第2話 2人のヒーロー

「きゃああ!ケイオスビーストよ!」


「ママ~、でっかいねえ!」


「早く逃げるのよ!」


アポカリプスの宣言通り、16時きっかりに閑静な住宅街には現れた。


ビーストとは言ってもヒト型である。只、最早ヒトの原形の様なものはない。

文字通りの只のバケモノ。

放っておけば破壊と殺戮を撒き散らすだけ。動く厄災と言っても過言ではないわね。

覚醒者アウェイカーの能力。通称、覚醒能力アウェイクン•タレント遺産レガシーと呼ばれるトンデモアイテムでなければまともなダメージすら与えられない。そんな存在だ。

それを倒すのが、ヒーローやヴィランの仕事の1つなの。



あれあれぇ?

ヒーロー、ヴィラン、はやくはやくぅ!

ケイオスビーストに街が破壊されちゃうぞぉ♥️


この状況を面白可笑しくアポカリプスが実況する。


し・か・もぉ

今日は特別サービスでぇ、2体同時討伐クエよお♪

え?聞いてない?

うん!だって言ってないもの♥️

アポカリプスからのぉ、サプライズでぇ~っすぅ✨



これよ。

この傍迷惑なサプライズが本当にうざい!

実質、覚醒者アウェイカーはタイマンでケイオスビーストの相手をしなくてはいけないと言うことね。



あれあれぇ?

ヒーローぉ、来ないのかなぁ?

もう、5分たつよぉ♪


みんなぁ、呼んでみよう!

せ~のぉ


『助けて!ヒーロー!!』



その一声と同時に、戦場に鳥というよりはカラスの様な型のが飛来し、ケイオスビーストの攻撃から子供を護った。


そして、もう1羽のカラス型のが飛来し、ケイオスビーストを牽制する。



「来た来た!ヒーローだぁ!」

子供や若いママ達が喜ぶ。


そう、皆は知っている。

カラス型の飛行ユニットを駆使して戦うヒーローを!



やだやだぁ!

アポカリプス、そいつ、呼んでないぃ!

で、でもぉ、アポカリプス・なう!

を、盛り上げるため、一応やるよぉ!


みんなぁ♪ヒーローを呼んでみようぅ!

せ~の~


アポカリプスの音頭に、ギャラリーが合わせる


『レディ・ヴォーダン!!!!』



そこに、現れたのは狼型のユニットに横座りした女の子。

黒い、魔女風の服ととセーラー服を合わせた様なデザインのコスチュームに身を包み、頭には如何にもな鍔広の帽子。スカートは短いけどレギンスで肌の露出は控えてる。



「お待たせ!」


左右違う色の瞳を輝かせながら帽子の鍔を持ち上げて、わたし、我孫子エルダこと、レディ・ヴォーダンは人々に挨拶する。



う゛~!もしかして、もしかしてレディがここにいるってことわぁ…


アポカリプスはレディ・ヴォーダンと良くバディを組んでいる覚醒者アウェイカーを思い浮かべる。




「うおお、コイツがケイオスビーストか!やべぇ!」

もう、1体のケイオスビーストが今、まさにウチの学校の生徒を襲おうとしている。

てか、何でこんなところに男子がいるのよ、全く。

ケイオスビーストが腕を振り下ろそうとする。

そこに飛びこんでくる影が1つ。

狼型のユニットに男子を救出させ、ケイオスビーストの攻撃を両腕でガッチリガード。


真っ白の髪の毛にミラーシェイド型のデバイス。白いセーラー服とドレスを合わせた様な風の戦闘服、その下には同じく戦闘様のレオタード。わたしと違い両腕と両足は露出してるわ。



やっぱり~💤😭💥

アポカリプスの苦手な2人じゃ~ん💦

で、でも、気を取りなおして。

み、みんなぁ、もう1人のヒーローは誰かなぁ?


アポカリプスの質問に人々が応える。


無命姫ノーライフ・プリンセス!!』


 そう、わたしの親友、橘ミコトこと。

 ヒーローネーム『無命姫ノーライフ•プリンセス


「あなた、何でこんなところに?」

 ミコトこと無命姫が敵の攻撃を受けながら、男子に問う。

 え?何でわたしがその状況がわかるのかって?

 無命姫が乗ってる狼型のユニットって、わたしとリンクしてるの。つまり、狼型ユニットのセンサーが知覚した情報はわたしに筒抜けって事。

 カラス型のユニット、狼型のユニット共に2体づつ。

 フニンにムギン、フレキにゲリ。

 そう、オーディンが連れている使い魔の名前ね。

 これらがわたしの持つ遺産レガシー、オーディンズファミリア。


 それはそうと、何か動きがあるみたいね。


「早く逃げて!」

「出来ねえ!」

 無命姫の一言を一蹴する男子。

「だって、ここにコイツらが…」

 すると、聞こえてきたのが…


 ニャー、ニャー


 こ、仔猫ちゃん!

 な、なんなの、この男子!

 い、良いやつじゃん!


 仔猫ちゃんなんかお構いなく、ケイオスビーストはその腕を叩きつけてくる。

 それをすぐさま取って返し、代わりに攻撃を受ける無命姫。

 バチーン!と物凄い音がする。

「この仔猫たちも私が護るわ。貴方は早く安全なところへ」

 それでも無命姫は表情ひとつ変えない。



 なに、なにぃ🎵

 ノープリわぁ、男子の前でいいカッコしようとしてるのかなぁ?


 この状況に茶々を入れるアポカリプス。

 あらら

 あの娘、ノープリって呼ばれるのすごく嫌ってるのよね。怒るわよ〜。そこは、知〜らないっと。

「人の名前を、勝手に、許可なく!省略するんじゃないッ!!」

 無命姫は、思い切り踏み込み、思いっきりケイオスビーストのお腹にパンチ!

 そして、その打撃点からドスンと白い杭の様なモノが突き抜けてくる。

 骨のボーン•ステーク

 要は、骨のパイルバンカーね。

 これこそ、ミコトこと無命姫の覚醒能力アウェイクン•タレントの1つ、骨を自在に操る能力よ。



 ぇ〜、いきなりのボンステェ〜

 ノープリ、張り切りすぎぃ

 で⭐️も⭐️ね⭐️

 今日のは、そんなの1発や2発じゃあやられないヤツを用意したんだから!

 レディにノープリ!

 今日わぁ

 アポカリプスが勝つよ❤️



 アポカリプスの宣戦布告とも取れる発言。

「だったら、倒れるまで打ち込んであげる!」

 完全にやる気モードのミコト。


 因みに、この隙に仔猫ちゃんと男子は救出して逃したからね!


 そして、わたしの所にミコトに貸していた狼型のユニットも戻ってくる。


「そうね!こっからが、ショータイムよ!」

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RAGNAROK GAME ~ヲタク少女はスーパーヒーロー~ 杵露ヒロ @naruyamato

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