LETTER

吉田葉尚

LETTER

 ペンを執る。あなたへの思いを綴るために。

 あなたの声、あなたの手、あなたの瞳、あなたの唇、あなたの髪。

 目を閉じると浮かんでくるあなたの笑顔。息が漏れるような笑い声。

 私、あなたを思っている。

「ひとりぼっちが集まってふたりぼっちだね」 「ありがとうをもらえるって、なんか嬉しいね」

 あなたの思いに私、ずっと泣いている。

 灰色の生活に光が飛び込んできた日、忘れることなんてできない。

 何者でもなかった私に、泣ける場所をくれたあなたに。

 願ってしまう。

 明けない夜はない世界で震えてしまっている私は、あなたの歌う世界へ、あなたに届く世界へ。

どうしても願ってしまう。


いつか、またねと。


ペンを置く。あなたへの思いが綴れただろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

LETTER 吉田葉尚 @yoshida_basyou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ