第12話 一年半


(『明里ちゃん、今日こそは合コン行こうよ!』……か。ごめんね。行ってみたら楽しいのかもしれないけど、いつも断っちゃってる……)



(……男の人の話題が出ると、どうしても秋君を思い出してしまう。未練、たらたらだね。あれから一度も連絡取れないのに。ワガママ言って、秋君を困らせて嫌われた私だし、しょうがない、ね)



(話し方を変えたり、落ち着いた色の服を着るようにしたり……秋君に振り向いてもらえるような自分を目指してしまう。一年半、かぁ。秋君、頑張ってるよね。会いたい、なあ)



(あれ? ホーム、すっごい混んでる。信号機故障、電車遅れかあ。次の電車に……うーん、今日はおうちでお母さんとご飯作らないと、だしね。あんまり遅いとお父さんお酒ガマンしてしょんぼりしちゃう、ふふふ。頑張って乗ろうかな。あ、電車来るみたい)



「あっ! ごめんなさい!」



(うう……ぶつかっちゃった。電車の止まるところまでなかなか進めない。ちょっとだけホーム側歩いて行こうかな……この駅、ホームドアないから怖いけど)



(……ふぅ、少し進めた。このあたりでいいかな。あとは列の後ろに並んで、え!! 同じ方向に避けて……)



「ご、ごめんなさ……きゃあ!!」



(落ちる?!)



「きゃあああああ!」
















「明里!!」
















(えっ、誰?! 引っ張ってくれた……でも、そんな風に体を入れ替えたら……、ええ?!)



「秋君?!」


「よかった……」


「だめぇ、秋君が落ちちゃう! 秋君!!!」



(……服! 絶対に離さな……、!!!)



 ……


 …………


 ………………

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