第二箱 等々頭部

005


体が鮮血に染まる。

勝った…?

いや、負けたのか?

後ろを振り返る。

綺麗な切断面だった。


『…やっ、た?』

<初戦にしちゃあやるじゃねーか…そうだ、お前の勝ちだ。>

『…はぁ』


ドッっと疲れが襲ってくる。

俺はその場にへ垂れ込んだ。


<お疲れ様…つってもまだやる事はあるけどな>

『…狩ったら終わりじゃ無いのかよ…』

<解体したり運んだり…要はモン○ンだよ>

『作品名をを出すな…』


取り敢えず俺は早めに解体しようと立ち上がる。


『はぁ…本当、疲れてるっつうのによ…で、何からやればいいんだ?』

<よし。じゃあまず皮をはいでだな…>


一時間後


『ねぇ…モ○ハンのってもっと簡単じゃなかったっけ…?』

<…まぁ一時間で終わっただけマシってもんだ>


と、いうことで俺の隣には解体済の肉片×20

皮×8 心臓×1 魔石×1 が並んでいた…魔石?


『なぁ、魔石ってなんだ?』

<あー…魔法の石>


説明が雑すぎんだろ…。


『…もうちょい詳しく説明できんか?』

<うーん…まぁ基本は売ったり魔力貯めたり武器に埋め込んだりとかだな。

ただまぁ魔石は本当になんにでも使えるからなぁ…正しくって感じ>

『ふーん…』


成程…ホントにゲームみたいな扱いなのか、魔石。


<じゃ、分解バラしたし取り敢えず売りに行くか>

『…速くない?』


些か気が早い気がするが…。


<肉はすぐ腐るからな。ほら、今さっき街が見えただろ?多分ある程度でかい街だから買取屋とか魔石職人とか"高山○店"とかあるはずだからそこで売ろうぜ>

『…』


なぜだろう…何かが凄く危険な気がする。高山〇店。


『……ん?』


と、そんな事を思っている内に俺は一つのことに気付いた。


<どした?>

『これ…どうやって運ぶんだ?』

<え……?>

『……え?』


一時間後


『くそったれがぁー!!』


全部自力で持ってきました、はい。


<でも転生特典で強化されてるからある程度はマシだよ?>

『それでも疲れるもんは疲れんだよ…』

「いらっしゃいませー……ってえぇ!?」

『ははは…』


そしてそのまままま入店。


「か、買取……ですか……?」

『ですね……』

「わ、分かりました……あ、お荷物はそこのシートの上にどうぞ!」


見るとソコにはプラスチックの様な触感のまぁ所謂ブルーシート的な物が引かれていた。

都合の言い世界観だな、と思いつつ言われた通りにそこに置く。


『ふぅ……』

「お、お疲れ様です。良かったらコチラの席に……」

『!……じゃあ御好意に甘えさせて貰って……』


俺は少し壁側に寄った席に座った。

フカフカの椅子気持ちいな……。


「そ、それでは暫くお待ちください」

『はーい……あぁー……疲れ取れるなこの椅子……』

〈そんなに ?〉

『少なくとも俺が座った椅子の中ではトップクラスに……なぁアリル』

〈?どした〉

『この椅子さぁ……ドリーム具現化キラーで出せない?』

〈……お前な……というか今日は少なくとも無理だぞ〉

『と、言うと……1日に使用出来る回数に制限がある?』

〈当たらずとも遠からずってとこだな。正解はドリーム具現化キラーが喰う魔力量が多すぎる、だ。だから使用制限なんてモンは無いが……〉

『如何せんそんな莫大な魔力を兼ね備えた人間なんて居る訳もなく……』

〈ま、そういう事だ。最も、その量を溜め込める魔石があれば話は別なんだけどな〉

『今日ゲットした魔石は?』

〈あと2000は無いと話にならないな〉

『oh……やっぱ魔法でも万能って訳にはいかないのか……』

〈人間なんてそんなモンだよ。……っと、準備出来たっぽいな〉


アリルがそう言うと同時に店員______今さっきの人とは別の_______が声を掛けてくる。


「お客様、商品の査定が終わりました。こちらの肉塊は20ゴールドで買取らせて頂きます」

『おぉー……(……なぁアリル)』

〈(どした)〉

『(20ゴールドってどんぐらい?)』

〈(日本円で20万ってとこ)〉

『(……えめっちゃ高くない?)』

〈(竜の肉だからね)〉

「……?どうかされましたか」

『あぁいえ!なんでもないです!……20ゴールドですね。分かりました、それで……』

「……承知致しました、では」


そう言ってトレーに乗った20ゴールドが差し出される。

俺はそれを受け取って…………

…………取り敢えずポケットにしまった。


「……それでは確かに。

ありがとうございました。

またのご利用をお待ちしています。

_______良い旅を」


そう言って頭を下げる。

俺はそれに一言だけ答えて、そして店を出た。


006


〈いやーこれで暫くは生活費に困んないね〉

『なー』

〈というか魔石も売れば良かったのに〉

『こーゆーのを持っておくと後々役に立つんだよ』

〈ふーん……〉


とある街のとある街道______最も街道でなければ一体その道はなんなのかという話にはなるが。


『まぁ魔石の話は一旦置いて置いてだな』

〈2回も置いたね〉

『ま、その問題に於いても置いて置くという処置を取ろう。

それよりも__________』


俺は自分の頭指さす。


『頭取りたいんだけど』

〈……それはつまり首無のデュラハンに成りたいってこと?〉

『ちゃうねん俺は首無ライダーになりたい訳では無いねん』

〈もうそのネタ20年以上前だから伝わらないと思うけど〉

『……時の流れを可視化する事、それ自体はいい事かもしれない。

しかし時にはそれによって傷付く人が居るってことを忘れてはいけないよ』

〈要はおじさんが大昔のアニメのネタを振って若い子が分からなくて傷付いてるだけでしょ〉

『大を付けるな大を……というか話を逸らすな。今は俺の頭の話だろ。今さっきから大衆が俺に視線を突き立ててくるんだが』


しかしそう考えると今さっきの高山〇店はよくあんなにまともに対応してくれたな……。


〈あー……〉

『ちょっと待ってそのあー……はすげー嫌な予感するんだけど』

〈……大当たりー!〉

『……〇と〇尋の〇隠し?』

〈〇が3つも付いてるのに何の作品か分かるのやばいな……〉

『それはそう……としてだな。今お前大当たりっつったか?』

〈……まぁ、そうだね。うん〉

『それはつまり……』

〈……〉

『もしかして……』

〈……〉


『……脱げない?』









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