反抗期娘と廃課金暗殺者

@sirousa212

依頼

時は2023年10代は普通に学生としての生活を謳歌し、社会に出たものは理不尽に立ち向かい賃金を貰い生活する。

それが当たり前になった平和な世の中にも表と裏がある、それは何年前、何十年前にも表に生きる人間と裏に生きる人間が存在し、表があるところには必ず裏がある、それは世の中も人間も一緒なのだ、まさに表裏一体と言えるであろう。


「はぁ、はぁ…くっそ!なんなんだアイツ!」


今日も今日とて逃げ回るが1匹



「は、はは、ここまでくりゃもう追ってこねぇだろ…はやくあいつらに…っでええ!!」


「あんたうっさいよ、別に何もそんな逃げなくていいじゃん。追いかけるのだってタダじゃないんだよ?」


けたたましい銃声…ではなくきちんとサプレッサーの付いたピストルで男の手を撃ち抜く、手の甲を貫通し通信手段であるスマホもこれでお釈迦だ。


「んとね、あんたが何したか知らんよ?たださぁやれって言われてんのよ。それがなきゃこんな追いかけて捕まえるーなんてめんどい事しないって」


3階建ての建物からひょいと鉄棒から降りるようにその人影は何事もないように降りてきて標的ターゲットへ告げる


「わ、わかったぁ!わかった!何が欲しい?!金か!女か!いいぞいくらでもくれてやる!」


「え、いくらくれんの」


「100万か!200か!?」


そう男にせがまれ一瞬が考える素振りを、見せなかった


「どうだ!?……あ”あ”あ”あ”!!」


「残念あんたの報酬は220万だよ、残念だったね」


そうして男は足を打たれたあと額を撃ち抜かれ絶命した


「……もしもし?終わったっすよ」


『そうか、早かったな。今日は帰りに事務所に寄れ』


「はい?直帰じゃないっすかいつも…車は?」


『もうすぐ着く、さっさと乗ってこい』


「はいはい、相も変わらず人使い荒いっすねぇ?仕事の連絡ならメールで……って切れてるし」


そうして彼はおもむろにスマホからあるボタンを押した


「やるか、完凸。さすがに50万くらい突っ込めば出るだろ」


ただのスマホのアプリ、つまるところソシャゲだ


「今回のピックアップどうせ人権だろ?ハイ完凸させますー、1凸2凸は論外なので完凸したらTw○tterあげよーっと」


そう、先程殺すことになんの躊躇もなかった人間の本性は金の力にものを言わせSNSのフォロワーを煽ろうというただのゴミなのだ


「はい?もう100連行きますが?すり抜けすら来ないんだが?」


「まってまって、天井で違うやつ来たんだけど、え?300連天井で一体も来ないま?」


しかし彼はとんでもなく運が悪い、悪すぎるのだ。同じキャラを当て、合成することによりスキルやレベルの上限を挙げることを【凸】と言い、それをこのゲームでは4体当てることにより凸を完了させる、【完凸】である。それをするのとしないのとでは文字通り天と地、月とすっぽん、環境に入るか入らないかが決まってくる。それをするのに彼は常に2桁、下手をすれば3桁万の費用を要するのである。ただの馬鹿である。


「あの、ほんとに3%あります?星4全部合わせて3%ってことですか?ピックアップ意味してます?」


「おい、そこのお前。君が【黒】か」


路地から出ると車から降りた黒いスーツを来た人間が彼にそう問う。


「…ああ、そうらしいね。だとしたら何?」


「君のような少年が…?まぁいい、乗れ」


「そ、で?あんたが事務所まで?……ハイハイ無視っすか」


彼の問いを無視し、黒の高級車は彼の行き先である事務所へと進んでいく。




「おりろ」


「はいよ」


車で30分ほど揺られ目的地へ到着した車から

黒のスーツを来た男とラフな格好の少年が降りてくる。

そこはどこにでもあるようなビルの1階、小さくも看板には【佐藤探偵事務所】と書かれている。


「はぁ、おつかれっすー、なんの用っすか


「ため息を着くな、依頼人の前だ」


「はぁ?わざわざこんなとこに来るって物好きっすねぇ、んで、なんの依頼です?最低1000万は無いと今の自分のやる気はないっすよー」


「安心しろ、トータルで計算すれば2000万の依頼だ」


「え、でか…えぇはい!どんな御用でしょうかお客様!お茶でもだしましょうか?なんならマッサージもつけますよぉ?」


現金である、先程までの態度とは一変し、なんとお茶を出し肩まで揉もうとする現金っぷりである。しかしよく考えて見てほしい、殺し屋に出されるお茶やマッサージなど以ての外ではある、信用もへったくれもない。


「いえ、遠慮しておきましょう。今回は雑談をしに来た訳ではなく依頼です、手短に」


「そうですか、かしこまりました。何なりと申し付け下さい!」


「相変わらずだな貴様は」


「うっさいっす、世の中金なんすよ」


「んんっ!話を進めても?」


「すまない、内容を聞いても?」


そうボスと呼ばれる大男と少年の茶番のようなものを見せられた、見るからに厳格そうな雰囲気を放っている男は依頼について詳しく説明を話した


「依頼はこの女の護衛です」


そう言って男は一枚の写真と共にその写真の女の情報を提示した


「護衛…?security guard?えっとうち殺し屋ですが」


そう、あくまで少年…【黒】と呼ばれるものは殺し屋である、依頼は8割殺し、残りの2割は通常の探偵業である。そのような所にあろう事か護衛である。殺しを専門としてる黒にとって護衛というのはいわば真反対の依頼だ


「ボス、どゆことっすかうちは殺しっすよ」


「分かってる、ただこの依頼とは別に通常の暗殺依頼等も請け負うがな」


「この依頼とは別に…?ちょまってくれます?もしかして任期あるタイプ、っすか?嘘ですよね?長いの嫌いって言ってますよね?自分の以来受ける条件に入ってますよね?」


「貴様がさっき言っただろう?、とな」


「ガチ殺したろか、おまえ」


「ふん、ガチャ引ければなんでもいいくせに変な条件もクソもあるか。さっさと情報を整理しろ」


黒は殺気を抑えることなく、先程依頼人の男が提示した情報がまとめてある書類と写真を整理する。


「マジでいつか…はいはい、名前は望月もちづき 彩音あやね、東京都立相川高校2年生の16歳…って学生じゃないっすか。どーやって護衛しろと?遠くのビルから一生スナイパー担ぐだけとかやりたくないっすよ」


「安心しろ。近くで守ればいい」


「近くって、教師にでもなりゃいいんすかぁ?」


「惜しいな、当たらずとも遠からず。簡単な話だお前もこの高校に入ればいい」


苦笑する黒にボスはさも当然の様に高校に入れという


「え、は?え?」


「2度言わんと分からんか?」


「逆にこれで理解できる人間が居ると?いい加減眉間ぶち抜くぞ?」


「お前の収入源はなくなりゲームも出来なくなるがな」


困惑、殺意、ただその言葉で黒の脳内が埋め尽くされながらボスの無茶ぶりなんていつもの事かと割り切ろうとするが割り切れない葛藤が押し寄せる


「わかりましたよ…てか2000万って!?」


「察しがいいな」


「そのことに関しては私から説明させてもらいます。この女は私の娘です、しかし先日、口論の末一人暮らしをすると強行し、知り合いの賃貸物件へと住む場所を移したのですが、お世辞にもセキュリティ等はいいとは言えません、そこであなた達へと依頼をした訳です。任期は2月100万の契約という話です」


「それと同時に通常の依頼も込というわけだからな、いい話だと思ったわけだ、勿論護衛対象【お嬢】の近くにも住んでもう。経費は依頼主が払うとのことだ」


「え、だるくないっすか?仮に同じ教室で授業を受けてる時に狙撃されましたとかなったらどうするんすか」


「そこはお前が何とかしろ」


「はい出ました無茶ぶり、まぁそういう世界っすから何も言えねぇっすけどね」


「勿論この事は学校側に言えるわけもないので、本人にもくれぐれもバレないようにお願いします」


つまるところ喧嘩して家出した娘が心配だから月100万払って殺し屋に守ってもらうおうと

ただの行き過ぎた過保護である、行き過ぎにも程があるが


「わかりましたよ、ええ、ただ殺し屋に狙われることなんかあるんすか?ただの金持ちの娘くらいだったら別に殺し屋つけて守ろうなんて思いませんよね?なにがあるんすか、それくらい聞く権利はこちらもあるはずですが」


「それについては説明しましょう。私は表では【airia】という化粧品メーカーを経営しています」


「ちなみにこのairiaは国内トップの化粧品メーカーで年50億の売上を立ててる会社だ」


「年50億ですかい、そりゃまた随分なお金持ちということで」


「話を戻します、あまり表立って言えることではありませんが私の会社は裏で銃や弾薬等の密売も兼ねた商売をしています。ここからは話さなくてもわかるでしょう」


つまりはこの社長は裏で密売をし、表では大手化粧品メーカーを経営してる大オーナーだと、もちろんそうなってくると裏にも踏み込んでいるため裏の人間から狙われる。そして娘を捕まえることによりその地位から退けようと、そういった話という事だ


「なるほど?んでいつからっすか、もうこの際受けるしかないんでしょう?ボス」


「話が早くて助かる、任務はだ」


「出ました明日から、これ訴えたら勝てるのでは?」


「捕まるのはお前もだがな」



「話は以上になります、それでは2年間よろしくお願いします」


そういい社長は頭を下げ、先程黒が乗ってきた車へと乗り込み帰って行った


「んでぇ?ボス、裏あるんすよね。こんな普通だったら受けないような話あんたに裏がなきゃ考えられないっすけど」


「ふん、相変わらず勘が鋭いな。まずひとつにお前の持っている銃や弾薬、それらはあいつから卸してる。もちろんメンテナンスや改造もな」


「はいはい、それでもうひとつは?」


「任期が終わり次第娘を盾にその地位に座る」


「ははっ、あくどいっすねぇ?そしたら俺の給料もあがりますぅ?」


「いくらでもくれてやるさ」


「契約成立っす」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

反抗期娘と廃課金暗殺者 @sirousa212

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ