第2話
前回のお話。
古代人ガーネット王妃の遺体を見つけた。その遺体は腐敗してミイラ化することが無く、まるで眠ったまま生きている人間そのものような姿であった。超古代の時代を生きてきたにしては若々しく綺麗過ぎる。綺麗なまま寿命を迎えたのだろう。そう思った俺はガーネット王妃の胸を開胸して心臓を両手で持った。
死んだ人間にしては心臓があまりにも艶やかで綺麗すぎるからだ。
そして俺の予想通り、心臓が顕になったガーネット王妃の心臓は綺麗な状態で俺の両手の中で鼓動を始めたのだ。「やっぱりか……」
そう呟いた時だった。クレオパトラ風の女性、もといガーネット王妃の亡骸が動き出したのだ!そしてガーネット王妃は目を閉じたままこう言った。
「あなたは誰?私の身体に何をしたの?」と……。
俺が手にしている艶やかなオレンジ色の心臓を見て
「それは私の中にあるモノ……あなたは何者なの!?」
とガーネット王妃は驚きながら目を開いて俺の方を見て自分が生き返ったのだと理解すると、今度は嬉しそうな表情になって
「まさか私は蘇ったというのかしら?でも何故?」と不思議そうな顔をしていた。
そこで俺は「貴女は先程まで死んでいましたが、私が蘇生させたのです」
「えっ?では貴方はあの言い伝えにある死せる英雄様!?」彼女はそういうと俺は彼女の鼓動する心臓を胸の中に戻して閉胸した。
俺は彼女に事情を話した。すると彼女は納得してくれたようで、俺は彼女から古代文字で書かれた書物を見せて貰った。そこには死者蘇生術について書かれてあった。そしてそれを読んだ時に分かったのだが、どうやらこの魔法を使うには生きた人間の魂が必要なようだ。しかも、その魂の持ち主との相性が良い必要があるらしい。要するに、死者蘇生を行う為にガーネット王妃自身がその魔法を使う際に自らの心臓を止める必要があり、その後に蘇生させる相手が必要ということなのだ。
つまりは、片方が死んだ後にもう片方がその者の魂を手に入れることで初めて発動可能となるのである。
これなら確かに不老不死になれる筈だ。
しかし、俺が今手にしているこの魂の持ち主はもう既に死んでいる。ガーネット王妃自身が自らの心臓を止めて相手の魂を抜きとるという禁忌の魔法によってガーネット王妃は鼓動を止めて眠りにつくことに成るからだ。
俺はそんなことはさせられないと必死に彼女を説得した。すると彼女は少し悩んだ末に自分の胸に手を当てて彼女が死者蘇生の力を発揮すると同時に彼女の胸の中から赤い光が出てきた。
そしてそれをガーネット王妃はその光を掴むとそのまま両手に掬い上げた。
その光が収まるとその掌の上には1つの宝石があった。
その宝石を眺めていた彼女はやがて決意を固めると俺に向かってこう告げた。
「この宝石を受け取ってください。これは私の心です。これを私の代わりに持っていてください。いつかまた巡り会う時まで……」
王妃との出会い 茜 @Tsubaki525525
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