第13話 覚悟、してね?

「秋君……具合どうかな。まだ、目が覚めないんだね」



「私はまだ松葉杖なしで歩けないけど、順調に回復してるって。でもあの時、秋君が助けてくれなかったら、きっと私は今頃……。ありがとう。本当に……ありがとう」



「藤倉君と遥ちゃんから……全部聞いちゃった」



「秋君が目を覚ましたらいろいろお話しできると思ってたけど……起きれないのは、それだけ具合が悪かったんだね。辛かったんだね。そして……今も苦しんでるんだね」



「ごめんなさい。気づいてあげれなかった。それなのに逢いたいとか……今でも好きだとか……何を、言ってるんだろうね私……ヒド、いね。本当に……自分勝手」



「秋君。助けてくれてありがとう。私の事を思って、いっぱい悩んで……大切にしてくれてありがとう」



「もしあの時、本当のことを言ってくれてたら……なんて言わない。秋君が一生懸命考えて、苦しんで、出した答えだから」



「でもね、やっぱり涙が出るよ。秋君が苦しんでる間、私は何にも知らないまま過ごしてた」



「秋君の、心と体の痛みから、遠い遠いところにいた。……本当にごめんなさい」



「でも、今は違うよ」



「そして、これからも違う」



「……このひと月、いろいろ確かめた事があるの」



「私、ドナーになれるって」



「ドナーに、なれるんだって」



「私は今でも、秋君が大好き」



「たとえ嫌われても、秋君の力になりたい」



「だから」



 私のできる事をする。



「だから」



 秋君に襲い掛かる運命の、風よけになるよ。



「だから」



「だから」











 覚悟、してね?


 








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