第23話

「おばちゃんが結婚して子供産んだらいいの?」


家に帰ってからも、夕食の時間までも尚巳はその話ばっか。


「なーにバカのこと言ってんのよ、尚巳が跡取りになれば?」


おばちゃんは呆れてる。


「やだよー!私モデルだもーん!ねーお父さん!ねー聞いてよー」


「なに?」


「私、弟が欲しいなー?」


まじで言うとか、ばかだよ。


「はぁー?なんだよそれ」


「おにーちゃんはすごい頭いいから、他の仕事もやってみたいんじゃないかなぁ」


「なんだよ、辰巳は仕事したくないわけ?」


「知らないけどー。でも私、弟がいたらもっといい子になるかもよ?」


「そーいうのは、りおに聞いてよ。俺は産まないから」


「そーだね!ママに聞こうっと!」


「尚巳はバカだなー。なー辰巳」


尚巳がバカすぎて困ったものだ。


「あーママ!おかえり!」


「ただいまー!ご飯に間に合ったよー」


「ねー弟が欲しいの!ママ、産んでよ!」


「え、えー?!お、お父さんはなんて?」


「ママに聞いてって!」


「え!ほ、ほんと!?」


意外な反応をした。子供欲しいの?


「ま、ありえねーよな」


「違うの?」


ちょっとだけ、母は悲しい顔をした。

うーん、この話はまずかったみたいだ。


「じゃあお兄ちゃんが子供作ればいーよ!」


「尚巳お前、うるさい」


「もーひどーい!」


まったく。散々な目に遭った。尚巳のせいでデートも台無し。そんで、家でも母に嫌な思いさせてしまったし。はぁ、まったく。


…あ。


ポケットからすぐに出てきた。

真矢からもらったピアス。


俺に似合うかな…


って、まずは穴開けて…

そうだ!


「ねぇ、俺ピアスしようと思うんだけど、開けるのうまい?」


クソ親父だけど、こういうのは相談しやすい。


「はー?お前ダメじゃね?私立だろ?」


「え…校則違反?」


「…辰巳あんたバカでしょ」


皐おばちゃんには言われたくない!


「そんなのバレなきゃいいし!」


「あんたバカだからすぐバレる」


「辰巳はのろいからな」


「なんだよ!じゃあ、俺と同じ年齢のとき開けてなかったのかよ!」


「はぁ?俺は私立じゃねーし」


くそ。公立はなんでいいんだ!

でも、真矢はよくバレないよな…。


「てゆーか辰巳、なんで急にピアスなわけ?」


「別に…おばちゃんには関係ない」


「あー、あれか。彼氏ヅラしてかっこつけてんだ」


「違うから。もういいよ!」


くっそー!今日の俺はダメダメだ。

このピアスは、卒業してからつけるしかないな。

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初恋 えいみ @fukuharaeimi

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