第6話 初めてのクリスマス

(あと、30分。うう、私服でふともも出すなんて小学校振りだよ! ……黒いキュロットさん、クリスマスなのです。私をお姉さんっぽく見せて下さいね? も少し笑顔の練習! にこー。ふにゃー)



「素敵な笑顔を練習中のお嬢さん、こんにちは」



(ふっふのふー……え? 私? ……後ろにオシャレな感じの人がおりますです。高校生? 高月君が私にそんな事言わないよね、回避っ!)



「ああっ! 高月だよ!」


「高月君と言えば振り向くと思ったかぁ! って、はぅ?!」


「中濱さん。今叫びながら振り向いてたよね……うわ、近い?! ど、どうしたの! 僕、何か変?!」



(か、か! カッコいいー! バンドやってる人みたい! これはぁ! はぅはぅはぅ!)



「全部聞こえちゃってるから! 周りにも! やめてー!」


「はい! いったんお口チャックします。じいいぃぃ、んんんん。……んんんんぁあ、にゃー! 開けました! でね、バンドの人みたい!」


「お口チャック五秒……。このコート、従兄弟が着てるの見て欲しくなって、どこで売ってるのか聞いたら譲ってもらえたんだ。従兄弟はバンドやってて……え! ほっぺた膨れてる? 何で?!」


「高月君が私をナンパした! ナンパする、の?」


「ナンパした事なんかないよ! あの、中濱さんが……その、可愛くて。今日一緒にいられるのが嬉しくて。だから、ふざけすぎちゃった。ごめんなさい」


「むー。そんなこと言ったって中濱さんはごまかされないんだから……なら、どのあたりがカワイイですか! 20文字以内でお願いします! 今日、おめかししてみたの! 清水きよみずの舞台から飛び降りてみたの!」


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