第2話

     2

ピピッピピッ

朝が来るたびに絶望する。仕事に行きたくない。別に好きでこの仕事に就いている訳ではないし、私の代わりなんてどこにでもいる。ネガティヴなことを考えながらも、結局いつも通り仕事に行く準備をする。


「今日は新しい英語の教師をみなさんにご紹介します。」学校長が笑顔で言う。

この5月に?なんとも曖昧な時期だ

この疑問を意図してたいたかのように、校長は続ける。

「彼はカナダの大学院まで出ていて、海外の大学からも声がかったとか。そんな、エリートな方がうちでどうしても生徒を教えたいとのことなので、異例ではありますがこの時期にうちに迎え入れることになりました。みなさん拍手」

なるほど。生徒の親が好きそうな肩書きだ。

でも、そんなに優秀な人がなぜここに?少しの疑問を残しながらも、どうせ自分には関係ないので周りに合わせて拍手する。1限目はどこの教室だっけか?


「…先生、三田先生」

校長が私の名前を呼ぶ。すでに新しい先生も登場していた。

しまった、考えることに集中していて何も聞いていなかった。

「はい。すみません、次の授業のことを考えていて」

「ああ、先生もしかして1限目授業ですか?」

「はい。三年B組です」

「そうですか。それでは、2限目は空いていますか?」

「…はい。」

おっと、私は何かしたのだろうか?

「それでは、時間のあるときに鈴木先生に学校内を紹介してあげてください。なんでも二人は古くからのご友人だとか。」

「え?」

「これから、鈴木先生には三田先生と同じく二年D組の副担もお願いしようと思ってます。三田先生も知り合いの方がやりやすいでしょう?それでは、そういうことでお願いしますね」


その瞬間、私はやっと新しい先生の顔を見た。


そう言うことかと、全てを悟った瞬間

時が止まったかのように、周りは静か

でも自分の心臓だけがドクドクと大きく、そして早く動いている。


ああ、結局自分は逃げられないのだ。


「久しぶり!これからよろしくお願いします」

人生で一番会いたくなかった人、もう二度と会うことはないと思っていた人。


そんな思いとは裏腹に、彼は見覚えのある笑顔で近づき私の手を握った。

どんなに、忘れよとしても忘れることなんてできない。私

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첫사랑 チョサラン @kitunekonkon77

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