先客がいるのよ。
…言っとくけど男子禁制だから。』
「ちょっ…と待て。
なら俺はどうすりゃいいんだ!」
千春がため息をつく。
『自分で考えようよ…。
もう切るからね。』
非情にも電話は切られ
ツーツーという音が聞こえてくる。
「千春のやつ…今度覚えてろよ…」
思わず呟くと
横で電話を聞いていた由銀がため息をつく。
「…零士、千春殿は悪くないぞ。」
ド正論を言われて俺は机に突っ伏した。
――――――――――――――――――――
その後、由銀に
「
「勉強を教えてほしい?
別に構わないよ。」
「ありがてぇ…」
ありがたさで思わず涙がこぼれそうになる。
「せっかくだし図書館に行くのはどうだい?
その提案に乗った俺は
正明と一緒に図書館に行くことになった。
―――――――――――――――――――――
「はぁー
零士は昔から変わらないな。」
「今の電話、霊井っちからなの?」
夕日さんがそう聞いてくる。
「うん。零士は昔から勉強で困ったら
まず私に相談してくるの。」
そのおかげか
勉強を教えるのが上手くなったんだよね。
「あ…あの。
凪さんはその…霊井君とはどういう関係なの?」
橋倉さんの言葉に
危うく飲んでいたジュースを吹き出しそうになる。
「な…何にもないよ!
零士とはただの幼馴染なだけ!」
その言葉に夕日さんが
新しいおもちゃを見つけたような目で
「本当に~?」とニヤニヤしながら言ってくる。
「本当だよ!」
思わず叫ぶ。
橋倉さんは気を使ってくれたのか
「…昔の霊井君ってどんな感じだったの?」と
話題を変えてくれた。
「…昔の零士?
んーとね、今と違って結構やんちゃだったよ。」
―――――――――――――――――――――
俺たちは図書館に向かう途中、
近道をする為に少し狭い通路を歩いていた。
するとガラの悪い奴らが行く手を塞ぐ。
「…なんの用だ。」
ガラの悪い奴らは明らかに敵意を持っていた。
そしてそいつらの中から見覚えのある人物が出てきた。
ヤクザのような人物、
「こいつらは君の仲間か?」
俺は開口一番で問う。
津中君は冷たい目で「あぁ。」と一言だけ発した。
「まさかてめぇがそうだとはな。」
「……なんのことだ。」
津中君は途端に怒りを露わにする。
「…ふざけてんのか?
忘れたとは言わせねえぞ。」
津中君は正明を見る
「こいつとつるむのはやめておいた方がいい。
なんたってこいつは…」
「やめろ!!」
俺は大声で叫ぶ。
「…昔のことだ。
俺はもう昔とはきっぱりと縁を切った。」
「縁を切った?ふざけるなよ。
てめぇに恨みのあるやつは
数え切れねぇくらいいるだろうが」
そこで津中はにやりと笑う。
「だったらこれでどうだ?」
津中が合図をすると津中の仲間が
手足を縛られた青い髪の人物を連れてくる。
「…!小林!」
思わず声に出す。
津中は鼻で笑いつつ
「”青鬼”も大したことねぇな。」と呟く。
小林はボロボロになりながらも俺を見て
「すいませんっす。
零士さんはもう足を洗ってんのに俺が…」
「もういい!それ以上喋るな!」
津中を睨みつけ
「古巣に手を出しやがったのか。」と
「まだ手は出していねーが、
お前が落とし前をつけなけりゃ…
やっちまうかもな。
こいつみてぇに。」
そう言いつつ津中は小林に
召喚した槍を向けた。
「やってやるよ、クズ野郎。
手ぇ出さなければよかったと
後で後悔すんなよ?」
その言葉を聞くと津中はにやりと笑う。
「…やっとやる気になったか。
―あとがき
霊能戦記第十七話いかがでしたか?
第二章になって早速、怒涛の展開です。
零士の過去、鬼人衆、謎の因縁…
次回は過去回になりそうですね…。
では次回「鬼人衆」でお会いしましょう。ノシ
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