空咳

碧川春

空咳

カーテンを閉め今はひきこもっていよう「陽はまた昇る」が遠いよ極夜


夜は明け社会は起きる歯車はこの辺だけかみ合わせが悪い


鉛より重たいような布団あり鉛の重さを知らないくせに


ブラインドから射す夕陽ほそく伸び僕を一刀両断してくれ


流星群浴びるみたいに雨を受け街灯の下僕と影おり


他に縋れるものもなく地下鉄(メトロ)内リュックサックを抱きしめ眠る


一年で一番短い夜だからきっとバレずに会えるよおいで


待っている間に味噌汁は冷めて君のいつものシャワーの温度


洗濯機まわりまわるんだよ僕ら脱水されてしわ出来るまで


いつもとは違う狭さで目が覚めて今朝にブックマークが欲しい


和三盆すら噛み砕くような日々いまは歩幅を合わせて歩く


大雨のワイパーほどに手を振られ小さな挙手と目線をおろす


いつだって最後に背中を見る方が相手のことを想ってるはず


君と見た三日月よりも細い月刺さって抜けず網膜に熱


痕跡が残ってそうで隠してたマスクを外す空気とともに


There is a person in the 六畳間ぬいぐるみは返事をしない


九千九百年以上このままはないだろ敷きっぱなしの布団


1/4(よんぶんのいち)の玉ねぎ一日の夢を見ている時間とおなじ


「社会人」とはこうであるペアが無くまったくおんなじ色のくつした


ふたりではないということ空咳がやけに大きく響くということ

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空咳 碧川春 @n_spring2428

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