第9話

あれから3か月ほど経過した。

今は3月下旬だ。


リハビリの方は順調に進んでおり、日常動作であれば問題なくできるように迄回復した。

運動の方はまだまだ体力が戻っているわけでは無いのだろうということで低速でランニングマシーンを使って走る運動をしている。

といっても前の世界の僕はデブだったから、どちらにせよ運動が苦手だった。


故にどの程度で体力が戻っているのかは実感が湧いていない。

なお、本来であれば僕は既に退院できる身でもあったが、その予定が伸びた。

その理由は護衛官の存在だ。


僕が再就任・・・というかクビにした人を復帰させるように要望をだし、母さんは直ぐに護衛会社に要望を出した。

そして護衛会社の方は既にその人物・・・というか3人いたらしく、

その3人をクビにしたあとだったわけだ。


そのため3人を再度呼び寄せるという多大な手間をかけることになってしまい、

自宅に帰るにせよ僕の安全が確保できない為、退院を延期させることになった。


とはいえ、本来病院は病人や怪我人が入院する場所だ。

元気になった僕がいつまでも病室に入院しているのはよろしくないので、病院の寮にでも住まわせてほしいと依頼をしたが、

そこは男性だからということで断固拒否された。


そこまで男性優遇の世の中なんだな・・・

と驚き半分呆れ半分の僕だった。


そしてその3か月ほどした所で変化が3つあった。


1つ目はそのクビにしてしまった男性護衛官を再就任させることができたそうだ。

3人とも、最悪に近い形で任務に失敗したため、もはや行く当てもなく路頭に迷っていたそうだが、依頼人から再就任の要請があったため、飛びついてくれたそうだ。

その知らせに僕は安堵する形になった。

もし、再就任を依頼しなければどうなっていたことやら・・・と。



2つ目は精液検査の結果が出た。

はっきり言えば最高ランクの精液だったらしい。

1mlあたりでの精子の寮も過去最高レベルに到達しているとのことだ。

驚きだったのが、この世界がパラレルワールドなのも影響しているのか分からないが、僕の精子は女性の子宮の中に酷似した環境の中で1か月半も生き延びたらしい。

流石に最初の精液検査で採取したものは、今となっては全て死滅したそうだが、それでも驚異的な生命力で普通はあり得ないとのことだ。


普通なら2日程度で死滅するのが当たり前の為、女性の排卵周期に合わせて2日に1回ほど行為に及ぶのが基本となるそうだが、

女性の排卵周期がおおむね30~40日程度に1回ということらしいので、僕の精子を子宮に受けた女性はそれだけで、妊娠する計算になるそうだ。



そしてこれが変化3つ目。

目覚めた初日に僕は加奈子さんに性欲をぶつけた。

性格には加奈子さんのナカにたっぷりと出したのだ。


2つ目の検査結果にも出ていることである、加奈子さんは妊娠してしまった。

『してしまった』と言ったが、彼氏もなにもなく、男っ気なんてあるはずもなく、本来であれば積極的に自分を売らなければ、冷凍精子に縋るしかなかった彼女。

それに対してより自然な形で妊娠できたことで喜んでいるとのことだ。


この世界では男性自体が希少なため、そもそも子供を作る機会が少ない。

それに加えて人工授精はまだ不安定なことも多く、受精しなかったり流産してしまうことも多いらしい。


そんな中で安静に過ごせば安定して出産できるということで、本当は僕が入院している間は積極的に働きたいと意思を見せていた加奈子さんは、

病院の院長命令で強制的に産休に入ったそうだ。

まぁ病院の従業員が自然な形で妊娠したのに、働かせて流産させたら外聞が悪いことこの上ないのだろう。

それに関しては致し方ないと思う反面、ちょっと悪いことをした気がする。



本来であれば4月から高校生活が始まるから、僕はさほどゆっくりしていられないのだが・・・

実は暇を持て余してもいた。

それは男性は最初の1か月は通信で授業に参加する形になる。

女子生徒たちはその間に男子生徒を迎え入れるために準備をするそうだ。

なにやらクラス内におけるガードとかそういうのらしい。


というのも1クラスに必ず1人は男子生徒がいるというわけでもなく、むしろ地域によっては学年に1人もいない学校もあるそうだ。

そのため、男子生徒を獰猛に狙う女子生徒もいることが懸念されるため、学校内におけるガードを選抜しているそうだ。


とはいえ在校生たる2年生、3年生は選抜できても、僕と同じ1年生は選抜ができない。

そのため1か月間の態度を見て、任せても安心かどうかを見るための時間とされている。

それにともない学校の女子生徒には選抜されたメンバー以外には、僕が初登校を迎えるまではトップシークレット扱いとなるそうだ。


確かに情報が流れてしまえば、そのために演技をする女子生徒も出るだろうしそこは頷ける。



なにはともあれそういう形で僕は待っていたわけだ。

もちろんその間に精液採取という名目のもとで精液の提供を行っている。

流石に持たない可能性があるので週に一度くらいを基本にしてやってもらっている。

時々、変に発情してしまったときは緊急の精液採取を行ってもらっている状態だ。


ちなみにこのやり方により病院は国からの評価が上がっており、補助金が出ているそうだ。

採取した精子は優秀らしく、現段階でも外部の病院とはいえ、妊娠する女性が多くなり始めたらしい。

まぁそちらに関しては僕は精子を提供しているだけなので、基本無関心だ。

あえて言うと、僕の事情を知っている人に色々任せたい考えがあるので、基本は冨浦さんか重村先生に手伝ってもらっている。


とはいえ流石に悪いので、通院形式に変わったら2人にも子供が欲しいか聞いてみる予定ではある。




そうしてのんびりの入学を待っていると、再就任した護衛官との面会の日取りが決まったと連絡があった。

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(仮名)貞操観念逆転世界に転生した僕はいろんな人から愛される きよすいようはねた @jckmlivly

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