ニホンヌから来た流民たちが獰猛で話も通じないのでダンジョンを蓋して間引いたら、亡骸を抱いた最後の一人が血の涙を流して魔王になっちゃった

@pawwn

ニホンヌから来た流民たちが獰猛で話も通じないのでダンジョンを蓋して間引いたら、亡骸を抱いた最後の一人が血の涙を流して魔王になっちゃった

サクライがすごい形相で言った、人の心を持たないお前らは人とは言えない、だから皆殺しが妥当

サクライは腕に血管を漲らせて黒くて恐ろしい剣を持っている、あれはやばい、私たちはサクライに調子を合わせた

そしたらサクライは癇癪を起こして地面を切りつける、それでフィオリーナ通りがパックリ引き裂かれた、避難も間に合わないし経済への深刻な被害は想像するのも恐ろしい


ひどい惨状、阿鼻叫喚

私たちは真剣になり、国王、流民管理官、ダンジョン調査官、魔王予報士など関係者を引っ張って誰に責任があるかを話し合う

ネバーエンドダンジョンに蓋をするアイデアは私が出したからその話になるとまずい

私の巧みな導きで魔王予報士が全責任を負う方向で話がまとまりかける

賢者とか呼ばれてる浮浪者の爺が進み出た、私はこの野郎すっこんでろと窘めたが、予報士がまあ言ってみたまえと水を向ける

爺は言った

「古来からチートはハーレムを以って制すと申します、サクライも恋人を失って傷心の様子、そこで生え抜きの7人の美女子をあてがって心を慰めるのです」

一理ある

しかし反論もでる、どこの家が好き好んで大事な女子を提出するか、

7人もいらんのではないか、3人もいれば十分ハーレムなのではないか、2人との婚姻も違法だしずるいのに


そうこうしているうちに翼を広げたサクライが天空から溶岩を吐いて穀倉地帯が燃えた

驚いたカラスたちが東へと飛び立つ


私たちは急いで話を進める、4人がいいそれが良かろうとなり、サクライにあてがう女子を4人選んだ

1人は魔王予報士の娘 私の根回しの賜物だ、魔王予報士もサクライのように血涙を流したが魔王にはならなかった

女子4人にトーガを着せ、目をキラキラさせる魔術と花かんむりで飾り、聖杯・聖剣・聖杖・聖金貨を持たせて教会の屋根でたそがれるサクライの元に向かわせる


近づく女子たちにサクライが気づく、意図を察したらしい、こんなことをして何だ、ホノカはもう戻らない、戻らないんだ、と吠える

ああ怒らせた、終わりだ、と誰かが言ったがサクライは屋根から降りて4人の前に立ち、ひとりひとり見る

すごいぞ、サクライが興味を持ってる、やはり爺は賢者であったか

4人は笑顔でサクライを迎える サクライを手懐ければ一生遊んで暮らしていいと言い含めてるから女子たちも必死だ 胸の大小も取り揃えてる

うまくいくだろうか……私たちは静まり返ってサクライの様子に注目する


気に入らなかったらしい サクライはひと薙ぎで4人を肉塊にするとまた吠え、ぼくの心が女で買えるものか、許さんぞと稲妻を撒いて国民を焼き始める

そんな、認めてくれないなんて かなり奮発したのに

爺は4人では足りなかった、サクライの好みが読めないから13人用意すべきだ、と主張するがもういいよお前、サクライはこっちに来てる


こっちに来てる!


まずいまずいと私たちは震え上がる テーブルを蹴って立ち上がる 生え抜きのワインの瓶が落ちて粉々になる

要人が集まってるのがバレたようだ 私たちは散り散りに逃げようとするが、「縮地」サクライが立ちふさがった「そこに直れ!」空気がビリビリ震えて大理石の柱が割れた


まだ焼かれてない、まだ生きてる、とにかく私たちは言う通りにする

しかし内心ではこんな理不尽があるかと震える、どうしてノーブルの私たちが怒られなければならないのか

私たちに向かってサクライが問いただす 誰が閉じ込めた、言え

私は頭を猛回転させて実質は魔王予報士が閉じ込めたようなものだという理屈を編み出すが、それを言う前に全員が「こいつです」私を指さした


ふざっなんで!?!?!?


こいつは何者かとサクライ、親のコネで要職に就いたネクロマンサーですと予報士。お前お前お前

ネクロマンサーがどうしてとサクライ、ニホンヌ人たちの死体を引き取る腹でデスゲームを考えたようですと予報士。お前!お前!お前!

こちらを見るサクライ。ああああああああ

「お前のせいでな、ホノカがよ」


そこでサクライ沈黙。うう……?


なんか、キョトンとした顔で私を見ている。何? まだ始末されてない、余計に怖い。


サクライの顔が複雑化する。困ったような悲しいようなすがるような。私は震える、意味が分からなくてゾッとする、周りのノーブルも固唾を飲んで見守ってる

よし、誠実さだ! 私は謝罪した、ホノカは私が殺しました、気の済むなら私も殺してくれていい こんなこと言うと余計逆鱗に触れるかも知れないが何も言わないのももっと悪いかも知れんから迫真の演技だ

サクライは黙ってこちらを見てる。何を考えてるんだ、何か言ってくれ!

誠実さが足りないか? 私は短剣を抜いて自分の喉に当ててみる、するとサクライは慌てて私の手を掴んだ おお?


ぼくと結婚してくれ、と目を見て言われる。おおお?


私は腑に落ちた、サクライのお眼鏡にかなう女子は私だったのだ、私はまだ若いがそれにしてもよく求愛されるからなんでかと首を傾げていたが、サクライを一撃で惚れさせたこの事態をもって観念して認めた、私はそんなにかわいいんだろう

サクライは返事を待ってる 私は笑顔で答えた「喜んで!」

サクライは股間を怒張させており私は本当にイヤだったが、嫁になどなりたくなかったが、この状況、生存ルート、魔王を手懐ける報酬、ネクロマンス研究に枯渇する予算、色々考えると選択肢などないに等しい


引っ張られたかと思うと、私はサクライに抱き抱えられて市中を凱旋した 生涯最大の恥晒しをもって私はこの男と結ばれた


そして私たちは共に暮らす この国で

サクライが暴れなくなると国民はサクライに怒りを向ける、サクライが人々にもたらした被害は決して小さいものではなかった、とは言うもののサクライが保有する暴力は国民に赦しを強要した

サクライを責めたがる者は多かったがたまに山とか潰すと大人しくなった


私たちは草原の家で、ニホンヌとワロリンヌのハーフをぽこぽこ増やした

私は死を弄くり回すのも好きだったが、自分の腹で子をこしらえる楽しさも知った 増えろ増えろ、魔王の子供たち 勇者に備えるにも人足はあってありすぎることはない


暮らし始めの頃、私はサクライに頼まれてホノカを生き返らせることがあった 当たり前だ、生殺与奪を欲しいままにする血涙の魔王に逆らうなど考えられない

しかし繰り返すうちにふざけたことをさせられてると思うようになり、いつしか不満が勝るようになる なんだお前ハーレムさせるのか? 私を使って?

今ではもちろんそんなことは許さない

たまにそんな素振りを見せてきても、ひと睨みすればサクライは黙るようになった


ある日笑ってるときの私の顔を見てぼそっと言われる、チートには敵わんなと そうか

人生は奇妙と私は思う

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