【パイロット版】異世界で『宗教』ビジネス~信者が『カルト教団化』し、国を滅ぼそうとしてます。誰か助けて下さい~
誰よりも海水を飲む人
第1話 こうして俺は神になった。
この作品はパイロット版です。映画の予告みたいな感じで書いております。
実験的な短編作品なので連載するかは未定とさせて頂いております。予めご了承ください。
それではごゆっくりどうぞ(≧▽≦)
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『 人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっている。 キリストも、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には罪を負うためではなく、御自分を待望している人達に救いをもたらすために現れてくださるのです。 』
―― へブライ人への手紙 九章 二十七-二十八節 ――。
もう、何日たっただろうか……。
荘厳な造りの神殿。その上層階の一角。教祖の部屋。
豪華絢爛な家具が立ち並ぶ、その広々とした部屋の中で……。
どういう訳か……
閉じ込められているといっても……。
朝昼晩三度の豪勢なご飯付きで、部屋の中には、お風呂もトイレも完備している。
やることも特にないので部屋でゴロゴロする日々。いわゆるニート、無職生活だ。
まあ……トイレと言っても『アヒルのおまる』しかなく、元現代人のおっさんの俺からしたら、抵抗はかなりあったが……ここは異世界。そこはご愛嬌だろう。
とにかく、何不自由のない生活だった。
しかし、この部屋から一歩も出られない、という点。それだけが俺の心を酷く盲目にしていた。
「 俺は……どこで、どう、間違えたんだ。 」
暗がりの部屋で一人、頭を抱えながらその考えに更ける。
この異世界に来てからというもの……本当に色んなことがあった。
一文無しの状態でこの異世界に転移し、この地方都市<ボンペイ>の最大の危機、『疫病』の蔓延を食い止め、一躍時の人に。
……その功績を認められ、領主からの後ろ盾も得ることができ、見事この都市の悪徳教団を追い出すことに成功。更にこの街で新たな事業を起こし、資金も人材もかなりいい感じに集まってきた。
ちなみに、この『アヒルのおまる』も、わが社で作った、売れ筋商品の一つである。
……まさしく、順風満帆。
我ながら上手く立ち回っていた、とそう思っていた。
そんな矢先に……。
まさか
コン!コン!
――部屋中に響く、ノック音。
「
分厚く閉ざされた扉の向こうから女の声が響く。
ガチャガチャと、幾重にも張り巡らされた南京錠。外される鎖。
( しめた! )
開かれた扉から純白の祭服に身を包む――若い金髪の女性が姿を現した。
すぐさま俺はその足にしがみつき……必死に訴えた。
「 フィデス! 俺が悪かった! だから……今すぐここから出してくれ! 」
すると、女はそんな俺の頭を優しく撫でる。
「 ふふふ、
そう、嬉しそうな表情を浮かべながらその口元を歪ませる。
絶対噓だよ、この女!……だって目元が全然笑ってない……マジの目だよ!
「 ……申し訳ありません、
――えっ……皆様?……待っている?……誰が?
戸惑う俺を置き去りにしてフィデスは「 これに着替えて下さい。 」と……卸し立ての服を手渡してきた。
一体、俺に何をしようとさせているんだ?
ん……。
白いウールの祭服に……。
首から掛ける帯『ストラ』。
赤い靴紐のない革靴『ローファー』
白と金の頭蓋帽『ミトラ』。
まるで
「 僭越ながら、御着替えをお手伝いさせて頂きますね! 」
気が付くと――なすがまま に、脱がされていく。
これでは子供のお着替えみたいで恥ずかしいぞ!
あの……フィデスさん! 退席してもらえませんか?という、視線を投げると。
彼女は微笑みで返してくる――。
雄としての抗えない本能。
その息づかいが聞こえる程までに近い距離。揺れるストレートロングヘアが淡く金色に光る。
甘い香りと吸い込まれそうな碧い眼。艶やかな唇、白い肌……。
……おっと、いかんいかん……いい年こいたおっさんが、年頃の女性に発情してどうする。
こんな時は大人の余裕だ。
思い出せ!優しかった、あの田舎のおばあちゃんを……。
彼女が見つめる中、そそくさと着替えを終え……。
「 まあ!よくお似合いですよ 」
そう、曲がった『ストラ』を直し、改めて全身を見つめてくる フィデス。
その胸の前で両手を添え、ウットリと微笑む。
………………くそっ!あざと可愛い!
その笑顔に俺の脳は完全に蕩けていた。
もう、どうでもいいや……考えるのは良そう。
「 さあ!こちらですよ 」
手を引かれ……長い廊下を歩かされる。
もたつく足元。
これが青春……いや――パパ活ってやつか!
やがて、奥に太陽の日が差しこむ。
ざわめく残響が、その光の輪郭にとけていく。
眩しいっ……。
暗闇に慣れた眼を細め、外界――神殿のバルコ二ーへと出ると……。
「 何だ……これは!? 」
そこには異様な光景が広がっていた。
「 「 教主様! 」 」
眼下を埋めつく、大群衆。
街角の隅々まで犇き、鮮やかな紙風船が飛び交う。
「 「
大気を震わせる大合唱。祝福の鐘が鳴る。
その讃称に思わず、息を呑む。
老若男女、人間、亜人種。様々な人種が俺を見て、その歓喜の声を上げる。
その目に映るのは、憧憬、羨望、崇敬。
拝み、祈る信者。
目が合うだけで泣き崩れる老婆。
子供達は皆、楽しそうに手を振る。
既視感。この情景に覚えがある。
そう、これはどこかの国の。
そこで、俺はようやく理解した。
ああ……これはもう……
「 「 聖女様! 万歳! 」 」
「 流石は
そう、可憐に微笑む 聖女 フィデス・ガリア 。
( な、これはお前の仕業かぁぁぁあ”あ”ああ!フィデス!俺を騙しやがったな! )
「 おお、すげぇな……! 」
……無頓着な漢の声が聞こえてくる。
真白なローブ服に煌びやかな甲冑。長身の屈強な騎士。
燃えるように赤い短髪。その右手に握られた黄金の槍が鋭い光を放つ。
「 「 聖騎士様! 万歳! 」 」
「 ……これなら、今すぐ王都を攻められるんじゃないか! 」
そう、端正な顔立ちに不敵な笑みを浮かべる センブル聖堂騎士団 総長 ユーグル・ドモアン 。
( おい!この戦闘狂が!物騒な事を言うんじゃねぇぇぇええ”え”え! )
「 うふふっ。そうね…… 」
……艶やかな声色が響く。
漆黒のローブ服に隠し切れない豊満 な身体。靡かせるウェーブロングヘアの黒髪にハーブアロマの香り。その口元のほくろに妖艶さを纏う魔術師。
「 「 枢機卿様! 万歳! 」 」
「 ここから始まるのね、
そう、顔に手を添え恍惚の表情を浮かべる 枢機卿 マリー・スクエット。
この厨二女が!お前は少し黙ってろぉぉおおお”お”おおお!
止まない喝采が鳴り響く。
場内のボルテージは最高潮。
発狂し、煽り出す
駄目だ……こいつら
ゆっくりと後ずさりをする俺の背中を……。
そっと柔らかな手が抑える。
瞬間――俺の耳元で囁く、フィデスの甘い声。
「 さあ、この敬虔なる信者達に、慈悲のお言葉をかけてあげて下さい…… 」
これではまるで……。
まるで……。
俺が……
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お読み頂き誠にありがとうございます。
この作品のテーマは
『 しがないおっさんが異世界でどんどん神みたい扱いになっていく無双劇 』です。
繰り返しになりますが
こちらはパイロット版となっており
続編物にするのかどうかは現在、検討段階です。
気になった方、『少しでも面白そう!』と思った方は
良ければ、いいね!と評価、ブックマークをお願いします。
また、
『こんなフック(読者が興味をそそられるポイント)あったらいいな!』
というコメントも、どしどしお待ちしております。応援よろしくお願いします。
連載版が決定しました
新しいタイトルは
『 異世界のゴミアイテム『聖遺物』で『宗教ビジネス』……のはずが『ルネサンス・宗教改革』~ 追伸、信徒が『カルト教団化』し、国を滅ぼそうとしてます。誰か助けて下さい ~ 』です。
https://kakuyomu.jp/works/16818023213827425211
パイロット版見て気になった方は
引き続き、こちらでお楽しみ頂けると幸いです。
【パイロット版】異世界で『宗教』ビジネス~信者が『カルト教団化』し、国を滅ぼそうとしてます。誰か助けて下さい~ 誰よりも海水を飲む人 @hizayowai2020
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