お隣さんと飲み明かす夜


「じゃーん!! おつまみ沢山作ったからね!!」


「春雨とえのきの甘辛炒めでしょ、ミックスナッツの乾煎りでしょ、茄子とピーマンの肉味噌炒めでしょ、サツマイモの甘煮でしょ、鳥そぼろでしょ、それからお土産の鮭とばの硫黄燻製とあたりめでしょ、あとデザートの紅イモタルト」


「これだけあれば、どんなお酒もばっちこいってものよっ!!」


「あなたは何飲む? 私はねー、買ってきたこの大吟醸を早速開けちゃおうかなーって、思ってるんだけど!!」


「えぇー? まずはビールなの?」


「まーでもそれはそれでいいわね。ビールのチェイサーにこの大吟醸飲んじゃおうかしら!!」



「えぇ? 酒のあてに酒飲むのは心配になるからやめてほしいって? うーん、まああなたがそう言うのであればチェイサーはちゃんとお水にするけど……」


「飲みたいなー? 大吟醸、私とっても飲みたいなー?」


「ふふーん、そう来なくっちゃ!!」


「それじゃあ、そうねえ……」


「私たちの未来にカンパーイ!!」//僅かな照れを滲ませる


「ぷはー!! キリッっとしてておいしー!! これお水みたいよ!! むしろおいしいお水よ、こんなの!!」


「はぁー!! たまらんっ……!! やべー、いくらでも飲めちゃいそうっ……!!」


「つまみ沢山作ったのに、いらないかもー!! これ、お酒だけでも延々飲めちゃいそうっ!!」


「えぇ? いくら何でもペースが早すぎるって? そりゃ、ペースも早くなるわよー!! だって今日はいいことあったもの!!」


「いいことあったら楽しくなって、沢山飲むのよ!! そんで嫌なことがあったら、飲んで忘れるのー!!」


「何ぃ? 今日のこと忘れられたくないから、ほどほどにしてほしいって? あははは、うれしーこと言ってくれるねっ!! でもだいじょーぶ!! 飲んだ後のことは忘れるかもしれないけど、飲む前のことは忘れないわよー!! なんだったら鉄パイプで頭殴られてたって忘れないんだからー!!」


「うふふふ、うふふふふー」


「私はあなたのために、あなたは私のために元気に生きるのよー!! だからほら、飲め飲めー!! 一緒に楽しく飲みまくるわよー!!」


「おわぁっ!?」


//SE派手な物音


「あいたたたぁぁ……、ってあれぇ?」


「おっ、顔近ーい。頭庇ってくれたんだ? 助けてくれてありがとうねー」


「折角だし、ちゅーする?」


「そんな恥ずかしがらないでよー。もういいじゃんちゅーくらいいつしたってさぁ!! ねー?」//酔って陽気になっている


「ちゅーしようよー?」


「ほらー、ちゅーって、ちゅーってさぁー」


//SEリップ音


「えへへへ。なんかちゅーしたら実感わいてきたー」


「もう私離さないんだからねー!!」


「嫌って言っても、離さないよ!!」


「別れるって言われても、絶対別れないからね!!」


「一生しがみついてちゅーしてやるんだからー!!」


「恥ずかしいって? いいのー、私は恥ずかしくないもーん!!」


「あっ、口淋しくなってきた。またちゅーしよ?」


//SEリップ音


「へへ、えへへへ……、えへへへ」




「お、おはよう……」


「っ~~~~!!」


「覚えてる!! ちゃんと全部何もかも、覚えてるよっ!!」


「うぅ……、は、恥ずかしい……。なんでこんな時に全部覚えてるのよ、私ぃ……」


「そんな安心しないでよっ!! 私は恥ずかしすぎて死にそうっ!! やだー、飲んだ後の記憶は忘れていて欲しかったー!!」


「その前? そりゃ、その前は忘れたくないし、酔ってるときにも言ったけど、鉄パイプで頭殴られたって忘れたくない」


「もー、何安心してるの? そもそもお風呂での出来事は全部シラフだったんだからね!! 忘れるわけないでしょ!?」


「でも、えぇっと……、その……、不束者ですが、どうぞ末永くよろしくお願いします」


「うん、私も好きだよ、……、愛してる」

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隣に住んでる負けず嫌いなお隣さんと日帰り温泉旅行に行く話 加賀山かがり @kagayamakagari

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