第3話 夏の終わりに 〜くるしゅーない!〜
(夏休みの宿題も、高月君のお陰で終わったし! 今日は海だあ! うっみうっみうっみうっみ☆ クラゲが出る時期だからって泳がないで遊ぶって決めてたけど……それでも嬉しい! きゃあ!)
(わ、私……落ち着いてえ! 一人でこんなに浮かれてたら呆れられちゃうよ! 無心……無心……すやあ……はう?!)
(今日のお弁当は、頑張った! 早く高月君に食べてほしいな。ふわふわに包めた玉子焼きに、足の長さ違っちゃったけどタコさんウィンナーに……あ!)
「中濱さんおはよ。どうしたの? お弁当を膝に乗せて」
「にひひー。まあまあ、座りたまえ」
「そ、そんなに高速で椅子を叩かなくても……」
「くるしゅーない! もしや、わらわの隣が嫌だと申されますか? 悲しい事です、うるうる」
「滅相もござりませぬ。で、では姫様。失礼
「か、カッコいい! はぅはぅ!」
「中濱さん近い! 近いです!」
「……くぅ~ん、きゅんきゅん……」
「そんな切なそうな表情しないでー!」
「はぅはぅ! うにゃー!」
「堂々巡りだよ! あっうそ、何で嚙もうとするの?! く、くすぐったいってば!」
●
「お弁当、いつもありがとう!」
「私が好きで作ってるんだから、いいのです! にひひー。今日のお弁当、自信作なんだ!」
(むふー。海でお弁当を食べた高月君に、『今日のは特に美味しいよ! 中濱さんをお嫁さんにする人は幸せだよね(ちらっちらっ)』とか言われちゃったらどーしよ……)
「ほ? 何で頬ツンってするの? しーっ、て何で? ……あああ、また?! あー! 手を掴んじゃダメなの! ふにゅうぅっ!」
「揺さぶり禁止、くっ……あの、さ! 真横に座ってれば……聞こえちゃうよね?! い、意外に力強い……!」
「そこを何とか! そこを何とかぁ!」
「あっ……うそ、捕まったー」
「捕まえたぁ! 揺さぶるよ? うやあー! あ、でもでも中濱さんの事は忘れないでね! 忘れたら怒るよ! やだやだ、ひどいよぉ!」
「僕が、現在進行形で、ひどい事に、なってー」
【ピンポーン。仲良しのお二人様、仲良しのお二人様。本日もバスの車内では、お静かに願います】
「「は、はい! ごめんなさいいぃぃ!」」
「な、仲良しぃ? きゃあ! でも、優しい運転手さん、皆さんごめんなさい! あああ……また高月君に乙女の秘密を……」
「秘密になってないよ中濱さん?!」
(私……高月君の事、『好き』じゃなくて、こんなに『大好き』だったんだ……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます