第三箱 束縛を君に

007


〈……君の様な勘のいい餓鬼は嫌いだよ〉

『皮肉の痰を囲わせてやろうか』

〈あひい……〉


しかし……マジで脱げない?

俺はアリルを黙らせながらしかしそんな事を言っても実際問題

流石に物語の便宜上なんらかの救済処置が施されるのでは無いかと思考を巡らせる。

というか頭が段ボールの主人公なんてあってたまるか。


『というか別にゲームの装備って訳でも無いんだからさ……普通に脱げないの?』

〈頭が爆散してもいいなら〉

『怖っ!?』

〈…まぁ要は呪いの類いだよ。お前も見ただろ?あの性能。

リターンがあるってことはそれすなわちリスクが在るってことさ〉

『………』


納得の理論ではある。

確かにリターンがあるならリスクは在るべきだ。

在るべき、だがしかし。


『……でも今回のリターンの受け取りに関しては不可抗力な気もするが……』

〈………お気の毒ってことで〉

『お気毒でどうにかなる問題ではないよな間違いなく』

〈だって突然被られるとは思わないじゃん〉

『……それはそうだなぁ……』


あれ?

これもしかして俺が悪いパターン?


『マジか……どうやって擦り付けよう』

〈あのー。心の声漏れてますよー〉

『おっと危ないバレるところだったぜ』

〈それを言っちゃあ元も子もない気がするけど……〉

『心ともない作戦ではあるけどね……最も策を練る前に対策を練るべきなんだろうけど』

〈対策か……〉


アリルが考え込む。

どういう動作か具体的には分からないが考え込む。


〈………写真貼るとか〉

『余計不審者だな』

〈………顔の部分切り取るとか〉

『宇宙服だったら採用してた』

〈………透明化〉

『お、それいいじゃN』

〈……は魔法の打ち消しが常に発動してるから無理だな〉

ことごとく希望を打ち破るね君は』


しかしとなると本当にどうしようもなくないか?


『俺はこのまま頭部段ボール系主人公として生きるしかないのか……?』

〈聞いたことないジャンルだね………〉

『………逆に売れるかも?』

〈それはない〉


断言された。

段ボールに。


『あークソ……まじで続行なのかよ……!?』

〈………流石に俺も申し訳ないとは思っT〉

『ハーレム築けねえじゃねえか……!?』

〈前言撤回憑いたのがお前で本当に良かった〉

『なにいっ!?』


突然の裏切り!?


〈裏切りというか縁切りというか…

まぁリスクは切り取っておいて損はないじゃん〉

『今までの会話を全部切り落とす様な発言だな……』

〈ハーレム阻止には必要な犠牲だね〉

『……』


そんなにハーレムさせたくない?


〈んじゃ、頭についてはもう……〉


と、アリルが話を終わらせようとしたところで。


『……なにあれ?』

〈え?〉


突然向こうに人影が見えた。

いや、ただの人影ならば態々描写する必要がないが

しかしこうして描写している以上そこには

何かしらの特筆すべき点があるという事で__________。


「、逃 げて、絶対に……生き」


と、その人影の正体の少女はそう呟き

そして俺から5歩離れた所で倒れた。

バッタリと。


そしてその後ろには_______。


「は、ぁ、はぁ、やっと追いついた……」


別の人影。

今度は少女とは真反対_____中男。

中年男性がいた。


『……ちょっとヤバめ?』

〈っぽいね〉

『よし逃げるか』

〈えぇ……?〉


なんだよそのえぇ……?は。


〈だって普通主人公なら助ける場面じゃん〉

『だったら俺は主人公じゃなくていいよ。

はっきり言って面倒事は好きじゃないし』

〈まぁ確かに好きな人なんて居ないだろうけどさ……〉

『さらに言えば俺にそんな力はないしね。

じゃ、そゆことで……』


俺はすぐにその場を立ち去ろうとする。

足を動かし。

動かし。

動かし。

動かし。

動かして。

そして


目が合って。


動かして。

動かし。

そして


『…………あぁクソ……やっぱ無理だ』

〈?なんか言ったか〉

『…………なぁアリル』

〈どうした〉

『お前、ハーレムは嫌いって言ってたよな』

〈あぁ〉

『それはつまりさ』

〈……?〉


1


〈……!?お前、まさか……!〉


アリルが驚いた表情を_______どうやったかは分からない________をする。


『どう?』

〈お前まじでなぁ……はぁ〉


溜めて、息。


〈……お前1人の勝算は〉

『ゼロ』

〈ソコはカッコつけて100って言うとこだぜ少年〉

『でも俺にはお前が居るから。

2人ならどうにかなるでしょ』

〈!……本ッ当、調子良い奴だな……誰が手伝うつった〉

『……マジすか……?』


普通に手伝ってくれるかもって思ったんだけど……(´・ω・`)


『……じゃあ俺1人で撃破しなきゃ行けないのか……』


流石に厳しいかなとは思う。

でもそれでも、

あの少女を見逃すことは俺には_______。


〈そして……誰が手伝わないって?〉

『!』

〈ったくお前みたいな人間は初めてだよ……本当は助けたくて仕方なかったんだろ〉

『……別に、助けたら彼女とかになれるかなって期待しただけだよ。というか、その言い方だと前に別の人間に憑いたことがあるみたいな……』

〈昔噺は跡だ。それよりも今は……やるべき事があるだろ〉

『……それもそうか』


そう言って、俺は日本刀カタナを構える。


〈目標は〉

『少女を助けてあわよくばいい関係になる!』

〈欲に忠実な目標だな……まぁいいか。

よしっ、じゃあ早速。〉


開戦カイセン

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異世界に転生してすぐそばにあった段ボールを被ったら最強になったので無双して主人公枠を勝ち取ります 欠完成品 @kokuren00001

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